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 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と会社法違反(特別背任)の罪に問われた前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(65)の弁護団は24日、公判で無罪を主張するだけでなく、違法な司法取引があったとして公訴棄却を求めると明らかにした。公判は来年4月にも始まる予定。

 弁護団は、フランス自動車大手ルノーとの統合を恐れ、ゴーン被告を追放しようとした日産幹部の意図に基づき、東京地検特捜部が捜査を始めたと指摘。日産役員らが特捜部と司法取引をしたのは「自らの意思ではなく、会社に説得された」結果であり、法の趣旨に反して違法だとした。


日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(65)は、
▽みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪と
▽日産の資金を不正に支出させた特別背任の罪に問われ、
初公判を前に争点を整理する手続きが進められています。

ゴーン元会長の弁護団は、24日会見を開き、裁判で予定している主張の詳細を明らかにしました。
それによりますと、弁護団事件の背景には、日産の日本人役員の間で日産とルノーの統合への危機感があり、ゴーン元会長を追放することで統合を阻止しようとしたと主張する方針です。
そのうえで「『司法取引』は元会長の失脚を目的に実質的には検察と日産との間で交わされたもので法律の趣旨に反している。日産の社員や弁護士が、海外の自宅や事務所からパソコンを差し押さえるなど証拠収集の手続きも違法だ」と指摘し、裁判の打ち切りを求めるとしています。

起訴された事件については、
▽検察の主張する前会長の「未払い報酬」は存在しない
▽不正があったとされるオマーンの販売代理店への支出は社内の厳格な手続きにのっとって行われた
などとして全面的に無罪を主張するということです。

初公判は早ければ来年春ごろにも開かれ、
▽報酬の過少記載の罪でともに起訴された元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(63)は無罪を主張する一方、
▽法人としての日産は起訴された内容を争わない方針です。

会見した弘中惇一郎弁護士は「事件は検察と日産に仕組まれたもので日産をフランスに渡すまいとする国策捜査だ」と述べました。

ゴーン元会長の弁護団は、裁判で、事件の背景に日産の日本人役員らが抱いていたルノーとの「統合」への危機感があったと主張する方針です。

おととし、フランス大統領にマクロン氏が就任すると、ルノーの最大株主であるフランス政府から日産に対する「不可逆的統合」への圧力が強まったとしています。
ゴーン元会長の日産の自治を守ろうという姿勢は変わらなかったものの、これを受けて、新たにアライアンス各社を傘下に置く持ち株会社を設立し、それぞれの業績に応じて各社に発言権を与える仕組みを考えるようになったとしています。

日産の日本人役員の中には、この新しい仕組みが実質的に「統合」を意味すると考える人がいて、役員だけでなく経済産業省をはじめとする日本政府の要人の中にも共有されていたと指摘しています。
去年1月ごろにはフランス政府は日本政府に対して日産とルノー経営統合させる意向であることを伝え、これに反対する経済産業省はフランス側と話し合いを行ったものの進展はなかったとしています。
これを受けて日産の日本人役員は「統合」がいよいよ現実的な段階になったと考え、3月ごろには専務執行役員監査役経済産業省OBの取締役らが中心となって極秘でゴーン元会長の不正を調査するグループが結成されたと指摘しています。

調査の目的は、ゴーン元会長を追放しルノーと日産の「統合」を阻止することで、東京地検特捜部はこうした不公正な調査結果を受け入れて捜査を開始したと主張する予定です。

検察は、日産の元秘書室長と法務部の外国人執行役員との間で2人を不起訴にする見返りに捜査協力を得る「司法取引」に合意しました。
弁護団は、この「司法取引」について、経済産業省高官と日産の日本人幹部役員の意向を受けてゴーン元会長を失脚させる目的で行われたもので、法律が予定している制度の目的とは全く異なると指摘しています。

そのうえで、取引に合意した2人の幹部は会社の業務命令に従っただけで、「司法取引」の実質的な当事者は法人としての日産だとして「司法取引」は違法だと主張する方針です。

弁護団は捜索・差し押さえの手続きにも違法性があったと指摘する予定です。
いずれもゴーン元会長が逮捕された去年11月19日、
▽日産側の弁護士が、中東のレバノンにある元会長の自宅を管理していた現地の弁護士のパソコンを無断で持ち去ったほか、
▽ブラジルにある元会長の自宅の管理者の事務所を突然、日産の現地職員が訪問し、携帯電話やパソコンなどを取り上げたと主張する予定です。

いずれも捜査権限の及ばない外国の情報を収集するために日本の検察当局と日産が話し合って行った違法な捜索・差し押さえで、起訴自体が無効だとして裁判を打ち切るよう求める方針です。

弁護団は起訴された4つの事件について、いずれも全面的に無罪を主張する予定です。

このうち金融商品取引法違反事件は、ゴーン元会長が昨年度まで8年間の報酬を有価証券報告書に合わせて91億円少なく記載したとされています。
検察は、ゴーン元会長が過少記載を始めたきっかけは、2010年度に導入された役員報酬の「個別開示制度」で、高額な報酬への批判を避けるために確定した報酬の一部を報告書に記載せず、退任後に受け取ることにしたとみています。

弁護団は「個別開示制度」が導入された際の状況について、日本では国際的な企業経営者の役割や報酬水準についての理解が不足していたため、開示に伴って『報酬が高すぎる』という誤解に基づく混乱が発生することを考慮する必要があったと指摘しています。

そのうえで、ゴーン元会長は混乱を避けるために報酬を大幅に減額することを選択し、当時の秘書室長に本来、受け取ることができたはずの報酬額や減額した金額などを記録させた。減額した金額は、元会長が退任後に日産と何らかの契約をする際、どのような条件を設定するか参考資料になるものだったと主張する予定です。

そして「日産の一部役員や東京地検は、報酬の減額に目をつけ、減額分を『未払い報酬』にすり替え、有価証券報告書で開示されたゴーン元会長の役員報酬が虚偽であるという事件を作り上げた」として無罪を主張する方針です。

さらに弁護団は仮に検察が主張する事実を前提としても、有価証券報告書は「未払い報酬」についての記載が欠けているに過ぎず、重要な事項についての虚偽の記載には該当しないため、刑事罰の対象にはならないと主張する予定です。

このほかゴーン元会長は3つの事件で特別背任の罪に問われています。
このうちの1つは、ゴーン元会長が2008年のリーマンショックで18億円余りの含み損を抱えた私的な為替取引を日産に付け替えたとされる罪です。

これについて弁護団は、銀行に差し入れていた為替取引の担保が不足した際、銀行側から日産の保証であれば受け入れるという考えが示されたとしています。
そのうえでゴーン元会長は、担保を調達するまでの間、日産に負担を生じさせない条件で2008年10月、取引契約の当事者を元会長の資産管理会社から日産に移転させたと主張する予定です。
その後、契約に基づく取引で、6200万円余りの損失が発生した際も、日産ではなくゴーン元会長が損失を負担し、およそ4か月後に契約の当事者の地位が前会長側に戻されるまでの間、日産の財産の価値の減少は一切生じていないとして無罪を主張する予定です。

2つ目は、この為替取引の信用保証に協力したサウジアラビア人の実業家ハリド・ジュファリ氏の会社に2009年から2012年にかけて日産の資金から12億8000万円を不正に支出させたとされる罪です。

これについて弁護団は、
▽ジュファリ氏はサウジアラビア最大の財閥グループの出身で、ゴーン元会長とは20年以上の信頼できる友人関係にあった。
▽内部対立を背景に、業績が長く低迷していたサウジアラビアの日産販売代理店を経営する一族と交渉することで代理店の業績は著しく改善し、現地に日産の合同会社を設立する際にも尽力した、
などとしたうえで、ジュファリ氏の専門的な知識により、日産はサウジアラビアでのビジネスで多大な利益を得たと指摘する予定です。
そのうえで、ジュファリ氏に対する一連の送金は、サウジアラビアにおける日産の事業支援の費用を含む社内の厳格な決裁手続きを経て支出されたものだと主張する予定です。
またジュファリ氏は前会長が私的な為替取引で銀行に差し入れた担保不足が生じた際、30億円の信用保証に協力していますが、一連の送金とは無関係だと主張する予定です。

3つ目は去年までの2年間に日産からオマーンの販売代理店、スヘイル・バフワン・オートモービル会社(SBA)に支出させた資金の一部をみずからが実質的に保有するレバノンペーパーカンパニーに還流させ5億5000万円余りの損害を与えたとされる罪です。

弁護団はSBAが日産の販売代理店になった初年度(2004年度)の売り上げは3300万ドルに過ぎなかったのに、2008年度には4億ドルを超え、日産が顕著な販売成績を上げた代理店に贈る表彰を毎年のように受賞していると指摘する予定です。

そのうえで、SBAへの支払いは販売奨励金で、日産が中東地域におけるマーケット・シェアを維持拡大する経営戦略として合理的なものだと主張する予定です。

また弁護団は販売奨励金が支出された「CEOリザーブ」についても、日産のさまざまな支出や投資に当てられる通常の予算費目の1つで、支払いには特別な決裁の手続きを踏む必要があり、CEOの独断で会社の資金が支出されることはありえないと指摘する予定です。

ゴーン元会長がみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載したとされる事件で元会長とともに起訴されたケリー元代表取締役が裁判で予定している無罪主張の詳細が関係者への取材で明らかになりました。

ケリー元代表取締役は2009年度から5年間にわたってCEOオフィスと人事部門のトップを務めていましたが、ゴーン元会長の報酬を取り扱う秘書室には関与しておらず、報酬決定は担当していなかった。また有価証券報告書で元会長の報酬を開示する責任者ではなかたったと主張する予定です。

ゴーン元会長は2010年に日産の報酬を減額しましたが、ケリー元代表取締役は、減額後の報酬は元会長が市場で求めることができる額をはるかに下回っているため、すぐにでも離職するかもしれないリスクを感じていたとしています。

そのうえで、傑出したビジネスリーダーで日産の独立を熱心に擁護してくれるゴーン元会長をつなぎ止めておくことは非常に重要だと感じていた。西川廣人前社長など日本人の上級幹部も重要だと考えていたと主張する予定です。

日産ではCEOなどの重要な役職者の市場価値について調査を行い、CEOの報酬の指標の作成は専門のコンサルティング会社が毎年、行っていた。
自動車業界の最上位層と目されたフォルクスワーゲン社、フォード社、フィアット・クライスラー社のCEOの年間の報酬は2000万ドルから3500万ドルだった。
これに対してゴーン前会長の2010年から2016年までの報酬は、年額900万ドルを多少上回る程度だったと指摘する予定です。

ゴーン元会長をつなぎとめる必要性については2011年ごろ、西川前社長が「日産にとって決定的に重要だと述べた」と指摘する予定です。

そのうえで2011年11月ごろ、西川前社長とも十分協議し、ゴーン前会長に見せるために退職後の契約書を起案したとしています。

契約書には前会長が日産を退職したあと10年間は特別顧問に就任する対価として一時金30億円と年間3億ないし5億円の報酬を支払うことを定め、前会長の考えをもとに改定された契約書案には西川前社長が署名したと主張する予定です。

同じ内容の契約書は2013年と2015年にも作られ、西川前社長とケリー元代表取締役が署名しましたがゴーン元会長は署名していないとしています。

さらに2014年にはアドバイザリー業務契約や競業避止契約も起案されたましたが当事者の署名はなかったとしています。

これらの契約はゴーン元会長が日産を退職したあとにその時点の日産CEOとの間で締結することを予定したもので、契約書に記載された額は退職したあとに日産に提供する業務の対価で、取締役としての業務に対する後払いや補填(ほてん)ではないと主張する予定です。

また、検察は2011年6月までにケリー被告と前会長の共謀が成立していたと主張しているが、これに先立って作成された書面に被告は一切関与しておらず、存在も知らなかったと主張する予定です。

一方、関係者によりますと、ゴーン元会長の報酬の過少記載の罪で起訴された法人としての日産は起訴された内容を争わない方針です。
そのうえで、日産は、未払い報酬の隠蔽による不正な利益は会社に帰属していないことや、捜査に協力して事実を認めて、十分な社会的制裁を受けていることなどを主張するということです。

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