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この事件は、平成24年12月、浜松市東区の貸倉庫で建設会社経営の高森繁治さん(当時68)の遺体が見つかったもので、高森さんを殺害し倉庫に遺体を遺棄したとして、浜松東区の歯科医師、藤井敏美被告(63)が殺人や死体遺棄などの罪に問われています。

捜査関係者によりますと、起訴内容を否認しているということです。

裁判官や検察官、弁護士は、平成25年の4月から争点などを整理する「公判前整理手続き」を始めましたが、逮捕から6年余りが経過しても裁判員裁判の日程が決まっていませんでした。

こうした中、静岡地方裁判所浜松支部は、ことし5月14日に初公判を開くという日程が決まったことを明らかにしました。

今回の事件で「公判前整理手続き」が長期化したのは、弁護士が検察に求めた証拠の開示に関して調整に時間がかかったことや、裁判所が実施することを決めた鑑定が終わるまでに時間がかかったことなどが主な要因とみられていますが、裁判の準備がこれだけ長期化したのは異例のことです。

手続きが長期化したことについて、静岡地方裁判所浜松支部は、「長期化の個別の理由については回答できない。ただ、『公判前整理手続き』を適切、かつ合理的な期間内に終えることが重要だということは認識しており、これを実現するための努力は今後も続けたい」としています。

長期化した結果、検察側の証人になる予定だった人物が裁判が開かれる前に亡くなるという事態も起きましたが、関係者の1人は、調書があるため大きな影響はないとしています。

「公判前整理手続き」とは裁判の前に裁判官、検察官、それに弁護士の3者が集まって証拠や争点を絞り込む手続きです。

裁判員制度が始まる4年前の平成17年に始まり、裁判を短くして裁判員の負担を減らすほか、法廷での審理を充実するねらいもあります。

最高裁判所のまとめによりますと、裁判員裁判での公判前整理手続きにかかった期間は、平成21年には、平均で2.8か月でしたが、去年は8.2か月と長期化する傾向にあり、とくに被告が起訴内容を否認する事件で長くなっています。

また、去年までに1万1000人余りの被告に対して行われた裁判員裁判で、公判前整理手続きの期間が3年を超えたケースの被告は14人となっています。

このうち最も長かったのは5年11か月余りで、今回はそれとほぼ同じ期間に及んでいます。

刑事裁判は法廷を開いて審理するのが基本的な原則で、裁判が始まらないまま公判前整理手続きが長期化すると、さまざまな弊害があると指摘されています。

どうしても記憶が薄れるため、証人が鮮明な記憶に基づく証言ができなくなることや、被害者や遺族にとっては被告の処罰が決まらず、精神的な負担が続くことになります。

公判前整理手続きの長期化は刑事裁判官の間でも問題意識が共有されていて、去年、最高裁判所司法研修所が期間を短縮するため、手続きの適切な進め方を報告書にまとめ、公表しています。