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EU域内では新型コロナウイルスの感染者がイタリアで1万人を超えたほか、フランスやスペインで1600人を超えるなど、感染拡大に歯止めがかからず経済への影響も広がっています。

これを受けてEUは10日、テレビ電話による緊急の首脳会議を開いて対策を協議しました。

会議後の記者会見でEUのフォンデアライエン委員長は「使える手段はすべて使う」と述べ、新型コロナウイルス対策のため250億ユーロ、日本円で2兆9000万円余りに上る基金を新たに設ける方針を明らかにし、今後加盟国とEUの議会の承認を得たい考えを示しました。

資金は加盟国の医療・保健体制の強化や、厳しい経営を強いられている中小企業の支援などに充てるとしています。

また、加盟国が国内での対策強化や企業などの救済措置を行えるよう、加盟国の財政赤字の比率などを厳格に定めた財政規律や、通常は厳しく規制している国から企業への補助についても柔軟に対応する方針を明らかにしました。

EUでは感染拡大の状況を見極めながら今月予定されている閣僚会議や首脳会議で引き続き対応を話し合うことにしています。

新型コロナウイルスへの感染の拡大に伴って飛行機の利用客が大幅に減り、航空業界に深刻な影響が出ていることを受けて、EUは、各航空会社に一定の割合の発着を義務づけている規則を緩和する法案を提出すると発表しました。

EU域内の主要な空港では各航空会社に発着の枠が割り当てられていて、この枠の利用率が80%に満たないと枠を取り消されることがEU法で定められています。

EU域内では新型コロナウイルスの影響で旅行や出張を控える動きが広がり、飛行機の利用が激減していますが、航空各社はEUの規則に基づく発着枠を維持するため、乗客がほとんどいない状態でも運航を続けていて、「ゴースト・フライト」などと呼ばれています。

これについて航空業界からは「乗客の需要は急激に減少していてほぼカラの機体を飛ばすことを強いられているが、そうしないと枠を失ってしまう」と厳しい現状を訴え、柔軟な対応を求める声が上がっていました。

こうした事態を受けてEUのフォンデアライエン委員長は10日、この規則を一時的に緩和するための法案を近く提出する考えを示しました。

EUは「状況は悪化していて交通需要のさらなる落ち込みも予想される。この措置によって航空業界の負担を軽減できるうえ、温室効果ガスの排出も減らせる」とその意義を強調しています。

EUでは法案の策定を急ぎ、加盟国とヨーロッパ議会の承認を得たい考えです。

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