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シリアの首都ダマスカス近郊にある反政府勢力の拠点、東グータ地区では、アサド政権が先月18日に攻勢を強めて以降、600人以上の住民が犠牲になり、国内外から非難の声が上がっています。


こうした中、国営テレビは23日、反政府勢力側がけが人をでっち上げ同情を集めようとしている証拠だ、として出血しているように見せるため赤い塗料を顔などに塗っている様子だとする映像を放送していました。
ところが、この映像は去年2月、パレスチナ暫定自治区で病院関係者を対象に行われた救急医療の訓練を地元のテレビ局が撮影したもので、東グータ地区とは関係のない映像だったことが中東の衛星テレビ局の報道などで明らかになりました。


この訓練でけがのメイクを担当したパレスチナ人の男性はNHKの取材に対し「われわれのアートが政治に利用されたのはとても不幸なことで、ショックを受けている」と話していました。


アサド政権としては国営テレビを通じて印象操作を行うことで、東グータ地区への攻撃で多くの住民が犠牲になっていることへの批判をかわす狙いがあったとみられます。

シリア:安保理決議2401号と最近の軍事情勢 | 公益財団法人 中東調査会

 ダマスカス東郊での戦闘は、過去数年、ロシアが同地域を占拠する武装勢力に対し「ヌスラ戦線」を退去させることによる和解の実現を目指して交渉を進めていた。しかし、同地域を占拠する「イスラーム軍」などのその他の「反体制派」武装勢力も、程度の差はあれ「ヌスラ戦線」同様イスラーム過激派とみなすべき団体であり、「反体制派」が自発的に「ヌスラ戦線」などを排除する見込みは薄かった。交渉の失敗を受け、ロシア軍も「イスラーム軍」などを見限る形となったことから、ダマスカス東郊への攻撃が激化したとも考えられる。なお、同地域での「停戦」や民間人の退避については、戦闘当事者の双方がこれが実現しないのは敵方のせいであると主張し続けており、民間人被害の回避・軽減のめどはたっていない。こうした状況下で、SNSなどを通じて発信される情報を無批判に事実として受容することは、戦闘の当事者のプロパガンダに迎合することにもなりかねないため、注意を要するだろう。いずれにせよ、事態は「シリア軍・ロシア軍が攻撃をやめさえすれば改善する」ような甘いものとは思われない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20180301#1519900859
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20180228#1519814731(これについて東グータ地区に住むジャーナリストの男性は、NHKの電話取材に対し、「これまで人々を殺し、医薬品の入手も妨害してきたロシアの監視下ではけが人を運び出せない」と述べて、退避が進まない背景には、政権とロシアに対する住民の不信感があると指摘しました。)