https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

農産品と工業品の物品関税に関する日米の新たな貿易協定は、1日午前0時に発効しました。協定で、日本はTPP=環太平洋パートナーシップ協定の水準を超えない範囲で農産品の市場開放に応じ、牛肉は、38.5%だった関税が1日から26.6%になり、最終的には9%まで引き下げられます。

一方、工業品の最大の焦点だった自動車分野では、協定の履行中、アメリカが日本車への追加関税を発動しないことを首脳間で確認したほか、日本が求めている関税の撤廃については継続協議となり、両政府は、4か月以内に次の交渉分野をめぐって協議を行う方針です。

茂木外務大臣は「日米貿易協定の発効により、TPP協定や日本とEUのEPA=経済連携協定と合わせ、世界経済のおよそ6割をカバーする自由な経済圏が日本を中心に誕生する。その意義は極めて大きい」と述べました。

政府は、自由貿易圏のさらなる拡大に向け、インドを含む16か国によるRCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期妥結や、WTO世界貿易機関の改革などにも主導的に取り組む方針です。

日米貿易協定が発効したことでアメリカ産の農産品の関税が引き下げられ、消費者にとっては価格の値下がりが期待される一方、国内の農業生産額は減少すると見込まれています。

協定の発効によって、アメリカから輸入される主な農産品のうち、牛肉は38.5%だった関税がTPPと同じ水準の26.6%になり、最終的に2033年度には9%まで下がります。

豚肉は、価格の安い肉にかかる1キロ当たり最大482円だった関税が125円に、価格の高い豚肉の関税は4.3%から1.9%に下がり、その後も段階的に引き下げられます。

オレンジは、国内のみかんの出荷が多い12月から3月までの期間、32%だった関税が25.6%に下がり、2025年度に撤廃されます。

ワインは一般的な750ミリリットル入りのボトルにかかる最大およそ94円の関税が、段階的に引き下げられ2025年度に撤廃されます。

こうした関税の引き下げは、価格の値下がりにつながり、消費者にとってはメリットが期待できます。

一方、こうした安い農産品の輸入が増える影響で、国内の農業生産額は最大1100億円減少すると試算されています。

このため、政府は国内の畜産農家に対する施設整備の補助や輸出増加が期待される和牛生産の奨励金を拡充するなどして、支援を行う方針です。

また政府は、日米貿易協定は日本のGDP=国内総生産を4兆円余り、率にして0.8%押し上げると試算していますが、これは継続協議とされた自動車などの関税撤廃を前提にしています。

次の交渉分野をめぐり今後4か月以内にアメリカと協議する方針ですが、協定を経済成長につなげられるかは、自動車などの関税撤廃を具体的に決めることができるかが焦点となります。

日米貿易協定が発効したことについて、経団連の中西会長は、「日米間の貿易を強力かつ安定的で互恵的な形で拡大することを目指したこの協定を歓迎する。世界経済の先行きの不透明感が増す中で、TPP11や日EUの経済連携協定と合わせて、世界のGDPのおよそ6割をカバーする自由で開かれた市場が誕生することの意義は大きい」としています。

そのうえで中西会長は、「強固な日米関係を基盤に、インド・太平洋地域でのインフラ整備やエネルギー開発などで両国の協力を推進するとともに、RCEP=東アジア地域包括的経済連携の早期実現などに向けて、引き続きリーダーシップを発揮してもらいたい」としています。

日米貿易協定が発効したことについて、経済同友会の櫻田代表幹事は、報道各社のインタビューで「農産品については、TPPの水準以下で合意できたうえ、自動車についても、協定を誠実に履行している間は追加関税措置は発動しないと約束されたことは大変大きな成果だと思う」と述べました。

そのうえで「自動車分野以外については、これから協議が始まるが、いつどうやるかは何も決まっていない。分野としては、金融、通信、サービスが対象となる可能性があるので、日本としてしっかりリーダーシップを取るよう予断を持たず準備してもらいたい」と述べました。

安倍総理大臣は、令和2年の年頭にあたって所感を発表し、全世代型社会保障制度の実現に取り組む考えを強調するとともに、憲法改正への意欲を改めて示しました。

この中で、安倍総理大臣は、ことしの東京オリンピックパラリンピックについて、「子どもたちが未来に向かって夢を見ることができる。わくわくするような、すばらしい大会にしたい」としています。

そのうえで、5年後には、大阪・関西万博も控えていることを踏まえ、「未来への躍動感があふれている今こそ、新しい時代に向けた国づくりを力強く進める時だ」としています。

また、安倍総理大臣は、「人生100年時代の到来は、大きなチャンスだ。全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進め、最大の課題である少子高齢化に真正面から挑戦していく」として、全世代型社会保障制度の実現に取り組む考えを強調しています。

さらに、外交・安全保障について、「わが国の美しい海、領土、領空はしっかりと守り抜き、安全保障政策の不断の見直しを進める。激動する国際情勢の荒波に立ち向かい、地球儀を俯瞰しながら、新しい日本外交の地平を切り拓いていく」としています。

そして、安倍総理大臣は、「未来をしっかりと見据えながら、この国のかたちに関わる大きな改革を進めていく。その先にあるのが憲法改正だ」として、憲法改正への意欲を改めて示しています。

中西会長は、報道各社のインタビューで、ことしの春闘について「日本の賃金水準は先進国の中では劣後している。優秀な若い人たちが海外の企業で働きたいと思うのも事実なので、賃上げの勢いは決して失ってはいけない」と述べ、賃上げの継続は重要だとの考えを強調しました。

その一方で、中西会長は、「日本経済が国際的にも競争力を発揮できるような職場環境をどう作っていくかが重要だ。経団連が賃上げの目標を何%と示すことはもうあまり意味がない」と述べ、経団連としては、去年に続いてことしも賃上げの数値目標は掲げない方針を示しました。

そのうえで、ことしの春闘の労使交渉では、新卒一括採用や終身雇用など日本特有の雇用システムを見直すことも含め、新たな時代の働き方や人事制度について議論すべきだという考えを示しました。

経団連春闘の経営側の指針となる報告書で、日本特有の雇用システムが「必ずしも時代に合わないケースが増えている」として、各企業に再検討を促す方針で、ことしの春闘では雇用の在り方をどう見直すかをめぐっても、活発な議論が交わされることになりそうです。

立憲民主党と国民民主党は先月下旬に両党の幹事長が会談し、党を合流させる方向で一致し、近く党首どうしが会談することになっています。

国民民主党小沢一郎衆議院議員は、1日、都内の自宅で開いた新年会であいさつし「国民の願いは、安倍政権に代わる受け皿になる政党がほしいということであり、早く野党が結集して今のおかしな政権を倒さなくてはいけない」と述べました。

そのうえで、「党首会談できちんと合意をするという手はずのようだ。今月20日通常国会が召集される見通しで、合併の手続きをするためにも、来週には合意を得なければいけない」と述べ、来週前半には両党の党首会談を行って、正式に合意すべきだという考えを示しました。

安倍総理大臣の在任期間は、去年11月に第1次政権と合わせた通算で憲政史上最長となり、第2次政権としては、ことし8年目に入ります。

今月20日に召集される見通しの通常国会で、安倍政権は今年度の補正予算案と新年度予算案を早期に成立させ、経済の下振れリスクへの備えなど新たな経済対策を着実に実施していく方針です。

また、夏の東京オリンピックパラリンピックを成功に導くため万全を期すことにしています。

さらに、安倍総理大臣は、憲法改正について、「たやすい道ではないが、必ずや私自身の手で成し遂げたい」と意欲を示しています。

これに対し、野党側は、自民党を離党した秋元司衆議院議員の逮捕を踏まえIR=統合型リゾート施設の在り方をただすほか、総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐって追及を続けるなど、攻勢を強める構えで、通常国会は、冒頭から与野党の激しい論戦が繰り広げられそうです。

また、立憲民主党と国民民主党は先月27日の幹事長会談を踏まえ、近く、党首が会談することにしていて、党の合流で正式に合意できるかどうかが注目されます。

そして、9月には、安倍総理大臣の自民党総裁としての任期が、また、10月には、衆議院議員の任期が、それぞれ残り1年となります。

安倍総理大臣は、「4選」への総裁任期延長を重ねて否定していますが、自民党内には、国政選挙で勝ち続けていることなどから「4選」を期待する声が根強くあります。

一方、衆議院の解散については、「国民に信を問うべき時が来たと判断すれば、ちゅうちょなく決断する」と述べています。

公明党の山口代表は、東京オリンピックパラリンピック前の解散は日程的に難しいという見方を示しています。

ことしの政局は、「ポスト安倍」をめぐる自民党内の動きも絡んで、次の解散・総選挙をにらんだ展開になる見通しです。