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同業他社を見渡せば、例えばキャッフローひとつをみても、トヨタは6兆円の手元資金を持ちながら3月早々に、銀行団と1兆円のコミットメントライン契約を結んで最大7兆円の手元現金を確保。ホンダはキャッシュフロー・ベースだけで、約2兆4千億円を持っています。

対する日産は、昨年12月末時点でのキャッシュフローが1兆2千億円。5千億円のコミットメントライン契約を入れて、合計1兆7千億円の手元資金という状況です。

一般庶民の感覚ではかなり大きな金額ですが、グループだけでも約1万6千社80万人に及ぶ関連企業や下請け企業を抱える裾野の広い産業の頂点に君臨する立場から考えれば、この金額では現状下でせいぜい2~3か月を食いつなぐのがやっとという状況でしょう。

もし、日産が先の見えない新型コロナの行方を案じて手元資金温存を考え、下請けへの支払いを渋る、あるいは滞るようなことがあれば、その影響は甚大です。下請け部品メーカーは、大手でも完成車メーカーに比べ手元資金に余裕がなく、さらにその下請け・孫請けになればひとたまりもないというのが偽らざるところです。

この点でもトヨタは、コロナ禍の長期化による危機的な状況を見越して業界団体のリーダーとして中小企業の救済ファンドを立ち上げており、ホンダも下請部品メーカーに対して要望があれば調達部材の支払い猶予する旨を伝えるなど、先回りで裾野企業の支援策提示に動いています。

しかし日産は、自社を巡る苦境対応に手一杯で、裾野企業に気遣いをする余裕はないように映っています。ゴーン体制後のガバナンス強化、製販ギャップ是正に向けた大胆なリストラの必要性、仏ルノー社との不協和音が続く提携関係の調整、それらをまとめ牽引できる新たなリーダーシップの確立…、日産が抱える重要課題はあまりに多すぎます。

そして、終息が見えない新型コロナ禍の下で、これらの課題を抱えつつ巨大裾野企業群をいかにして支えていくのか。外部支援なしには、容易に解答を見出せる状況にはないように思えます。

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