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日銀は31日までの2日間、金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇率の実現に向けて「短期金利」と「長期金利」に誘導目標を設けた大規模な金融緩和策を一部修正することを賛成多数で決めました。


具体的には、現在0%程度としている長期金利の誘導目標について、「金利は経済・物価情勢などに応じて上下にある程度、変動しうるものとする」とし、長期金利の一定の上昇を容認することになりました。


また、短期金利のマイナス金利政策については、適用する金融機関の当座預金の額を減らすとしています。


これは大規模な金融緩和が長期化していることで、金融機関の収益の低下や国債の取り引きが低調になっていることなど、副作用への懸念が強まっていることから、長期金利の変動の幅を広げて副作用を和らげ、金融緩和の持続性を強化する狙いです。


さらに緩和の一環で買い入れているETF=上場投資信託について、銘柄ごとの買い入れ額を見直すなど金融政策をより弾力的に運営させる方針を示しました。


そのうえで今後の金融政策について「来年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価情勢の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」として大規模な緩和を継続する姿勢を強調しました。


一方、合わせて公表した最新の物価上昇率の見通しでは、今年度をこれまでの1.3%から1.1%に、来年度をこれまでの1.8%から1.5%に、それぞれ引き下げ、2%の物価目標の実現の道筋は一段と不透明になっています。

大規模な金融緩和が5年以上続いていることで、さまざまな副作用への懸念の声が強まっています。


副作用の1つは、金融機関の収益の悪化です。


歴史的な低金利が長期化しているため、金融機関は、企業への融資で利ざやが稼げず、本業のもうけを示す「業務純益」が悪化しています。
中でも、海外の事業などで利益を上げにくい地方の金融機関がより大きな影響を受けています。


また、このところ国債の市場で取り引きが低調になっていることも副作用の1つに挙げられます。


日銀は、金融緩和の手段として大量の国債を買い入れていて、すでに全体の40%以上を保有するまでになっています。
この結果、国債がいわば品薄になっていて、長期金利の代表的な指標になる10年ものの国債で、売買が一日中成立しない日が相次ぐなど、市場の機能の低下に懸念が広がっています。


このほか、金融緩和で供給された大量のお金が不動産市場などに流れ込み、投資の過熱を招いているのではないかといった指摘や、株式を組み込んだETF=上場投資信託を日銀が大量に買い入れていることをめぐって、将来、緩和を縮小する際に株価に大きな影響が出るといった声もあります。


また、低金利が長引いていることで政府の利払い費が抑えられ、結果として財政規律を緩ませているのではないかといった指摘や、今後、景気が悪化した際に経済を下支えする政策の余力が乏しいといった指摘も出ています。


2%の物価目標の実現にめどが立たない中、日銀は、こうした副作用にどう目配りしながら政策運営をしていくのか、問われるようになっています。

日銀は大規模な金融緩和策で2%の物価上昇率の実現を目指していますが、物価の伸びは鈍いままです。


黒田総裁が就任して初めてとなる5年前(平成25年)の4月の金融政策決定会合では、2%の物価目標を2年程度で実現するとして、日銀が供給するお金の量を2倍にするなど大規模な金融緩和策を打ち出しました。
その結果、この月にはマイナス0.4%だった消費者物価指数の上昇率は2か月後にプラスに転じ、次第に上げ幅を拡大。
よくとしの平成26年4月には、消費税率引き上げの影響を除いて1.5%程度まで上昇率が高まります。


しかし、この年の夏ごろから原油価格の下落などによって物価の伸びは弱まり、日銀は10月、市場に出回るお金の量をさらに増やす追加の金融緩和に踏み切ります。


さらにおととし1月、日銀はマイナス金利政策を導入したほかこの年の9月には長期金利にも誘導目標を設けるなど新たな政策の枠組みを導入。


日銀が一貫して金融緩和を強化する中で、消費者物価は再び上昇基調となり、ことし2月には1%まで上げ幅が拡大しました。


しかしその後は上げ幅が縮小し直近のことし6月の消費者物価指数の上昇率は0.8%と、2%にはほど遠い状況となっています。


この間、日銀は2%の物価目標の実現時期の見通しを6回にわたって先延ばしし、ことし4月になって具体的な実現時期の見通しの公表を取りやめていました。


 日銀自身は「強力な金融緩和を粘り強く続けていく」ための方策と説明しているが、緩和強化のようにも見せつつ、緩和縮小の余地も加えたのがミソだ。インフレ目標達成のめどが立たず、窮まっているなかで、日銀が苦し紛れに繰り出した異次元緩和の延命策、弥縫(びほう)策とみるべきだろう。


日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、長期金利の一定の上昇を容認するなどの今の金融緩和の一部修正を決めたことについて「金融緩和の持続性を強化するため」と狙いを説明しました。
そのうえで、長期金利の変動幅について「今の政策の導入後のおおむねプラスマイナス0.1%の幅から、上下、倍程度に変動しうることを念頭に入れる」と述べました。


日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、2%の物価目標を実現する時期の見通しについて、「従来から示していた2019年度ごろに2%になるという見通しが後ずれしているのは事実だ」と述べ、目標の実現が一段と遅れるという見通しを示しました。


この中で黒田総裁は、今回の会合で今年度以降の物価上昇率の予測を引き下げたことを踏まえ「2%の物価目標の実現が、従来から示していた2019年度ごろという見通しより、あとずれしているのは事実だ」と述べ、物価目標の実現は一段と遅れるという認識を示しました。


そのうえで、長期金利の一定の上昇を容認するなどの金融緩和策の一部修正を決めたことについて、「金融緩和の持続性を強化するためだ」と説明しました。


そして、金利を低く抑え続けることで国債の市場で取り引きが減少し、市場の機能が低下していることなど、緩和の副作用に配慮したという認識を示しました。


具体的な長期金利の変動幅については「今の、おおむねプラスマイナス0.1%の幅から、上下、倍程度を念頭に入れる」としました。


このほか黒田総裁は、長引く低金利で銀行などの収益が低下していることについて「金融機関の仲介機能が将来、停滞する方向に向かうリスクはありえる」と指摘し、金融機関の経営体力が一段と低下すれば、十分な融資などを行えなくなるおそれが生じるという認識を示しました。


一方、黒田総裁は「早期に出口に向かうのではないかといった観測は完全に否定できる」と述べ、今回の決定は緩和を縮小して金融政策を正常化させるようなものではないという考えを強調しました。