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中国外務省と、ローマ・カトリック教会の中心地バチカンは22日「北京で会談した結果、双方はカトリック教会の司教の任命方法について暫定的な合意文書に署名した」とそれぞれ発表しました。

中国には1千数百万人のカトリック教徒がいると見られますが、カトリック教ではローマ法王が教会の司教を任命するのに対し、中国政府はこれまで内政干渉だとしてこれを拒否してきたため、政府に公認されない、いわゆる地下教会の信者も増えていました。

合意の詳しい内容は明らかにされていませんが、双方が司教の任命に関与する方式で合意したものと見られ、中国側としては、カトリック教会をなるべく中国共産党の管理下に置くとともに、バチカンが台湾との間で維持する外交関係を将来解消させたい狙いがあると見られます。

バチカン側としては、中国で最近、キリスト教徒が急増していることから、カトリック教会が置かれている状況を改善して信徒が集まりやすくする狙いがあるものと見られます。

ただ中国政府は宗教への介入を強めており、バチカン側が今後どのように中国側と対話を進めるのか注目されています。

バチカンはヨーロッパで唯一、台湾と外交関係を維持している国であるため、台湾では、今回の暫定合意がきっかけとなりバチカンが台湾と断交するのではないかという警戒感が強まっています。

台湾の外交部は22日夜、今回の暫定合意についてコメントを発表し「バチカンは政治や外交に関係がない臨時的な協議だとしており、台湾との外交関係に影響を及ぼすものではないと重ねて示している」として、バチカン側からあくまでも宗教上の合意だと説明があったと強調しました。

そのうえで「今後、文化や教育などさまざまな分野でバチカンとの協力を強化していくほか、来月中旬にバチカンで開かれる式典にも代表団を派遣する」とし、外交関係を強化していく考えを示しました。

台湾統一を目指す中国は、台湾に民進党蔡英文政権が発足して以降、台湾と外交関係がある国々の切り崩しを図ることで圧力をかけていて、ことしだけですでに3か国が台湾と断交しています。

蔡英文政権としては、今回の暫定合意がきっかけとなって外交的な孤立がさらに深まることは何としても避けたい考えです。

バチカンの首相にあたるパロリン国務長官は22日、ビデオで声明を発表し、中国との暫定合意について「バチカンの目的は、中国のカトリック教会がより自由に、自律してキリスト教の教えを伝える役割を果たせるような状況をつくることや、あるいはそうした状況ができるのを支援することだ」と述べました。

そのうえで、バチカン内で中国との合意に異論があることなどを念頭に「いま求められているのは結束であり、信頼だ」と呼びかけました。

バチカンは今回の暫定合意を受けて、フランシスコ法王がこれまで認めてこなかった中国政府が任命した7人の司教を、正式にカトリック教会の司教として承認したと発表しました。

そのうえで「フランシスコ法王は過去の傷を克服し、中国のすべてのカトリック教徒が1つになることにつながる新たなプロセスが始まることを願っている」としています。

カトリック教会の司教は世界各地にある教区のトップで、その任命権は法王だけにあるとされ、宗教的にも歴史的にも非常に重要な権限として位置づけられているだけに、今回、バチカンと中国政府が任命方法でどのような合意をしたのか注目されています。