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芥川賞の受賞が決まった上田岳弘さんは、兵庫県明石市出身の39歳。早稲田大学を卒業後、IT企業の立ち上げに加わり、現在、その会社の役員を務めています。

平成25年に「太陽」で文芸誌の新人賞を受賞してデビューし、平成27年に発表した「私の恋人」で三島由紀夫賞を受賞しています。

芥川賞は3度目の候補で受賞しました。

受賞作の「ニムロッド」は、サーバーの保守会社に勤める主人公の男性が、仮想通貨「ビットコイン」の取引データを記録する業務を命じられるところから物語が始まります。

誰かが記録することで存在が証明されるというビットコインの仕組みを紹介しながら、主人公と恋人の女性や会社の先輩とのやり取り、それに、その先輩が書く小説を巧みに織り交ぜ、高度に情報化した社会における個人の在り方を問いかけています。

芥川賞の受賞が決まった町屋良平さんは、東京都出身の35歳。埼玉県内の高校を卒業し、3年前に5人の男女の青春を描いた「青が破れる」で文芸誌の新人賞を受賞してデビューしました。

芥川賞は前回の候補作だった「しき」に続いて、2回目での受賞となりました。

受賞作の「1R1分34秒」は、無名のプロボクサーが、現状に悩みながらもボクシングに打ち込む姿を描いた物語です。

同じジムの先輩の指導に反発しながらも自己を見つめ直し、人間的にもボクサーとしても少しずつ変わっていく内面の移ろいが、細やかに描かれています。

直木賞の受賞が決まった真藤順丈さんは、東京都出身の41歳。
大学を卒業後、自主制作映画を手がけたのち20代後半から本格的に小説を書き始め、平成20年に「地図男」や「庵堂三兄弟の聖職」など4つの異なる作品が立て続けに新人賞を受賞し、華々しいデビューを飾りました。

直木賞は今回、初めての候補での受賞となりました。

受賞作の『宝島』は、戦後、アメリカ占領下の沖縄で米軍から物資を強奪して暮らしていた「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちの視点で、昭和47年の本土復帰までの20年間を描く青春群像劇です。

基地を襲撃した「戦果アギヤー」の英雄が行方不明になったあと、残された3人の男女がその消息を追いながら懸命に生きる姿を沖縄の戦後史の流れの中で描いた長編小説で、現代の基地問題につながる重いテーマを扱いながらも、沖縄の方言を多用したじょう舌かつ軽快な語り口で物語が進みます。