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今回、「スロースリップ」が確認されたのは、豊後水道沖や紀伊水道沖など合わせて7か所で、いずれも陸地から50キロ以上離れています。

海上保安庁は、南海トラフで想定される震源域や、その南の海底合わせて15か所ほどに地盤の動きを観測できる装置を設置していて東京大学とともにデータを解析したところ、平成30年までに7か所で確認されたということです。

このうち、紀伊水道沖の2か所では、平成30年ごろ、南東方向に向かってそれぞれ6センチ8センチ動いていました。

プレートの境目がゆっくりずれ動く「スロースリップ」は、動きの変化が南海トラフの巨大地震と関連しているのではないかと注目されている現象です。

陸地から遠く離れた海底で実際に捉えられたのは今回が初めてで、メカニズムの解明や防災対策につながるのか期待されます。
海上保安庁の石川直史火山調査官は「さらに観測データを集めて、プレート境界で何が起きているのかを把握し、防災につなげるためのシミュレーション研究にも役立ててほしい」と話していました。

スロースリップ」はプレートとプレートの境目が、体に感じるような揺れを起こさずにゆっくりとずれ動く現象です。

日本海溝」のプレートの境目がある千葉県東方沖では、数年おきに「スロースリップ」の発生が確認され、その後、比較的規模の大きな地震が起きやすくなることで知られています。

一方、南海トラフ」のプレートの境目がある、東海から四国の主に陸側の地下深くでも、繰り返し「スロースリップ」が確認されていますが、大きな地震との関連性については明らかになっていません。

今回初めて確認されたのは陸地から海側に50キロ以上離れたプレートの浅い部分の境目で発生した「スロースリップ」で、地震との関連性について、今後の研究が注目されます。

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