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 タレーランメッテルニヒビスマルクキッシンジャーが束になってかかっても、これほど多様で緊急性のある、扱いにくい一連の問題に対処するのは容易なことでなかっただろう。はたから見ても分かるほど、トランプ政権は一貫性のあるアプローチの策定に苦労していた。しかしトランプ氏が大統領に就任して間もなく1年が経とうとする中、一定の秩序が姿を現し始めた。少なくともトランプ政権の外交政策の概要ははっきりしたようだ。


 政権が最初に取り組んだのは優先順位を付けることだった。ホワイトハウスがアジアと中東を他の地域や課題より重視していることは明らかだ。ウクライナベネズエラの危機は後回しにされた。気候に関する政策や貿易政策も後回しにされたが、大統領のツイートを見ると、それが分からないこともある。


 優先事項に取り組むに当たって、政権は従来の仲間との関係を強化して、危機に瀕(ひん)している地域の秩序を回復するという実践主義者のアプローチを選んだ。まだ実力が定かではないサウジアラビア新指導部やエジプト、アラブ首長国連邦UAE)、イスラエルと緊密に連携してイランを抑制するというやり方だ。


 トランプ政権は過激派組織「イスラム国(IS)」のいわゆる「カリフ制国家」を破壊するというそもそもの目標をほぼ達成しており、反イランの動きを本格化させつつある。ホワイトハウスはサウジなどとの新たな連携によってもう一つのゴールについても前進が期待できると考えている。もう一つのゴールとは、イスラエルパレスチナ紛争を封じ込め、できれば解決することだ。


 アジアでは、日本と緊密に連携して、中国に対抗できる協調体制の構築・強化に乗り出すと同時に、北朝鮮への圧力強化で中国の協力を取り付けようとしている。米国は北朝鮮に戦争のリスクが見せかけではないことを信じ込ませようとしているが、その一方で、ホワイトハウスは中国に対して貿易や政治の面で円滑な関係を構築したいという姿勢を示せば、北朝鮮問題で中国から実質的な支援を引き出せると期待している。


 これまでのところ、トランプ大統領外交政策はその発言ややり方が示唆するものより常識的である。アジアや中東で修正主義的な勢力に対抗して以前からの同盟諸国と連携する手法は戦略における革命とは言い難い。


 ただしトランプ氏の現在の目標が常識的だとしても、世界の現状はそうではない。トランプ氏は失敗してもおかしくない。課題は大きく、状況は厳しい。味方も敵も、医療保険制度などの問題をめぐる米共和党の混乱を見守りながら、2018年の選挙で民主党の動向を見極めつつ、ロバート・モラー特別捜査官による米大統領選へのロシア介入疑惑についての捜査の進展具合に注目している。トランプ氏の外交政策はトランプ氏の大統領の地位と同じく、大統領自身も結果を完全にコントロールできないギャンブルだ。


 トランプ氏は差し当たり、中東で野心的な目標を追求しながらインド・パキスタン地域に関与するという綱渡りを演じている。世界の強国の中には、トランプ氏の失敗を願う国もある。こうした国はトランプ氏を失敗させるためにできるかぎりのことをするだろう。米国民は党派やトランプ氏への個人的な感情にかかわらず、大統領が外交政策で成功を収めるよう祈るべきである。失敗すれば非常に厳しい結果を招く可能性がある。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171118#1511001376(CNNはやっぱりフェイクニュースだった!)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171118#1511001379サウジアラビアが、イラン敵視を口実に最低限の中東和平を実現しイスラエルと和解する米国案に乗った。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171117#1510915775(アイゼンコット参謀総長は、「イスラエルサウジアラビアはイランに対抗するという目的を共有している。イスラエルは経験や情報を共有する用意がある」と述べて、サウジアラビアに向けて異例とも言える連帯を呼びかけました。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171116#1510828995(スティーブバノンが来日)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171116#1510828997トランプ大統領は、就任以来初めてのアジア歴訪を終えて首都ワシントンに戻り、15日、ホワイトハウスで演説しました。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171116#1510828999(イラン敵視のサウジアラビアは裏でイスラエルと和解を画策。トランプは近く2国式に沿った中東和平を再提案する。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171115#1510742296(記者団からのアメリカ国民に1つだけ成果を伝えるならばという質問に対して「3000億ドルの商談をまとめたことだ。これはすぐに4倍になると思う」と述べ、日本円にして30兆円を上回る商談をまとめたことを成果として挙げました。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171114#1510655951(トランプは急速に世界を多極化している。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171113#1510569907レバノンのハリリ首相はサウジとの二重国籍。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171113#1510569909(トランプはイラン敵視よりもIS掃討を優先している。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171112#1510483055(米露共同声明)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171112#1510483057カルザイ元大統領)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171111#1510396500(米陸軍長官が、軍を世界に展開しすぎて過剰派兵になっていると初めて認めた。サウジのイスラエル戦略は「イランを共通の敵としてアラブ諸国イスラエルが結束する」「そのためにまずパレスチナ和平の実現が必要」という筋。筋書きの作者はトランプ。パレスチナが解決したらイラン敵視を外し、米国抜きで中東を安定させるのがトランプの目的。 )
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171108#1510137537(シリアでもイラクでも、クルド人は用がすんだら潰されるのか。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171102#1509618689(『国際秩序』)