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女子御三家」のうち雙葉はカトリック系、女子学院はプロテスタント系であるのに対し、桜蔭は宗教色を持たず、代わりに日本人としての礼儀や嗜みを身につける礼法の授業が特色だ。

「共学校はどうしても社会の縮図になりがちです。『女らしさ』や『可愛らしさ』などの性差のバイアスに引っ張られ、女子自身が自らの能力を狭めてしまう傾向もある。特に思春期は、異性からどう見られるかがヒエラルキーを決定づけるため、容姿が優れコミュニケーション能力が高い子はトップに立ち、いわゆるオタクは最下層に落ちる。


ところが、女子校あるいは男子校ではその価値観から解放されます。異性の目を気にせず、自分の好きな趣味や学問に没頭できるため、成果や自信も生み出しやすい。実際に女子校出身者のほうが共学出身者よりも進学先の選択肢が多様で、かつ理系に進む女性が多いことは、海外の調査でも明らかになっています」


論理的思考能力は学問のみならず、交友関係にも影響を及ぼしている。一般的に女子の世界では、誰と誰が仲が良いか、誰がピラミッドのトップに立っているかなど、複雑な人間関係に悩まされることも多い。ところが桜蔭では、むしろ他人と必要以上につるむことが嫌がられるなど自主独立の傾向が目立つ。


「トイレに友達と連れ立っていくなどありえない」「気が乗らなければ『今日は1人で帰る』といっても誰も何も思わない」「議論はしても学校で喧嘩を見たことがない」という話は桜蔭生からよく聞かれる。


感情論ではなく論理的に相手を論破していく力は、長じて物事に冷静に対処していく基礎力となる。だが同時に、卒業して初めて女子同士のドロドロとした交友関係に接し、その対処の仕方に戸惑ったと語る卒業生も少なくない。性差を超えた能力と対人関係力、これが桜蔭生の特徴ともいえるだろう。


世の中には、まことしやかに流れる「女子御三家」生徒の気質を表す例え話がある。それは、「道に空き缶が落ちていたら、桜蔭生は参考書を読んでいて空き缶に気づかない、雙葉生は拾って捨てる。女子学院生は皆を集めて缶蹴りをする」というものだ。


これを矢野氏はこう書き換える。


桜蔭生はごみ箱に捨てにいくが、途中で缶に記された原材料や成分をチェックする。女子学院生は考え事にふけり缶が落ちていることにそもそも気づかない。雙葉生は誰が捨てるかじゃんけんで決めるが、他人が通りかかったら自分で捨てにいく」

矢野氏が数多くの在校生、卒業生からの聞き取りを通じて感じたのは、3校とも総じて真面目な人材が多いが、それでも女子学院は自由奔放さが、雙葉はそつなく対人関係を築ける器用さがある一方、桜蔭生は真正の生真面目な生徒が多いということだ。「桜蔭生からは自嘲的に『桜蔭生は東大に行くより結婚するほうが難しい』という話が出ることがあります。教え子の中には子どもを持つことを『種を残す』と表現した子もいて、さすが理系だと感心したこともありました(笑)」。


では実際に卒業生が見る桜蔭はどのような存在なのだろうか。現在、ベビーシッターサービス事業「キッズライン」CEOの経沢香保子氏が評する桜蔭生の特徴は「最大限の努力が標準搭載されている人々」だと力説する。


「とにかく空気を吸うように勉強する人たちです。新学期初日にはすでに教科書をすべて読んで理解しているかのような。勉強はできて当たり前だから、成績がいいことが売りになるわけではない。学校側も成績を一切公表しないし、勉強ができるかどうかで人を判断しません。だから自分がどのレベルにいるのか、卒業するまでわかりませんでした。私自身は浪人して初めて自分の実力を知りました(笑)」

「起業家というと冒険心溢れる性格のように思われますが、実はとても手堅い手法を選ぶタイプです。桜蔭の卒業生に医師が多いのも、実は医師という手に職を付ければ、結婚、出産、転勤など関係なく全国どこでも働くことができる。男性を超えるというより女性が生きる道を堅実に選んでいる結果だと思います」


「努力は必ず報われる」「人の2倍努力すれば成せる」。そんな言葉にこそ、実は桜蔭生の1番の力が潜んでいるのかもしれない。一方で、その「真面目さ」「努力」「明晰な思考力」が裏目に出ることもあるという。