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 金融政策は経済の安定化策である。完全雇用が達成される実質利子率である自然利子率ないし潜在成長率の低下といった構造問題に対処するものではない。


 構造問題を解消するには原因を解決することが必要だ。デフレこそが日本経済をむしばんできた原因とする論があるが、デフレは原因ではなく結果だ。日本の構造問題の根底には、社会保障への不安を含む人口減少に対する悲観がある。これらはインフレになったからといって解消するわけではない。


 本書を著すことで日本の構造問題と金融政策の関係について整理したいと考えた。

 デフレは、金融政策だけで解消できるのか。金利を下げれば下げるほど緩和効果が上がるわけではない。副作用に目を向けることも必要だ。金利を下げ過ぎると、金融仲介機能が阻害されるため、副作用が効果を上回る。この点をマイナス金利を先行導入した欧州中央銀行は、きちんと説明してきた。日本銀行が、最近「リバーサルレート論」として副作用に言及し始めたのは良いことだ。


 ただ、日銀の副作用についての説明はまだ十分ではない。日銀は、2%の物価目標達成のために必要があればちゅうちょなく政策を調整する、手段はいくらでもある、と言ってきた。しかし、異次元緩和導入後、5年近くが経過しても目標未達である。それでも追加緩和が見送られているのには相応の理由があるはずだ。


 また、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入で量から金利へと政策の軸足を移し、国債購入額を大幅に減らしているのは副作用に照らして評価できるが、量的緩和は続けるとして国債購入めど額(年80兆円)は維持したままだ。

#経済統計#リフレ#アベノミクス