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トルコのエルドアン大統領は、今月22日に天皇陛下が即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」に参列するため、日本を訪れる予定でした。

しかしトルコ大統領府の報道官は16日、NHKの取材に対し「予定が変わった」としてエルドアン大統領が日本訪問を取りやめたことを明らかにしました。

トルコは今月9日から隣国のシリア北部に軍を侵攻させて敵対するクルド人勢力への軍事作戦を続けていて、大統領の訪日取りやめは作戦の対応にあたるためとみられます。

トルコがシリア北部でクルド人勢力に対して続ける軍事作戦をめぐっては、クルド人勢力が、協力してきたアメリカ軍の撤退を受けて、シリアのアサド政権やその後ろ盾のロシアとの連携に踏み切りました。

シリア北部のマンビジでは、アメリカ軍の撤退後、アサド政権の軍に加え、ロシア軍も市内に展開してパトロールを始めました。

マンビジでは15日、アサド政権の軍からとみられる砲撃で、トルコ軍の兵士2人が死亡していて、ロシア軍もパトロールに加わることで両軍の衝突を避けるねらいもあるものとみられます。

ロシアのラブロフ外相は16日、「トルコが、自分たちの国境地帯の安全を確保しようとすることは、理にかなっている」と述べ、トルコの軍事作戦に一定の理解を示したうえで、トルコとシリアの仲介を進めることに意欲を示しました。

プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は、今月22日にロシアで首脳会談を行う予定で、ロシアとしてはシリア北部から軍を撤退させたアメリカに代わって、この地域での主導権を握るねらいがあるものとみられます。

シリア北部では現地に展開していたアメリカ軍の部隊が撤退したことをきっかけに、トルコが侵攻し、クルド人勢力に対する軍事作戦を続けています。

これを受けて、アメリカのペンス副大統領とポンペイ国務長官が16日夜、日本時間の17日朝、トルコに向けて出発しました。

ペンス副大統領は17日にトルコの首都アンカラエルドアン大統領と会談し、軍事作戦の中止を求めることにしています。

一方、トランプ大統領は16日、「私はトルコに許可を与えたつもりはない」と述べて、現地からアメリカ軍の部隊を撤退させた自身の判断がトルコの軍事作戦につながったという批判はあたらないと強調しました。

そのうえで「7000マイルも離れた自国の国境でもないところをアメリカの兵士が守る理由がない」などと持論を繰り返しました。

トランプ大統領としては現地からの部隊撤退が地域の不安定化につながったと国内外から批判の声が上がるなか、アメリカのための正しい判断だと強調し、来年の大統領選挙に向けて「アメリカ第一」の政策を実行していることをアピールしたいねらいもあるとみられます。

一方、アメリカ議会下院では、野党・民主党に与党・共和党の議員も多数加わって、トランプ大統領が決めたシリア北部からのアメリカ軍撤退に反対する決議案が可決されました。

この決議案は、トランプ大統領が決めたシリア北部からのアメリカ軍撤退に反対するもので、アメリカ議会下院で、16日、賛成354、反対60の賛成多数で可決されました。

議会下院は、野党・民主党が多数派を占めていますが、与党・共和党からも造反議員が130人近く出てトランプ大統領の決定を超党派で非難した形です。

国連安保理は、トルコがシリア北部に軍を侵攻させてクルド人勢力に対する軍事作戦を続け、市民の犠牲も増えていることから、ドイツやフランスの要請を受けて16日、先週に続いて2度目の臨時会合を開きました。

会合のあと、議長を務める南アフリカのマジラ国連大使は、安保理の総意として「過激派組織IS=イスラミックステートが復活する危険性と市民生活が悪化する可能性を深く懸念する」との発表文を読み上げました。

一方、トルコによる軍事作戦をめぐっては、ヨーロッパ諸国が「国際人道法にのっとった行動を改めて求める」と述べたほか、前回の会合では軍事作戦の是非に言及しなかったアメリカも歩調を合わせ、「地域の平和と安全を脅かす行為を中止し直ちに停戦を宣言すべきだ」として即時停止を求めました。

これに対してシリアのアサド政権を支持するロシアのネベンジャ国連大使は、「作戦は適切な形で行われるべきだ」と述べて、トルコの軍事作戦がアサド政権主導の内戦終結に向けたプロセスにどう影響するのか見極める姿勢を鮮明にし、安保理は今回も一致した行動を取れませんでした。

トルコがシリア北部で始めた大規模な軍事作戦に対し、敵対するクルド人勢力は、これまで距離を置いてきたアサド政権に接近し、政権側が軍を北部に進めたため、国と国とがにらみあう状況になっています。

ニューヨークで開かれている国連総会の軍縮委員会では、シリアのアサド政権の代表がトルコの軍事作戦を取り上げ「シリアでの領土を拡張しようというトルコの強欲な正体を現している。安全保障上の懸念は侵略行為の口実だ」と述べて、トルコを非難しました。

これに対してトルコの代表は答弁権を行使して「軍事作戦はシリアの国境地域で活動する危険なテロ組織を掃討して、国の安全を確保するもので正当な自衛権の行使だ」と反論しました。

さらに、シリア国内でこれまでに使われた化学兵器をめぐって、シリアの代表が、トルコがシリアに持ち込んだものをテロリストが使ったと主張したのに対しトルコの代表は、それはでっちあげでアサド政権の仕業だと確認されていると反論し、双方の対立の深さが改めて浮き彫りになりました。

トルコがシリア北部で続けるクルド人勢力への軍事作戦をめぐっては、トランプ大統領クルド人勢力と協力していたアメリカ軍の部隊を撤退させ、作戦を黙認したとして国内外から批判が高まっています。

これに対し、ホワイトハウスは16日、トランプ大統領が軍事作戦が始まった9日付けでエルドアン大統領に宛てた書簡を公表しました。

書簡は、冒頭で「いい取り引きをしよう!」と持ちかけたうえで、「あなたは何千人も虐殺することの責任を負いたくないし、私はトルコの経済を破壊することの責任を負いたくはない」と書き、軍事作戦をやめなければ経済制裁を科すことになると警告しています。

そして、クルド人勢力には譲歩の用意があると伝えたうえで、「強がるな。バカなことをするな!」と、軍事作戦をやめるよう求めています。

トランプ政権には書簡を公表することでトルコの軍事作戦を黙認したとの批判をかわすねらいがあるとみられます。

ただアメリカのメディアからは、口語体の稚拙な文章だ、とか外交の書簡とは信じられず冗談かと思った、などと別の批判があがっています。

シリア情勢をめぐってトランプ大統領は16日午後、ホワイトハウス与野党の議会指導部と協議しましたが、話し合いは途中で打ち切られました。

これについて野党・民主党の指導部は議会下院でアメリカ軍部隊の撤退に反対する決議案が与党・共和党の議員の多くも賛成し、可決されたことにトランプ大統領は動揺していたと説明しました。

そのうえで民主党側は、トランプ大統領ペロシ下院議長のことを「三流政治家」とののしるなど自制心を失っていたと批判し、協議が続けられなかったと主張しました。

一方、与党・共和党の指導部は話し合いを打ち切ったのは民主党の側だと反論し、ペロシ議長たちは、すべてを政治的に利用していると批判しました。

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