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日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)はオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部をみずからに還流させ5億5000万円余りの損害を与えたとして今月22日、特別背任の罪で東京地検特捜部に追起訴されました。

ゴーン前会長は去年11月の最初の逮捕から108日間にわたって身柄を拘束されたあと、保釈金10億円を納めて先月6日にいったん保釈されましたが、保釈中の今月4日に再逮捕され、再び身柄を拘束されました。

弁護団は追起訴を受けて改めて保釈を請求していましたが、東京地方裁判所は25日午前、ゴーン前会長の保釈を認める決定を出し、25日夜、保釈に反対する検察の準抗告も退けました。

ゴーン前会長はすでに追加の保釈金5億円を納めていて、午後10時20分ごろ東京拘置所から保釈されました。

ゴーン前会長は先月保釈された際には作業員に変装した姿で拘置所を出ましたが、今回は黒っぽいスーツに白いシャツを着ていて弁護士とともに黒いワゴン車に乗り込み、拘置所をあとにしました。

関係者によりますと、検察は追起訴した事件には前会長の妻のキャロルさんや息子の会社も関係しており、前会長がキャロルさんらを通じて事件関係者に働きかけ証拠隠滅を図った疑いもあると主張し保釈に強く反対したということです。

しかし、今回の保釈の条件ではキャロルさんとの接触も原則禁止されていて裁判所は保釈を認めても証拠隠滅のおそれは低いと判断したとみられ、勾留が続くことによる裁判への影響なども考慮したものとみられます。

ゴーン前会長の代理人は今月22日、「追起訴は日産の特定の人物らによる陰謀だ」などとする声明を発表していて、今後の動向が注目されます。

前回の保釈の際、作業員の姿に変装していたゴーン前会長ですが、25日夜はノーネクタイのスーツ姿で東京拘置所を出ました。

前回の変装を考案したという高野隆弁護士は「私の未熟な計画のために彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗る結果となってしまいました。」とみずからのブログで謝罪し、理由については「安全に住居に送り届けるためだった」と説明しています。

前回の変装には多くの批判も出たことから今回は、変装せずスーツ姿で拘置所を出たものとみられます。

検察幹部は「証拠隠滅の恐れが具体的にあるのに、保釈許可決定はあり得ない」と反発し、弁護人の弘中惇一郎弁護士は「検察側が激しく反対したので不安もあったが、良かった」などと安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 関係者によると、ゴーン前会長は勾留中に妻キャロルさんに指示し、「サウジアラビアルート」の特別背任事件で不正送金先となった実業家、ハリド・ジュファリ氏らに接触を図ったとみられる。ある検察幹部は「これほど具体的に証拠隠滅の恐れを示す事実があるのに、保釈を許すのはおかしい。刑事司法の令状を巡る実務が崩壊した」と憤った。

 また、東京地検の久木元伸・次席検事は「(前会長が)事件関係者に対する働きかけを企図していたことなどを(地裁が)認めた上、証拠隠滅の疑いがあるとしながら、保釈を許可したことは誠に遺憾」とする異例のコメントを出した。

 一方、弘中弁護士は、地裁の保釈許可決定を受けて同日夕、報道陣の取材に応じ「保釈に反対する検察側の意見書を見ても、保釈条件に違反したということは一切ない」と説明。検察側が、キャロルさんが事件関係者と接触していたと指摘した点については「会ったというだけで、証拠隠滅を働きかけたと言っているわけではない」と語った。

 東京地検特捜部がゴーン前会長を特別背任容疑で4月4日に再逮捕した際、キャロルさんの携帯電話なども押収したことを不服とした弁護側の特別抗告に対し、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は24日付で棄却する決定を出した。

 特捜部は捜索で、キャロルさんの携帯電話や、住居の玄関に設置された監視カメラの録画データなどを押収した。


弁護団弘中惇一郎弁護士は25日夕、報道陣の取材に応じ、「ほっとした」「何でもかんでも『証拠隠滅』と言われることがなくなるきっかけになればいい」と述べた。

 保釈決定では、前回の保釈時の条件に加え、ゴーン前会長の妻キャロルさんとの接触禁止が盛り込まれた。弘中氏は、前会長が中東オマーンの販売代理店にかかわる特別背任事件で逮捕されるよりも前に、キャロルさんが事件の関係者に会ったことがあるとした上で、「まだ事件にもなっていない時に、会うことが悪いことだと思う方がおかしい」「証拠隠滅を働きかけたわけではない」などと説明した。

 「地裁は証拠隠滅の恐れが低いと判断したのではない。それを認めたのに保釈決定を出した。全庁的に怒り狂っている」。ある検察幹部は憤りを隠さない。

 地検の久木元(くきもと)伸次席検事は「事件関係者に対する働きかけを企図していたと認めた上、保釈を許可したのは誠に遺憾」と裁判所の決定内容に言及する異例のコメントを出した。

 特捜部が家宅捜索で押収した携帯電話などから特定した「働きかけ」の一つは具体的だ。関係者によると、ゴーン被告が金融商品取引法違反容疑などで勾留されていた昨年12月ごろから今年1月上旬、妻のキャロルさんに指示し、日産資金を不正支出したとされるサウジアラビアの友人と日産のフランス人幹部の2人に対し、支出が正当なものだと説明するよう求めるメールを送信させたという。

 その後、1月8日に地裁で行われた勾留理由開示手続きの中で、当時の弁護団が「業務の正当な対価だった」などとする友人の証言を裁判官に述べた。

 キャロルさんは日産資金を不正に支出させ、自身に還流させたとされるオマーンの販売代理店の関係者とも接触している可能性があるという。

 地裁は保釈決定で、昨年12月ごろから2月上旬ごろの間、ゴーン被告による事件関係者への「働きかけの企図」があったと認定。証拠隠滅を疑う相当な理由があるとした。一方で弁護人らの指導、監督が徹底されていることなどを理由に、キャロルさんを接触禁止対象の事件関係者に加えるに留め、保釈を許可した。

 弁護人の弘中惇一郎(じゅんいちろう)弁護士は当初、「接触の事実はない」などと否定していたが、25日には事実関係には触れず、「保釈条件が設定される前に、妻が知人に会うことを特別悪いと思うのはおかしい」と反論した。

 一方、別の検察幹部は「ゴーン被告を拘束することを恐れる理由が分からない。そこまでして『人質司法』批判を避けたいのか」とした上で「これほど証拠隠滅を証明できたケースはなく、今後はこの誤った運用が定着していく」と他の事件への影響を懸念した。

 また、特捜部が22日の起訴後に求めたゴーン被告の弁護人以外との接見禁止について、地裁は証拠隠滅を図る可能性を認めた上で、ゴーン被告が勾留されていることから、それを防止できるとして退けていた。


 検察関係者は「勾留されているから証拠隠滅は防止できると指摘しておきながら、身柄拘束を解く決定を3日後に出す。明らかに地裁の判断は矛盾しており、『保釈ありき』ではないか」と疑問を投げかけた。

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)はオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部をみずからに還流させ5億5000万円余りの損害を与えたとして特別背任の罪で追起訴され、25日夜、東京拘置所から保釈されました。

ゴーン前会長は保釈されたあとアメリカの代理人を通じて声明を発表しました。この中で、家族や支援者に感謝を述べたうえで、「自白を強要するために、誰の身柄も拘束するべきではない」と述べ、再逮捕した東京地検特捜部を批判しました。

そして、東京地方裁判所が保釈の条件として、妻のキャロルさんとの接触を原則、禁止していることについて、「妻との連絡や接触を制限するのは、残酷で必要ないことだ。私たちは愛し合っている。彼女は裁判所で検察官によるすべての質問に答えた。何も悪いことはしていない」と述べ、強い不満を示しました。

そのうえで、「私は無実であり、根拠がない非難に対して争う。真実が明らかになる公正な裁判が開かれることを望む」と述べ、改めて無実を主張しました。

ルノーは26日、先月までの3か月間の決算を発表し、最高財務責任者のデルボスCFOが電話で会見しました。

ルノーが日産に経営統合を要求していることについて、デルボスCFOは「うわさにはコメントしない」と述べました。

ただ「われわれが求めているのは日産との企業連合を後戻りできないようにすることだ。自動車業界が激しく動いている今こそ、大きな力が必要だ」と述べました。

この日発表したルノーの先月までの3か月間の決算は中国や南米など広い地域で車の販売が落ち込んだため、売り上げが去年の同じ時期より4.8%減少しました。

デルボスCFOの発言は、厳しい競争にさらされる中、自動運転や電気自動車の開発などのためにも、日産とルノーの踏み込んだ関係強化が欠かせないという認識を示す内容です。

両社の提携関係の行方はルノーが再び経営統合を要求してきたことで不透明になっていて、ルノーがどこまで日産の経営に関与しようとしているのかが焦点になっています。

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