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アメリカ商務省は5日、ことし8月の貿易統計を発表し、中国に対する貿易赤字は、385億ドル、日本円で4兆3000億円余りでした。これは前の月より4.7%増加して、1か月間の規模としては過去最大となりました。

この理由について市場関係者は、米中の貿易摩擦が激しくなる中、中国が報復措置として、アメリカ産の大豆への関税を上乗せしたことから、大豆の輸出が減少していることなどがあると見ています。

アメリカのペンス副大統領は4日、中国政策について演説し、「中国は知的財産権の侵害などによってアメリカを食い物にし、製造業の基盤を築いてきた」と厳しく批判したうえで、中国からのすべての輸入品に関税を上乗せする構えを示し、圧力を強める考えを強調しました。

一方、アメリカの日本に対する8月の貿易赤字も、60億ドルと、前の月より10%増加していて、自動車の輸入が増えたことが赤字の拡大につながっています。

日本とアメリカは、日米物品貿易協定の締結に向けて交渉を始めることで合意していて、トランプ政権は、日本に対しても、自動車や農産物の分野で、大幅な譲歩を迫るものと見られます。

日本とアメリカは、日米物品貿易協定の締結に向けて交渉を始めることで合意していて、トランプ政権は、自動車や農産物の分野で日本の譲歩を迫るものと見られています。

ロス商務長官は5日、ロイター通信のインタビューで、日本に対するアメリカの貿易赤字を削減するためには、日本が自動車の生産拠点をアメリカに移すことが最善の方法だという認識を示しました。

自動車の貿易をめぐってトランプ政権は、NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉で、カナダやメキシコとの間で、アメリカに関税ゼロで輸出できる車の台数に上限を設けることで合意しています。

このため、日本にも上限の設定を要求してくるか警戒感が高まっていますが、ロス長官は今回のインタビューでは言及を避けたということです。

一方、トランプ政権は、中国への圧力の一環として、NAFTAの再交渉の合意では、カナダやメキシコに対して事実上、中国との自由貿易協定の締結を阻む条項を盛り込んでいます。

これについてロス長官は、日本などとの協定でも同様の条項を入れたいとしていて、各国に対しても中国に厳しい姿勢で臨むよう求めた形です。

10月4日のペンス副大統領のハドソン研究所における中国に関する演説(Remarks by Vice president Pence on the Adminisration's policy Toward China)は衝撃でした。原文で読みましたが(A4で17ページの大作)、これは、米中関係のリセット演説であり(the President's leadership to reset America's ecnomoic and stratetgid relationship with China)、私が一番最初に想起したのは、チャーチルが1946年に米国ウェストミンスターで行った「鉄のカーテン」演説でした。思わずチャーチル演説まで読み直してしまいました。

https://www.americanrhetoric.com/speeches/winstonchurchillsinewsofpeace.htm

昨日出演したプライムニュースで、トランプ大統領が「習近平はもう友達じゃないかもしれない。」というどっかのアイドルのような発言がとりあげられましたが、これは、「米国の今の気分」を体現しているといってもよいような気がします。

ペンス演説は、できれば一読して頂きたいところですが、米国が中国に対し門戸開放を宣言して中国を守ろうとしたという温かい歴史から説き起こし、1949年の中華人民共和国建国、1972年の米中国交正常化、WTO加盟にいたる米国の関与政策について述べた上、結果として、中国が中国製造2025に代表される次世代経済分野の90%を中国がコントロールしようとする計画や、米国企業の知財盗用、アジア全部を合わせた以上の軍備拡張、尖閣諸島出や南シナ海諸島の軍事化、スリランカのハンバントタ港を借金漬けにしての租借化、ジョージ・オーウェル的な個人情報監視体制、サイバー攻撃、宗教弾圧、台湾の抑圧やチベットやウィグルの弾圧、孔子学院も念頭においてか、さらには米国の大学や研究機関・研究者に対する影響力拡大、ハリウッド映画に対する圧力など事細かに上げ、中国が、経済、文化、軍事、サイバー、メディとあらゆる手段を使って米国を支配しようとしていると批判しています。そして、米国の中間選挙への介入についても中国を非難し、中国が米国の民主主義に介入している("China is medeling in America's democracy.")、としています。中国のやり口を知ればロシアも真っ青になるぐらい、と手厳しいです。

具体的には、中国が米国の知財盗用や技術移転の強要をやめるまで米国は行動する。("We'll contine to take acthion against Beijing until the theft of American intellectural property ends once and for all. And we will continue to stand strong until Beijing stops the predatory practice of forced technology transfer. ")そして、インドからサモアまでインド洋太平洋の価値を共有する諸国との連携を強化し、中国の経済力を背景とした借金漬け外交に対抗して米国が代替措置を講じる。 (and to advance outr vision of a free and oen Indo-Pacific, we're building new and stronger bonds with naions that share our values across the region, from India to samoa. -- We'll be giving foreign nation a just and transparent alternative to China's debt-trap diplomacy).中国からの投資規制を強化し、米国を中国のプレデター行為から守る、としています( --- we've recently strengthened CFIUS- the Committee on Foreign Investment-- heightening our sccrutiny on Chinese investment in America to protect our national security from Beijing's predatory actions. )。

 さらに、このペンス演説の直前に中国の軍艦が米国軍艦船に接触寸前という危険行為をした件がありましたが、尖閣諸島南シナ海における軍事行動をも挙げつつ、米国は、7兆1600億ドル(74兆円)という軍事力増強をもって、核能力を近代化し、最新技術の戦闘機、軍艦、サイバー能力をもって対抗するとしています。

 さて、それでは、この米中貿易戦争が長期化するとして(本質が覇権争いなので、覇権に関する決着がつくまで、つまり相当長期継続する、と私は見ています)、米中は一体どうなるのか。一体どちらが勝つのか。一般的には、米国の中国からの輸入は逆の3倍あるので、米国が圧倒的有利(米国に3倍タマがある)と言われますし、それはその通りなのですが、長期化するとすれば、結局、米中の2大ブロック経済圏的なもの(厳密にブロックにはならない)が出現するということになるのではないかと思います。経済は経済の論理で生存の術を見つます。中国は米国依存でない経済体制を作り、米国は中国依存でない経済体制を作るでしょう。

 ソ連と異なり、中国は既に経済大国です。そして、それは量にとどまらず質的な進化も遂げています。既に、国際特許件数は米国が1位ですが2位の日本とほぼ同数で3位につけていますし、次世代のイノベーションビッグデータから生まれるとすれば、13億の人民のデータを個人情報保護や人権を全く配慮することなく使い放題の中国は、最も次世代のイノベーションに有利な立場にあります。既に米国からの知財は相当コピー済みで、いくら米国が中国の米国知財アクセスを制限しても、時間稼ぎにしかならないように思います。中国は中国国内だけでも技術革新をできる力を備えてしまっています。

 企業は合理的に行動しますから、長期化する見通しとなれば、中国市場を放棄するというより、サプライチェーンを変更し、米中の両市場に対するアクセスを異なったルートで行うようになる(またはシンプルにそれぞれの国に直接投資をメインにする)という行動に出るでしょう。

 日本は、米国の同盟国であり、中国からは安全保障上の脅威も受けています。他方で、中国は地理的に変えようのない隣国であり、政治的にも経済的にも日本にとって安定した関係が必要な重要な隣国です。米中関係悪化はあれど、特に、アメリカファーストで米国頼みがリスキービジネスある中、日中関係改善は必要です。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/05/200235(米副大統領 中国の海洋進出に断固対抗する姿勢示す)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/09/25/200308(仏などとイラン 米離脱後の核合意協議 決済システム構築へ)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/09/23/200215(TPPやFTAは、自由貿易の理念に反するブロック化協定です。)