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セブンペイの場合も全く同様です。今回の不備が先行他陣営にキャッチアップしたいという、顧客本位でない自己都合的理由から生じたものであるがゆえに、セブン&アイ・グループとしてのイメージダウンは計り知れず大きいといえるのです。

歴史的なお上重視&顧客軽視の銀行文化ならともかく、流通の雄たるセブン&アイのこれまでの発展は顧客本位の姿勢に支えられたものではなかったのでしょうか。その姿勢を作り上げ徹底してきたのが、日本で初めてコンビニエンスストアを立ち上げ、我々の生活に欠かせない存在に押し上げた鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングスCEOでした。

鈴木氏の理念を象徴しグループの発展を支えてきた言葉に、「ライバルは同業他社ではない。顧客ニーズこそが最大のライバル」というものがあります。この理念があってこそ、セブン-イレブンはライバルを寄せ付けることなく、確固たるナンバーワンの地位を築いてきたわけなのです。コンビニエンスストア創業時も、2001年のコンビニバンク設立も、周囲の大反対をよそに成功に導けた理由は、顧客ニーズに寄り添う姿勢あればこそなのです。

今回のセブンペイの事故は、同業他社を最大のライバルとみてキャッチアップを急ぎ、キャッシュレスに対する安全性確保という最も大切な顧客ニーズを軽視した結果であるわけで、もし鈴木氏がいたならばこんな事態に陥ることはなかったに違いない。そんな見方をしてしまいたくなるほどに、現セブン&アイ・グループ経営陣の経営姿勢そのものに関わる問題なのではないか、と思えるのです。

考えてみれば、セブン-イレブンの営業時間短縮を求めるコンビニオーナーの一件にしても、鈴木氏が退任したあとに急激に表面化し監督官庁も巻き込んで社会問題化するに至っています。鈴木氏退任後のセブン&アイに一体何が起きているのか。

3年前の春、鈴木氏が退任の引導を渡した井阪隆一セブン-イレブン社長が、創業家を味方に付け自らの人事に異議を唱えたことから、一転鈴木氏の予期せぬ退任に発展したのでした。ここで思うのは、7年社長を務め業績的には問題のなかった井阪氏に対して、数々の先見の明を発揮してきた慧眼の持ち主である鈴木氏がそもそもなぜ退任を迫ったのか、です。

そこには恐らく明確な理由があったはずです。それが「顧客ニーズこそが最大のライバル」という長年のポリシーに照らしてのものではなかったのか。鈴木氏がいたなら起きていなかったであろうと感じる今回の一件をみるに、私はそう確信しています。

セブンペイが引き起こした今回の問題の焦点は、世間で言うようにセキュリティ面での脆弱性という問題がキャッシュレス・ビジネスの行く末に暗い影を落としたということがひとつ。

個人的にはさらにもうひとつ、セブン&アイ・グループのマネジメントにおいて、グループ業績を常に牽引してきた顧客重視の企業スピリッツが薄れているという経営上の脆弱性が浮き彫りになったという点に、より大きな驚きと危惧を持って受け止めています。

同社グループの経営の根幹に「顧客ニーズこそが最大のライバル」という理念を軸に据え直す原点回帰こそが、実はコンビニ24時間運営問題も含めた苦境からの復権のカギを握っているのではないかと感じる次第です。

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