シリア領ゴラン高原 トランプ大統領「イスラエルに主権」署名 #nhk_news https://t.co/B2dUhyqss5
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年3月25日
トランプ大統領は25日、ホワイトハウスでネタニヤフ首相と首脳会談を行い、「イスラエルの自衛能力を強化するために、歴史的な措置をとる」と述べて、イスラエルが占領するシリア領のゴラン高原についてイスラエルの主権を認める宣言に署名しました。
これに対しネタニヤフ首相は「エルサレムの首都認定に続いてまたもや勇気ある決断をしてもらった。あなたは歴代のアメリカ大統領の中でイスラエルにとって最良の友人だ」と謝意を表しました。
ゴラン高原はもともとシリアの領土ですが、1967年の第3次中東戦争で隣国イスラエルが占領しました。
最近はシリアのアサド政権を支援するイランがゴラン高原の周辺まで軍事的な影響力を伸ばしているとして、イスラエルは主権を認めるようアメリカに働きかけていました。
ネタニヤフ首相は来月の議会選挙で苦戦が伝えられる中、トランプ大統領から引き出した外交的な成果だとして国内向けにアピールしたい考えです。一方、トランプ大統領としては、敵対するイランの動きをけん制するとともに、イスラエルを擁護する姿勢を鮮明にすることで来年の大統領選挙を見据えてキリスト教福音派など国内の支持基盤をつなぎとめるねらいがあります。
ただ、シリアやシリアの後ろ盾となっているイランが反発し、イスラエルの周辺で緊張が高まるおそれもあるほか、イスラエルの主権を認めていない国際社会にも波紋が広がっています。
シリアのムアレム外相は25日、国営テレビを通じて「ゴラン高原についてイスラエルの主権を認めたことで、アメリカは自身の孤立を招くだろう」とアメリカを非難し、「何年たとうとゴラン高原が占領されたシリアの領土であるという事実は変わらない」と訴えました。
アラブ諸国やパレスチナが加盟するアラブ連盟は25日、アブルゲイト事務局長の声明を発表し、「アメリカの宣言によってもゴラン高原の法的地位は何ら変わらない。占領されているシリアの領土であり、イスラエルの主権は認められていない。国連安保理の決議でもこの点は確認されている」と強調しました。
そのうえで「アラブ連盟は占領地におけるシリアの権利を強く支持し、この立場はアラブ諸国の賛同を得ている」として、今月末にチュニジアで開かれるアラブ連盟の首脳会議でもこの立場が確認されるだろうとの見通しを示しました。
アメリカがゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めることについて、シリアの後ろ盾となっているロシアは強く反対してきました。
25日、トランプ大統領による署名の前にアメリカのポンペイオ国務長官と電話会談を行ったロシアのラブロフ外相は「イスラエルの主権を認めることは重大な国際法違反だ。シリア危機を収束させる上で障害となり、ひいては中東全体の情勢を深刻化させる」とけん制しました。
イスラエル軍 ガザを報復空爆 停戦情報も武力衝突続く #nhk_news https://t.co/xbse0tK0B8
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年3月25日
イスラエル中部のネタニヤ郊外で25日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区から発射されたロケット弾1発が住宅街に着弾し、生後6か月の乳児を含む住民7人がけがをしました。
これに対してイスラエル軍は、ロケット弾攻撃はガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるものだと断定し、25日午後、ハマスの拠点をねらった空爆を開始したと発表しました。
イスラエルのネタニヤフ首相はロケット弾攻撃を受けて「われわれは激しい反撃を行う」と述べていて、イスラエル軍が報復攻撃に乗り出した形です。
ガザの保健当局によりますと、ハマスの情報機関など少なくとも8か所が空爆され、住民の男性7人がけがをしたということです。
その後、日本時間の26日午前5時ごろになってハマス側から一時停戦で合意したという情報が出たものの、現地ではその後も散発的に武力衝突が続いていて、事態が収束に向かうかは不透明です。
ガザ地区をめぐる情勢について、国連のグテーレス事務総長は深く懸念しているとして当事者に自制を求めました。
これは国連のデュジャリック報道官が25日、定例の記者会見の冒頭でグテーレス事務総長のコメントとして読み上げたものです。
この中で「ガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾が発射されたのは容認できない国際法違反だ」としてガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスを非難したうえで「すべての当事者に最大限の自制を促す」と述べ、イスラエル側を含む当事者がこれ以上の攻撃を避けるよう呼びかけています。
そのうえでデュジャリック報道官は「事務総長はパレスチナ問題で仲介役を務めてきたエジプトや関係国との接触を通じて緊張の緩和に引き続き取り組む」としています。
国連では26日、安全保障理事会がパレスチナ問題を話し合う定例の公開会合が開かれる予定で、国際社会の対応が注目されています。
サウジとイランの代理戦争 イエメン本格内戦4年 800万人飢餓 #nhk_news https://t.co/sAMfrdEINZ
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年3月26日
イエメンでは、反政府勢力に首都を追われたハディ政権を支援するため、2015年3月26日にサウジアラビアなどが軍事介入を始めたことで内戦が本格化しました。
一方、サウジアラビアと中東の覇権を争うイランが反政府勢力を支援し、現在はイエメンを舞台にした代理戦争の様相を呈しています。
国連によりますと、内戦による死傷者は1万8000人余りに上り、食糧難で国民の3分の1にあたる800万人が飢餓に直面するなど、最悪の人道危機となっています。
去年12月には、支援活動の拠点となってきた西部の都市から双方の部隊が撤退する合意が国連の仲介で結ばれましたが、その後も合意は履行されず、食糧の配給に支障が出続けています。
ハディ政権のエルヤニ情報相は20日、NHKの取材に「反政府勢力は合意を履行せず、時間稼ぎをしているだけだ。背後にイランがいて、彼らに権限がないからだ」と批判を強めています。
これに対して反政府勢力側もサウジアラビアなどの軍事介入が内戦を泥沼化させていると主張して譲らず、内戦の終結に向けた道筋は4年を経てなお見通せない情勢が続いています。