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トランプ大統領は8日午後2時すぎ(日本時間9日午前3時すぎ)からホワイトハウスで演説し、「今の核合意のもとではイランの核保有を止められない。核合意は根本的に欠陥だ」と述べ、前のオバマ政権が結んだ核合意から離脱する考えを明らかにしました。そのうえで、「イランの政権に対する制裁を再開させる文書に署名する。われわれは最大級の経済制裁を実施していく」と発表しました。


アメリカ政府によりますと、トランプ大統領の今回の発表を受けて、イランの中央銀行などと取り引きする外国の金融機関やイラン産の原油など、資源の取り引きに関わっている企業などが制裁の対象になるということです。


アメリカ政府は取り引きの内容によって、90日と180日の2段階の猶予期間を設けるとしていて、この期間内に取り引きをやめなければ制裁を科すと警告しています。


核合意はイランの核開発を大幅に制限する代わりに、関係国が制裁を解除するとしたものですが、トランプ大統領は今週12日の期限までに核合意の欠陥を修正できなければ離脱すると主張してきました。


アメリカが離脱の方針を明らかにしたことでイランは強く反発していて、核合意の枠組みの崩壊につながるおそれもあります。


イランの核合意をめぐっては、先月、フランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相らが相次いでワシントンを訪問し、核合意の維持を求めてきましたが、トランプ大統領の判断に対し、ヨーロッパなど国際社会にも大きな波紋を広げています。

イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカのトランプ大統領がイラン核合意からの離脱を表明したあと、直ちに会見し、「イスラエルは当初からイラン核合意に反対しており、トランプ大統領の歴史的な勇気ある決断に感謝したい」と述べました。


一方、イスラエル軍は隣国のシリアにあるイランの軍事施設で不審な動きが確認されたとして、シリアと接する地域についてはミサイル攻撃を警戒し、避難用のシェルターをすぐに使用できるよう準備を指示しました。また、ミサイルを迎撃するための防衛システムの配備も各地で進めているとしています。

イランと敵対するサウジアラビアは8日、国営通信を通じて声明を発表し、トランプ大統領の判断を歓迎しました。そのうえで「サウジアラビアはイランが核開発を進めたり、大量破壊兵器を取得したりすることが絶対にないように、アメリカや国際社会とともに連携していく」として、イランが地域での影響力を拡大しないようアメリカなどと協力していく姿勢を強調しました。

オバマ前大統領は8日、声明を発表し、「核合意を危機にさらす決断は深刻なあやまちだ」と述べて厳しく批判しました。


この中で、オバマ前大統領は核合意はイランの核開発計画を著しく後退させ、現在も合意が機能していることはヨーロッパの同盟国や専門家だけでなく、マティス国防長官も認めていると指摘しました。


そのうえで、イランの核合意に含まれる査察と検証の枠組みは、北朝鮮の非核化でアメリカが取り組むべきことそのものだとして、合意からの離脱は「全く誤った方向に導くものだ」と主張しました。そして、「核合意がなければ、アメリカには最終的にはイランの核武装か中東での新たな戦争という負の選択肢しか残らないかもしれない」と警告し、核合意を維持すべきだと訴えました。

イランを後ろ盾にするシリアのアサド政権は声明を出し、「国際社会の反応や非難は、アメリカの孤立と政策の誤りを表している」として、アメリカを強く非難しました。そのうえで「イランに改めて連帯を示す。アメリカの敵対的な姿勢による悪影響を乗り越えることを確信している」として、イランの立場を支持しました。


イランのロウハニ大統領はアメリカのトランプ大統領の発表を受けて、直ちにテレビ演説を行いました。


この中で、ロウハニ大統領は「今夜、国際的な合意を順守するのはどちらの国かが明らかになった。アメリカは約束を守らない国だ」と述べて、トランプ大統領の判断を強く非難しました。


そのうえで、「トランプ大統領の不道徳な発言にもかかわらず、核合意は今後も維持され、世界の平和と安定に役立てられる」と述べて、イランとしては核合意にとどまり、合意の参加国であるヨーロッパの各国やロシア、中国との間で、アメリカ抜きで合意を存続させるための協議を行う方針を示しました。


一方で、イランのミサイル開発などに懸念を表明しているヨーロッパの国を念頭に、「必要となれば工業用のウラン濃縮を制限なしで再開する」とも述べて、今後の協議の中で国益が尊重されていないと判断すれば、ウラン濃縮を再開させることも辞さないと警告しました。


アメリカのトランプ大統領が、イラン核合意から離脱すると発表したことを受けて、フランスのマクロン大統領とイギリスのメイ首相、そしてドイツのメルケル首相は8日、共同で声明を出し、遺憾の意と懸念を示したうえで、イラン核合意は安全保障上、重要だとして、3か国は核合意にとどまることを表明しました。


そのうえで、「核合意が維持されるように各国と協力を続け、合意に基づく経済的な利益をイランの人々が受けられるよう努める」として、イランに対しても合意を引き続き守るよう呼びかけています。


声明ではイラン核合意の期限が切れる2025年以降も対象とした長期的な枠組みが必要だとしているほか、イランが進める弾道ミサイルの開発についても対処すべきだと指摘していて、トランプ大統領の批判に応えていく姿勢も強調しました。

イラン核合意の交渉の調整役を担ったEU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表は8日、訪問先のイタリアで緊急の記者会見を行い、遺憾の意を示しました。そのうえで、「イランが義務を果たすかぎり、EUも核合意の内容を完全に履行する」と述べ、アメリカが離脱しても核合意を維持し、制裁の解除を続ける考えを示しました。


さらに、イランとの核合意は世界の核不拡散の枠組みの維持や朝鮮半島の非核化を目指すうえで重要な役割を担っているとして、アメリカの離脱によって北朝鮮の非核化を目指す国際社会の外交努力に悪影響が出ることに懸念を示しました。


また、トランプ大統領が過去最大級の経済制裁を科すと発表したことについても懸念を示し、直ちに関係国の外相らと協議する考えを示しました。


一方、EUのトゥスク大統領も来週、ブルガリアで開かれる首脳会議で対応を協議する考えを示しました。


また、トランプ大統領の発表に先立って、EUとイギリス、ドイツ、フランスの3か国、それにイラン外務省の高官は8日、ベルギーの首都、ブリュッセルにあるEU本部で協議しました。協議の具体的な内容は明らかになっていませんが、今後の核合意の枠組みについて意見を交わしたものと見られ、アメリカを除く関係国の対応が注目されます。