新たに第17代早稲田大学総長に就任した田中愛治総長。その田中総長の下、早稲田大学の教育はどのように変わっていくのか。一問一答形式で聞きました。
— 早稲田ウィークリー (@wasedaweekly) 2018年11月5日
教育はどう変わるのか? 田中愛治新総長、学生たちへ告ぐhttps://t.co/8e4F8uIJTK
今の学生は中学生・高校生のころから塾や予備校で、非常に効率的な勉強の仕方を学んでいます。すると大学の授業ではどんなことが起きているのか。講義後、昔の学生であればお薦めの本を聞かれたとき「マックス・ウエーバーの本を読んでみなさい」と教えると終わった話が、今の学生は「何という本の何ページから何ページを読めばいいのでしょうか」と聞いて来るんです。関係ないことは避けて、最小限の努力で最大限の効果を上げようとしているのです。
しかし、この聞き方では結局、答えのあることを追いかけているだけです。今日の社会で求められていることは、答えのない問題に直面したとき、そして何が問題か分からない状況で、その解決策を考えていくことです。そのような問題に対しては、受験勉強の方法では太刀打ちできないわけです。私は大学院生に対しては「私を超えろ」と言い続けていますが、答えのある問題を効率よく解くような勉強では、学生は指導教員を超えることはできません。大学に入ってから必要なことは、そのような勉強法から脱皮することです。答えのない問題について考え、エビデンスに基づいて、その解決方法としての仮説を根拠を示して検証するという力を身に付けなかった学生は、卒業後に行き詰まる可能性があると思います。
ソーシャルメディアは重要なトレンドだと思います。学生にとってソーシャルメディアは日常に欠かせない存在になっていますので、これを無視して教育を語ることはできません。もちろんネガティブな面もありますので、ソーシャルメディアに振り回されて本来集中するべき時間が奪われるようなことがあってはなりません。負の側面の一つは、大量の情報が短時間に受動的に入ってくるので、熟慮せずに情報発信してしまうことです。瞬発的な反応をする思考パターンだけが身に付いてしまうことは問題ですので、大学教育ではじっくりと論理的に考える力を養うことが大事です。
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/18/200130(大学入試において学力以外の選考基準を(部分的に)とることは、なぜ非難されるのだろう。)
https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/10/08/200120(新総長・現総長対談 これまでの早稲田 これからの早稲田)