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トランプ大統領エルサレムイスラエルの首都と認めると宣言したことを受けて、国連総会では21日、パレスチナの要請を受けて緊急の特別会合が開かれ、トルコとイエメンが共同で提出したエルサレムの地位の変更は無効で撤回されるべきだとする決議案の採決が行われました。


採決に先立ち、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相が「トランプ大統領の決定はパレスチナ人が持つ権利を侵害している」と述べ、決議への支持を求めたのに対し、アメリカのヘイリー国連大使は「アメリカに敬意を払わない国を私たちは忘れないだろう」と述べ、各国に対し決議に賛成しないようくぎを刺しました。


しかし、採決の結果、日本を含む128か国が賛成、アメリカやイスラエルなど9か国が反対、カナダやオーストラリアなど35か国が棄権して、決議は賛成多数で採択され、その瞬間、議場からは大きな拍手が起こりました。


国連総会の決議に拘束力はありませんが、アメリカの圧力にもかかわらず、国連加盟国のおよそ3分の2が賛成して決議が採択されたことで、エルサレムをめぐるアメリカの決定への国際社会の懸念や反発が示された形となりました。

パレスチナ暫定自治政府アッバス議長の報道官は、国連総会がエルサレムの地位の変更は無効だとする決議を賛成多数で採択したことを受けて声明を出し、「決議の採択は、パレスチナが国際社会の支持を得られていることを改めて示してくれた」と歓迎しました。


また、「決議の採択は、誰がどんな決定をしてもエルサレムの地位を変更することはできず、エルサレム国際法上、占領状態にあることが再確認された」として、アメリカがエルサレムイスラエルの首都と認定したことは無効だと主張しました。


さらに、採決に先立ち、アメリカが決議に賛成する国への財政支援を打ち切る構えを示していたことを念頭に、「国際社会はパレスチナ人の側にあり、脅しには屈しないことを示してくれた」として、決議に賛成した国々に感謝の意を表しました。

国連総会がエルサレムの地位の変更は無効だとする決議を賛成多数で採択したことを受けて、イスラエルのネタニヤフ首相はビデオ声明を出し、「イスラエルは、このばかげた決議を絶対に拒否する。エルサレムイスラエルの首都であり、これまでも、これからもそうあり続ける」と述べ、抗議する姿勢を鮮明にしました。


一方で、35か国が投票を棄権したことに触れ、「多くの国がこの茶番を拒否したことに感謝したい」と述べました。


さらに、採決に先立ち、決議に賛成する国への財政支援を打ち切る構えを示し、圧力をかけたアメリカに対しては、「ヘイリー国連大使トランプ大統領は、イスラエルを守るために勇敢な姿勢を示してくれた」として、重ねて感謝しました。

決議案が採択されたあと、トルコとパレスチナ暫定自治政府の外相はそろってメディアのインタビューに応じました。


この中で、トルコのチャウシュオール外相は「エルサレムイスラエルの首都とするアメリカの決定が国連総会において実際に否定された。アメリカからの圧力や脅迫、中傷にもかかわらず決議が採択されて非常に満足している。きょうをもって、パレスチナの人たちの権利を守る活動を強めることができる」と述べました。


また、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相は、決議の採択について「パレスチナとアラブ、イスラム教徒、そして、世界にとって大きな勝利だ。エルサレムパレスチナの首都であり、将来にわたっても首都であり続ける。今後、中東和平について、国際社会が責任を持って仲介を行うことを期待している」と述べ、意義を強調しました。

演説を終えたアメリカとイスラエル国連大使は、採決を待たずに議場から退席し、決議に抗議する姿勢を示しました。


国連総会でエルサレムの地位の変更は無効だとする決議が賛成多数で採択されたことを受けて、アメリカのヘイリー国連大使は、ツイッターに決議に賛成しなかった国々のリストを掲載し、「国連の無責任なやり方に陥らなかったこれらの国々に感謝する」とコメントしました。


決議に反対したのはアメリカとイスラエルを含む9か国で、かつてアメリカの信託統治下に置かれ、今もアメリカが防衛や外交を統括するパラオマーシャル諸島、それにミクロネシアの3か国や、アメリカと自由貿易協定を結び、経済で大きく依存する中米のホンジュラスグアテマラが含まれています。


また、決議を棄権したのは35か国で、アメリカと関係が深いカナダやオーストラリアのほか、地域別に見ますと経済的に結びつきが強いメキシコやアルゼンチンなどの中南米の国々が11か国と最も多く、次いでアメリカから多額の援助を受けているアフリカの国々が8か国となっています。チェコポーランドなどの中東欧7か国も棄権しました。


このほか21か国が欠席し、ウクライナオセアニア地域の島しょ国など、防衛面でアメリカとの関係を重視する国々が多く含まれています。


アメリ財務省は、世界各地での深刻な人権侵害に関わった関係者への圧力を強める大統領令に基づき、ミャンマー軍のマウン・マウン・ソー少将に対して、アメリカ国内の資産を凍結するなどの制裁を科したと21日発表しました。


この少将が率いていた治安部隊をめぐっては、ことし8月、西部のラカイン州で少数派のロヒンギャの人たちを無差別に殺害したほか、集落に放火したといった証言が寄せられているということです。


国連の推計によりますと、これまでにおよそ65万人のロヒンギャの人たちが隣国バングラデシュに避難を余儀なくされ、アメリカは、ロヒンギャに対する民族浄化だと厳しく非難しています。


この問題が起きてからアメリカ政府がミャンマー政府の関係者に制裁を科すのは今回が初めてで、ロヒンギャへの迫害をやめるよう強く促す狙いがあると見られます。


また、国務省の高官は「ほかの個人についても証拠を集め、ふさわしい判断を下す」として、今回対象となった軍幹部以外の関係者に対しても制裁を科す可能性を示唆しました。


ユーゴスラビアでは1990年代に民族紛争が起き、ボスニア・ヘルツェゴビナの東部の町で7000人以上の住民が虐殺されるなど、10万人以上が犠牲になりました。


国連が戦争犯罪や人道に反する行為を裁くため1993年に設置した旧ユーゴスラビア国際戦争犯罪法廷は、24年に及んだ審理の結果、90人に有罪判決を言い渡し、すべての審理を終えて閉所することになりました。


法廷があるオランダのハーグで21日開かれた記念の式典で、国連のグテーレス事務総長は「法廷は、犯罪者に裁きを下すだけでなく、被害者の声を世界に届ける場にもなった。犯した罪からは誰も逃れられないことを国際社会は今後も証明しなければならない」と述べ、世界各地で今も起きている内戦や紛争での戦争犯罪や人道に反する行為についても、国際社会が連帯して罪を問う必要性を強調しました。


法廷の閉所によって、国際社会は旧ユーゴスラビアの民族紛争への対応に一つの区切りをつけることになります。しかし、旧ユーゴスラビアの国々では、紛争時の行為を正当化し、有罪判決が下された被告を英雄視する市民もいて、紛争の火種となった民族間の対立感情は今もくすぶり続けているのが実情です。