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 実は地方から東京への進学は減少している。文部科学省の統計では、都内の大学に入学した東京圏(埼玉、千葉、神奈川含む)以外の学生は、2002年が4万5527人で36・4%を占めた。しかし16年は4万2998人で29・7%に減った。


 全国型といわれた有力大学の“東京ローカル化”も進む。東京圏出身の1986年と2016年の合格者割合は、早稲田が約52%が約74%に、慶応は約56%が約73%に急増した。東大も約47%が約55%に増えた。


 地方出身者が激減したのは、経済的な側面が大きい。この30年間で私立、国立とも学費が高騰し、都会での一人暮らしはハードルが高くなった。少子化により地元進学を望む保護者が増えたのも一因だろう。


 東京圏の自宅通学者ばかりでは、多様な価値観を学び合う場としての機能を低下させる。結果的に学問・研究で国際競争力が低下する可能性がある。海外留学も減っており、内向き志向の若者が増える心配がある。


 そもそも23区の学生はそれほど増えていない。16年は46万7000人で全国の17・4%を占めた。だが1976年は約60万人で同29%、60年は約31万人で同44%を占めていた。学生は昔の方が東京に集中していた。


 東京への転入は、10代後半の進学時より20代前半の就職時の方が倍以上多い。地方大学の学生が上京して就職するためだ。一方で地方出身の都内大生の過半数はUターンを希望するというが、その過半数は戻れない。


 まずは地方に就職の受け皿をつくることが先である。企業の本社機能の地方移転や地方採用枠、地域限定社員の導入などを促す政策は有効だろう。


 地方の活性化には、都会で学んだU・Iターン組の知恵も重要となる。社会の活力の源となる「人の移動」の規制は、地方創生に逆効果となろう。