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アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは1日、民主党のブティジェッジ前サウスベンド市長が選挙戦から撤退する意向を固めたと一斉に報じました。

ブティジェッジ氏は民主党の候補者の中で最年少の38歳。去年、大統領選挙の民主党の候補者指名争いに名乗りをあげた時点では全国的にはほとんど無名の存在でしたが、その鋭い弁舌で融和を訴えて支持を広げ、先月行われた、候補者選びの初戦のアイオワ州の党員集会や2戦目のニューハンプシャー州予備選挙で躍進し、注目を集めました。

しかし黒人やヒスパニックへの支持の広がりに欠け、先月29日のサウスカロライナ州予備選挙では4位にとどまるなど支持が伸び悩んでいました。

ブティジェッジ氏は日本時間の午前10時半から地元のサウスベンドで演説を行う予定で、撤退を正式に表明すると見られます。

トランプ大統領は、民主党のブティジェッジ氏が選挙戦から撤退する意向を固めたとアメリカの複数のメディアが伝えた直後、ツイッターに投稿し、「ブティジェッジ氏が撤退した。スーパーチューズデーの彼へのすべての票は“ねぼけた”ジョー・バイデン氏に行くだろう。すばらしいタイミングだ。これこそ民主党がサンダース氏を選挙戦から追い出す本当の始まりだ。サンダース氏は今回も指名はない」と書き込みました。

ブティジェッジ氏は1日夜、日本時間の2日昼前、地元のインディアナ州サウスベンドで演説を行い、「われわれの目標はトランプ大統領を打ち負かすためにアメリカ人が一つにまとまることを手助けすることだ」と述べました。

そのうえで「この目標と理想を実現する最善の方法は私が退き、党や国が結束できるよう支援することだ。2020年の大統領選挙の民主党の候補者になることはもはや目指さない」と述べ、選挙戦からの撤退を表明しました。

ブティジェッジ氏は38歳。国政経験は無く、全米ではほとんど無名でしたが、候補者選び序盤の州に資金や人員を集中し、初戦のアイオワ州と2戦目のニューハンプシャー州で左派のサンダース氏とトップ争いをするなど躍進して、注目されました。

また、同性愛者であることを公表し、配偶者とともに選挙運動を行ったことも話題となりました。

しかし、黒人有権者が多いサウスカロライナ州では4位にとどまるなど白人層以外への支持の広がりに欠け、伸び悩んでいました。

民主党の候補者選びは、左派のサンダース氏が先行する中、大きなヤマ場となる今月3日のスーパーチューズデーを前に中道派のブティジェッジ氏が撤退したことで、サウスカロライナ州で圧勝したバイデン氏がさらに支持を集めるのか、あるいはスーパーチューズデーから参戦するブルームバーグニューヨーク市長が支持の受け皿となるのか、中道派の支持の行方が大きな焦点となります。

民主党のバイデン氏は、ブティジェッジ氏が選挙戦から撤退する意向を固めたとアメリカの複数のメディアが伝えたあと、ツイッターを更新し「ブティジェッジ氏は、勇気や思いやり、そして誠実さに基づいて、歴史的で先駆的な選挙活動を展開した。われわれは彼の働きによってよりよい国になるだろう。全米を舞台にしたブティジェッジ氏の時間は始まったばかりだ」として、ブティジェッジ氏をたたえました。

民主党の最有力候補の左派のサンダース氏は、中道派のブティジェッジ氏の撤退を受けて、ツイッターで「ブティジェッジ氏は力強く歴史的な選挙活動を展開した」とした上で、「ブティジェッジ氏のすべての支持者を私たちの運動に歓迎したい。この国に真の変化をもたらすための私たちの戦いに加わることを強く勧めたい」として、ブティジェッジ氏の支持者に自らの選挙運動に加わるように呼びかけました。

新型コロナウイルスをめぐってはアメリカでも、各地で感染が相次いでいるほか、トランプ政権は韓国やイタリアの一部地域を渡航中止にするなど、対応に追われています。

こうした中、アメリカ大統領選挙民主党の指名獲得を目指す候補者の間でも、新型コロナウイルスについて、トランプ大統領の対応への批判や危機管理の在り方をめぐる発言が増えています。

このうちブルームバーグニューヨーク市長は先月29日、動画を公開し、「ウイルスの感染が広がり、経済が打撃を受けている。こうした事態が起きているとき大統領の責務は国民の健康を守るために行動していると伝えることだ。私は同時多発テロ事件後の再建やハリケーンの被害に対処した」と述べ、ニューヨーク市長時代のみずからの実績をアピールしました。

このほか、サンダース上院議員は1日、ABCテレビの番組で「各国が対策を立てようとしている中、トランプ大統領は遊説をして、民主党の候補者選びの邪魔をしていた」とトランプ大統領を批判しました。

また、バイデン前副大統領も「私が大統領だったら、根本的に違う対策を取っていた」と述べるなど、候補者たちの間でも新型コロナウイルスをめぐる言及が増えていて、大統領選挙にも影響を及ぼし始めています。

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