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佐藤社長が、この仕事を始めたのは、およそ40年前です。当時、給食はパンが主流でしたが、当時の食糧庁が、コメの消費を拡大しようと、全国のパン工場補助金を出して、炊飯設備を導入するよう促しました。

しかし、その後、設備を更新するための補助金は出なかったそうです。農林水産省文部科学省に確認すると、市町村が所有する給食施設には、一部、補助が出る場合もあるそうですが、民間業者への補助は確かになくなっていました。

佐藤社長は、炊飯釜を10年ごとに新しくしたいと考えていましたが、その費用は1台で10万円。工場にある30個の釜をすべて買い替えるとなると300万円が必要です。

少子化で売上が減少する中で、従業員に支払う人件費や保険料などは年々、増加しました。そのため、炊飯釜を買い替える費用が工面できなかったと言います。

「経営が苦しくて何度もやめようと考えました。体力も金もどんどんなくなっていくわけですから…。でも『自分がやめたら子どもたちに給食が届かなくなる』ということが常に頭の片隅にあったので、簡単にはやめられませんでした」

山形県内の炊飯工場の多くは、家族経営の零細企業です。売上の減少に、後継者不足が追い打ちをかけて、以前は50あった炊飯工場は3分の1にまで減少しています。