韓国大法院判決。この辺りからは自分の法学の知識を超えるので怪しい部分も入るのだけど、判決の問題の1つは、「不法行為を行った当事者が不法行為を認めない場合には、不法行為を受けた側に慰謝料請求権が残る」という考え方が、(国際法ではなく)通常の民法上の処理として問題がないか、という事。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日
例えば交通事故に関わる和解の例を考えればわかるように、民事上の和解においては時に不法行為の有無そのものの認定を伴わないまま和解が行われる。請求権協定を一種の国家間の和解として理解すれば、大法院判決はこの形式の和解は最終的な解決ではない、としている事になる。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日
言い換えるなら、大法院判決の法理を通常の民法上の和解に適用すれば、これまでの過去の和解の多く、つまり加害者側が不法行為を認めないままの和解は、最終的な解決ではなく、被害者側には慰謝料請求権が残る事になる。これは韓国内の私人間の民法上の問題の解決を著しく困難なものとならしめないか。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日
この判決により外国企業が韓国への進出を忌避する事態が起こるとすれば、植民地支配に伴う慰謝料の問題よりも、こちらの方だと思う。民法上の契約が不安定化すれば、経済活動に甚大な影響を及ぼすからである。この辺りは民法の専門家の方の意見をお伺いしたい所である。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日
忘れてはならないのは、今回の訴訟が元徴用工と日系韓国法人の間の民事的訴訟として争われている事。つまり、この判決は請求権協定に関わる解釈の問題だけでなく、韓国における私人間の民事的紛争を巡る判決でもある。その法論理は当然、植民地支配とは関係のない、韓国内の民事訴訟にも適用される。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日
これらは韓国の国内法とその解釈の問題で、韓国の司法部が独自に決める事ができるのだけど、法のあり方が他国のそれと大きく乖離したり、何よりも過去の法慣行と大きく異なるものであれば、当然、契約関係に大きな混乱を齎す事になる。これは韓国の司法部の問題であり、彼らが自ら考えるべき事である。
— Kan Kimura (@kankimura) 2018年11月8日