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フランス西部ナントにある、サンピエール・サンポール大聖堂で18日朝、建物の内部から火が出て、およそ2時間後に消し止められましたが、400年の歴史があるパイプオルガンが全焼するなどの被害がありました。

この火災で地元の捜査当局は26日、大聖堂で奉仕活動をしているアフリカのルワンダ出身の39歳の男が、建物の3か所に火をつけたことを認めたとして、放火の疑いで身柄を拘束したことを明らかにしました。

地元メディアによりますと、男は数年前からフランスに滞在し、難民の認定を申請していたものの認められずにいたとしていて、男の弁護士は、男が「自分がしたことをひどく後悔し、捜査に協力している」と話しています。

サンピエール・サンポール大聖堂は、15世紀から19世紀にかけて建設されたゴシック様式の建築物で、正面には高さ60メートル余りの2つの塔がそびえ、地域のシンボルとなってきました。

フランスでは去年4月、パリのノートルダム大聖堂でも火災があり、国内外に大きな衝撃を与えただけに、今回の火災の直後にはカステックス首相や閣僚が相次いで現地を訪れ、速やかな復旧に努める考えを示していました。

こんにち、先進諸国の大学進学率は上昇し、大学進学率は日本でもほぼ50%という数字になっている。かつては、一部の高等教育を受けたエリートたちが、エリートであることの責任を感じていたが、現在では高等教育を受けることに高尚な意味はなくなり、それが単なる「資格」となってしまったことを嘆く。

70年代ごろまでの学生たちは今の学生たちに比べて自由に遊ぶ時間が与えられていたと言う。今の学生たちは「いかに自分が従順であり、忍耐強く、そして順応主義者であるかを見せつけるために高等教育を受けるのです。しかし、そうすることで生まれるのは愚か者たちでしかないと言わざるをえません」(p.29)。

そして今のフランスのエリート階級出身で国の指導者となっているような人々は、内側に閉じてしまったグループを形成し、その中での価値観が正しいという、ある種の幻想を生きていると続ける。自ら考える力を持たない人々は、実際に社会の下層部にいる人々の苦しみも理解できなくなってしまっているのだ。

また、本書において、イギリスのジャーナリストであるデイヴィッド・グッドハート氏の著作を紹介し、「民主主義を正常に働かせるためには、社会のエリート層と大衆との『交渉』が必要」(p.80)だと訴える。

しかしながら、この黄色いベスト運動にもうまく対応ができず、社会の分断、対立がより深まってしまったとして、トッド氏は指導者層を厳しく批判する。彼はマクロン大統領こそ、まさしく順応主義者を生み出すだけとなってしまった今日の高等教育の典型とみなしているのだ。そしてこの愚かな指導者層が引き起こしていることこそが、フランスの民主主義の危機だというのである。

そもそも、エリートとは誰か。トッド氏によると、それは特権階級に所属しながら大衆の願いを汲み取る役割を果たす人々であった。高等教育を受け、社会全体に貢献をすることで存在の正当性を保持していた人々だ。しかし今日、そのエリート層が高等教育の発展に伴い、増加している。そしてトッド氏はそうして形成された層のことを「集団エリート」と呼ぶ。

「今のエリートは「集団エリート」と呼ぶべきものになっています。高等教育を受けた全人口の三〇%から四〇%の人々、必ずしも優秀ではない人々が自分たちのことをエリートだと思っているのが現状です。ある種の文化的な集団とも言えます。似た者同士の集まりで、皆が同じような思考を持っています」(p.69)。

そして大きな問題の一つとして、エリート層の混迷をあげている。彼ら自身もどこへ向かっているのか、自らの存在の正当性をどこに見出したらいいのか、もはやわからなくなってしまっているというわけだ。

こうして(擬似)エリートと大衆に分断された社会が立ち現れてくるわけだが、トッド氏の人類学的な視点からの分析によると、この現れ方やその結果はそれぞれの社会によって異なる。

#擬似エリート#愚者の楽園

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