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日本銀行総裁福井俊彦氏は19日、金融緩和によって金利がほぼ固定された状況が経済の新陳代謝を妨げていないか考えなければならない、との見方を示した。野村総研が都内で開いたパネルディスカッションで述べた。


  福井氏は、日銀の金融緩和によって金利機能が働かない状況の「副作用、弊害がないか考えないといけない」と指摘。具体的な副作用として経済の新陳代謝が妨げられることを挙げ、「いわゆるゾンビ企業が長く生き残る半面、新たな技術革新が起こりにくく、新しい企業が出てきにくい」と述べた。


  さらに経済活性化への時間稼ぎにすぎない量的緩和に副作用があることに「大きな自家撞着(どうちゃく)がある」と言明。出口政策は「初めからいろいろな作戦を組み立てていかないといけない」と語った。


  福井氏は2003年3月から5年間、総裁を務め、現在はキャノングローバル戦略研究所理事長。在任中は、為替市場で円高が進行する中で、財務省の円売りドル買い介入と歩調を合わせ、量的緩和政策の拡大を押し進めた。06年3月に同政策を解除し、同年7月と7年2月の2度にわたり金利を引き上げた。


  日銀は13年4月、黒田東彦総裁の下で2%の物価目標を目指し量的・質的緩和を導入したが、約5年が経過した今も達成されてない。黒田総裁は4月から新たな任期を迎える。3月の金融政策決定会合の「主な意見」によると、低金利が長期化すれば「先行き金融仲介が停滞するリスクがある」と懸念する声が出た。


  福井氏は量的緩和の効果については、流動性供給による金融システム不安の払拭(ふっしょく)と長期金利の抑制効果があるとする一方で、金融機関などが資金の使い道を工夫するという効果は「今日まであまり起こっていない」と述べた。


  為替市場については「コックピットで操縦しているパイロットにとって、かなり大きな嵐」だと説明。「金融政策と別に考えるとか、これは日銀の仕事ではないとは簡単には言えない」との見解を示した。金融政策運営には「長い目で将来を見渡す目と、目の前に見える景色を見る目と、この二つが絶対に必要だ」とも語った。

#リフレ#アベノミクス