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ウクライナ南部のクリミア半島周辺の黒海で25日夜、ウクライナ海軍の小型艦船とタグボートの合わせて3隻がロシア国境警備庁の警備船から銃撃されたあと拿捕(だほ)され、ウクライナ海軍によりますと、乗組員6人がけがをしました。

ロシア連邦保安庁は、ロシアが主張する領海をウクライナ側が侵犯したため制止しようとしたもので、正当な行為だと主張しています。

ウクライナのポロシェンコ大統領は26日、政府や軍の権限を強化する戒厳令を発令することを議会に諮り、議会はロシアとの国境付近など一部の地域で今月28日から30日間発令することを承認し、ロシアへの敵対姿勢を鮮明にしました。

一方、ポロシェンコ大統領が戒厳令を発令することに関連してロシアのカラシン外務次官は、来年3月に予定されるウクライナの大統領選挙を前に反ロシア感情をあおって支持率の上昇をもくろむ選挙戦の一環だ、と指摘するなどロシア側は非難を強めています。

NATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長はウクライナのポロシェンコ大統領と電話で会談し、ウクライナへの支持を表明しました。

そのうえで、ポロシェンコ大統領の要請に基づいてNATOは緊急の会合を開き、加盟各国もウクライナへの支持を確認しました。

会合後の記者会見でストルテンベルグ事務総長は「ウクライナの艦船と乗組員に対する武力の行使は正当化されるものではない。拿捕された艦船を直ちに解放するよう求める」と述べ、ロシアを強く非難しました。

ウクライナNATOには加盟していませんが、NATOウクライナとの協力関係を深めていて、これまでもロシアによるクリミアの併合を強く非難しています。

ドイツのメルケル首相は26日、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話で会談しました。

ドイツ政府の報道官によりますとメルケル首相は、ウクライナとロシアの対立の緩和と、対話の必要性を強調し、ドイツとしてもそのために努力すると伝えたということです。

ウクライナ南部、クリミア半島周辺の黒海で25日夜、ウクライナ海軍の小型艦船など3隻がロシア国境警備庁の警備船から銃撃されたあと拿捕(だほ)されたことを受けて、国連の安全保障理事会で26日、ウクライナの要請に基づいて緊急の会合が開かれました。

ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、現場はクリミアとロシア本土を結ぶケルチ海峡にロシアがことしかけた橋の周辺で、ウクライナ軍の艦船が海上の境界線を侵犯したと指摘し「これは挑発だ」としてウクライナを非難しました。

これに対してアメリカのヘイリー国連大使は「ウクライナの艦船はケルチ海峡を通過して自国の港から港へ移動する唯一の手段をとろうとしただけだ」と述べ、ロシアに対して海峡での自由な航行の権利を尊重するよう求め、イギリスやフランスなどもウクライナを支持する立場を表明しました。

当事者として出席したウクライナのイェルチェンコ国連大使も、航行の自由は両国の合意事項だとしたうえで、ウクライナ側のけが人のうち3人は重傷でうち1人は重体だとしてロシアの攻撃を厳しく非難するなど、双方の主張は真っ向から対立しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/26/200330ウクライナ“ロシアから攻撃” ロシア“領海侵犯” 対立が懸念)

これについてアメリカのポンペイ国務長官は26日、声明を発表し、「アメリカ政府はロシアの攻撃的な行為を非難する。ロシアは船と乗組員をウクライナに戻し、ウクライナの主権を尊重するよう求める」としてロシアを非難しました。

また、ポンペイオ長官は、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話で会談し、アメリカ政府としてウクライナの主権を強く支持すると強調しました。

一方、トランプ大統領は26日、この件について記者団に聞かれ、「よくないことだ。全くうれしくない、全くだ」と述べました。

アメリカはロシアによるクリミア併合を認めず、ロシアに制裁を科していますが、トランプ大統領は今週開かれるG20サミットに合わせてプーチン大統領と首脳会談を行う見通しで、大統領本人は直接の非難を避けたと受け止められています。