https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


TPP協定の署名式は日本時間の9日午前3時ごろから南米チリの首都サンティアゴ市で行われました。日本からは茂木経済再生担当大臣が出席し、参加11か国の閣僚らが協定にそれぞれ署名しました。


署名が完了したことが宣言されると、同席した各国の交渉担当者らから歓声が上がりました。また署名に先立ち、閣僚を代表して茂木大臣が、協定を迅速に発効させるため各国が議会の承認など国内手続きを進めることを盛り込んだ閣僚声明を発表しました。


このあと茂木大臣はスピーチをし「TPP11は21世紀のアジア太平洋地域に自由で公正なルールを作るものであり、将来ほかの多くの国や地域を引き付けることが可能となり、努力してそれを実現していこう」と呼びかけました。


日本政府は、世界の国内総生産=GDPの13%を占めるTPP協定の発効で、日本の成長力を持続的に高める経済効果が期待できるとして、アメリカが協定から離脱して以降、交渉を主導してきました。


日本政府は、協定の国会承認を求める議案と関連法案を今月中に国会に提出し会期内の成立を図る方針で、早ければ年明けの発効を目指したいとしています。

今回署名されたTPP協定は、2年前にアメリカを含む12か国でまとめたTPP協定を基に、離脱したアメリカを除く11か国がまとめたものです。
参加国の数にちなんで、アメリカが参加していた当初の協定を「12協定」、アメリカを除く11か国でまとめた今回の協定を「11協定」と呼ぶこともあります。

今回の協定は第1条でおよそ8000ページに上った当初の「12協定」をそのまま「組み込む」と規定し、内容のほぼすべてについて当初の協定を踏襲しています。
大きく異なるのは第2条で、一定の期間効力を停止する「凍結」項目を定めている点です。


著作権や特許など知的財産の分野を中心に22の項目について、アメリカの将来的な復帰も念頭に「締約国が合意するときまで規定の適用を停止する」、つまり凍結するとしています。


日本政府はこの22項目の凍結が日本の通商政策に与える影響は「極めて限定的だ」と説明しています。

協定の発効条件も変更されました。当初の「12協定」では参加国の国内総生産=GDPに関する規定が盛り込まれていたことから、圧倒的な経済規模を誇るアメリカの離脱により発効できなくなりました。


こうした経緯を踏まえて、発効の条件を署名国のうち「少なくとも6か国」が国内手続きを終えることだけにしたため速やかな発効が可能になりました。

新協定では今後の新規加盟国の扱いについて、前文で「この協定への加入を歓迎する」と表明しています。
そのうえで、新たに加入する際の条件として第5条で「締約国が合意する条件に従うこと」と規定しています。
仮にアメリカが新協定に参加する意向を示した場合は、すべての締約国の合意を得なければ、事実上加入できない仕組みになっています。

今回の協定には日本政府の強い要求により盛り込まれた条文も含まれています。
当初の「12協定」で日本が参加国を対象に設定した乳製品などの輸入枠は、アメリカの参加を前提とした規模だったことから、国内の農業関係者などからは「アメリカの離脱に合わせて輸入枠も縮小すべきだ」という指摘が出されました。
このため新協定では、アメリカのTPPへの復帰の見込みが無くなった場合には締約国が協定内容の見直しを要請できるとする「見直し条項」が加えられています。

各国の閣僚からは、保護主義的な傾向を強めているアメリカを念頭に自由貿易の重要性を強調する発言が相次ぎました。


チリのムニョス外相は「私たちは誰も望んでいない『貿易戦争』という保護主義の圧力があることは承知している。私たちが行ったのは門戸を開く行為で、すでにこの協定に参加したいという国もある。TPPは協定の中身を受け入れる国にはオープンなものだ」と述べました。


オーストラリアのチオボー貿易・投資相は「自由貿易は私たちの国の成長や雇用などによい効果をもたらすものだ」と述べました。


ベトナムのアイン商工相は「すべての国が尽力した結果、署名に至ったことをとてもうれしく思う。今回の協定は、自由貿易の重要性と保護主義と闘うという強烈なメッセージになった」と述べて、TPPが署名に至った意義を強調しました。


カナダのシャンパーニュ国際貿易相は「私たちはすでに国内手続きを始めている。どの国もこの協定の利益を一刻も早く国民に届けたいと思っていると思う」と述べ、TPP協定の早期発効に向けて国内手続きを急ぐ考えを示しました。

#TPP