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日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(66)は平成29年度まで8年間に、みずからの報酬を有価証券報告書に合わせて91億円余り少なく記載したとして金融商品取引法違反の罪に問われ、元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(63)が共犯として起訴されています。

初公判は今月15日に開かれますがゴーン元会長は中東のレバノンに逃亡し、不在のまま審理が進められる見通しです。

これを前にケリー元代表取締役がNHKの単独インタビューに応じ、「私は日本の情報開示に関するいかなる規制にも違反していない」と無罪を主張しました。

一方、ゴーン元会長の逃亡については「法廷で証言してほしかった。彼は自分と家族にとって最善の方法を考えて決断を下した。その決断について彼は今後も責任を負わなければならない」と思いを述べました。

今回の裁判で検察側は、ゴーン元会長が役員報酬の個別開示制度の導入で高額の報酬が明らかになるのを避けるため、総額91億円余りの報酬の受け取りを退任後に先送りし、開示しなかったと指摘し、ケリー元代表取締役は一連の計画に深く関わっていたと主張する方針です。

これについてケリー元代表取締役は「ゴーン元会長が報酬を減額したのは、フランス政府が元会長の報酬を快く思っていなかったことが理由で報酬の受け取りを先送りしたわけではない。当時、元会長には日産をはるかに上回る報酬を支払う用意がある競合他社がいくつもあり、辞めさせないためにどうすればよいか検討していた。退任後も価値のある重要な仕事をしてもらい報酬を支払うことで日産にとどまってほしいと思っていた」などと反論しました。

そのうえでどのような気持ちで法廷に臨むかについては、「ゴーン元会長は非常に優れた経営者で日産の独立性をルノーから守ってもらいたいと思っていた。法廷では日産と元会長の関係を長く維持することがなぜ日産にとって重要だったかを話したい」と述べました。

裁判の争点は

今回の裁判で検察はゴーン元会長がみずからの高額な報酬が明らかになるのを避けるため、8年間の報酬総額およそ170億円のうち91億円余りの受け取りを退任後に先送りしたと主張する方針です。

役員報酬は実際に支払われていなくても金額が明らかになった時点で開示する義務があり、裁判ではゴーン元会長が退任後に受け取るよう先送りした報酬が確定していたかどうかや、ケリー元代表取締役が報酬の先送りや将来の支払い方法の検討に関わっていたかどうかが争点になります。

双方の主張は

検察はゴーン元会長の署名が入った複数の合意文書の存在などから先送りした報酬の支払いが決まっていたことは明らかだと主張する方針です。

ケリー元代表取締役についてはゴーン元会長の指示を受けて先送りした報酬を確実に支払う方法を検討し、退職後に報酬を支払う契約書の案にみずから署名しているなどと指摘する方針です。

一方、ケリー元代表取締役は、契約書の案に署名したことを認めたうえで、契約は退職後に就任してもらう相談役などの業務への対価で役員報酬の後払いではない。日産をルノーから守るためにゴーン元会長をつなぎとめることが目的だったと主張する方針です。

さらに弁護側は仮に先送りした役員報酬が開示されていなくても刑事罰の対象ではなく、課徴金など行政処分にとどまると主張する方針です。

“司法取引”の評価も注目

今回の事件は検察が日産の元秘書室長ら2人を不起訴にする見返りに、供述や書類などの証拠を得る「司法取引」が使われたことも大きな特徴です。

ゴーン元会長の弁護団は逃亡前の去年、「司法取引は元会長を失脚させることが目的で違法だ」と主張していました。

司法取引に応じた元秘書室長らは証人として出廷する予定で、裁判所が法廷での証言の信用性をどのように評価するかも注目されます。

識者「報酬確定していたかどうか 有罪・無罪を分ける」

元刑事裁判官で法政大学大学院の水野智幸教授は今回の裁判について「大企業のトップの報酬が有価証券報告書にしっかり記載されたのか、虚偽記載に当たるのかが争われる事件は初めてだと思う。司法取引が適用された事件の裁判としても非常に注目される」と述べました。

そのうえで「ゴーン元会長に将来支払う報酬が確定していたかどうかが有罪・無罪を分けることになると思う。未払いの報酬がその時点で確定していたのか、単に予定に過ぎないのかを決めるのは非常に難しく、数多くの証人や書類を総合的にみて判断する必要がある」と指摘しました。

司法取引が今回の裁判に与える影響については「司法取引に応じた人たちはみんな一定の方向を向いているので法廷での証言の内容が一致しているだけでただちに信用できるということにはならない。証言を裏付ける証拠があるかや被告側の反論に耐えて合理的な説明ができるかがポイントになる」と述べました。

裁判の審理予定

ケリー元代表取締役と法人としての日産の裁判は今月15日の初公判のあと、来年7月まで証人尋問などの期日が70回以上、決まっています。

関係者によりますと裁判には検察との司法取引に応じた日産の元秘書室長や外国人の専務執行役員のほか西川廣人前社長などが証人として出廷する予定です。

ケリー元代表取締役に対する被告人質問は来年5月から14回予定されています。証人尋問と被告人質問のあと論告や弁論が行われその後、判決が言い渡されます。

事件について

「私は日本で情報開示に関するいかなる規制にも違反していません。ゴーン元会長との共謀も全くありません。ゴーン元会長に何かを約束したということは全く無く、先送りされた報酬はありません」

元会長の逃亡について

「彼には法廷で証言してほしかったと思います。合意事項はなかったし、私たちは彼が引退した後も日産に長くいることについて話し合っていたのだと彼は証言できるので。彼は自分と家族にとって最善の方法を考えて決断を下しました。その決断について彼は今後も責任を負わなければなりません」

ゴーン元会長との関係

「私は日産の代表取締役として主に人事の仕事と日産とルノーのアライアンスに力を入れていました。私たちはビジネス上の関係で、日産の業績、人材、あるいはルノーと日産のアライアンスの将来的な構造についてよく話をしました」

ゴーン元会長の“人物評”

「“カルロス・ゴーン”は並外れた才能に恵まれた人物です。非常に頭脳明晰、エネルギーにあふれた人物でもあります。戦略を遂行する能力にも長けていて、人の話をよく聞き、強い決断力がありました。ゴーン元会長が着任する前の自動車のラインナップは、創意に富んだものとは言えませんでした。しかし、着任から5年が過ぎた頃にはムラーノ、GTーRなどすばらしい車がそろっていました。彼には革新性があり、電気自動車についても他社を先行し、中国を含む重要な市場にも日産を進出させました。非常に優れたCEOでした」

個別開示制度導入でゴーン元会長が報酬を大幅に減額した理由

「私の見解は、ゴーン元会長が減額に応じた理由はただ1つで、フランス政府が彼が日産で得ていた報酬を快く思っていなかったためです。私の推測では日産は、ゴーン元会長に合理的で競合他社に負けない額の報酬を支払っていました。しかし、フランス政府はそのことに関心を持ちませんでした。彼は自分の報酬を減額しなければフランス政府は行動を起こすと考えました」

元会長の報酬をめぐる西川前社長とのやりとり

西川さんとは何度も話し合いをしましたが先送りの報酬の支払いについて話し合ったことはありません。当時、ゴーン元会長には日産をはるかに上回る報酬を支払う用意がある競合他社がいくつもあり、話し合いでは彼を辞めさせないためにどうすればよいか検討していました」
「退任後も日産のために重要で価値のある仕事をしてもらい報酬を支払うことができれば日産にとどまるよう説得できるのではないかと、彼がキャリアを終えるまでとどまってほしいと思っていました。私たちはルノーからの日産の独立性をゴーン元会長に守ってもらいたいと思っていましたし、実際に彼にはその能力がありました」

司法取引が使われたことについて

「ショックを受けました。私は(司法取引に応じた)2人と仕事をしていましたが、彼らは私と同様にゴーン元会長を非常に有能な人物と考え、長く日産にとどまることが日産にとって得策だと考えていたと思います」

日産自動車の現状について

「私はもう関与できる立場にありませんし、外から評価するのはフェアではありません。日産には私にとって大切な人がたくさんいますので現在の困難な時期を乗り越えられることを心から願っています。ゴーン元会長が会社を経営していた時のように、成功して、利益を上げて従業員が誇りに思えるような会社になってほしいと思います」

保釈後の生活

「正直言って、裁判を2年も待つのは楽ではありませんでした。私のすばらしい妻は一緒にいてくれましたが家族や友人から引き離され、生後9か月の孫にはまだ会ったことがありません。裁判はやっと始まりますが判決が出るまでに1年以上かかります。これほど長い時間をかける必要はありません」

初公判に向けた思い

「もっと迅速に解決できれば良かったし、法廷の場へ持ち込まれる必要はなかったと思います。裁判が始まる今の気持ちとしては法廷の場で事実を明らかにして日産とゴーン元会長の関係を長く維持することが重要だったことを話すつもりです」

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