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 訴えを起こしたのはジャーナリストの伊藤詩織さんで、訴状などによりますと、杉田水脈衆院議員は、「枕営業の失敗」など伊藤さんに対する複数の批判的なツイートに、好感を示す「いいね」をしたとしています。こうした「いいね」が伊藤さんの名誉感情を傷つけるものだとして、杉田氏に対し、220万円の損害賠償を求めて、20日に東京地裁に提訴しました。

 「寄ってたかって、ものすごい数の方が伊藤さんを中傷して、それに対して杉田氏が『いいね』をしている。集団的ないじめのようなものだと」(伊藤詩織さんの代理人

 記者会見を行った代理人によりますと、伊藤さんは提訴にあたり、「つらいが看過できないものはきちんと声を上げていきたい」と話したということです。杉田氏の事務所は、「訴状が届いていないため、コメントできない」としています。

 ネット上の誹謗中傷に対する裁判をめぐっては、伊藤さんはすでに、漫画家の女性を相手取り、訴えを起こしているほか、20日に新たに、元大学准教授の男性に対しても訴えを起こしました。伊藤さんは、元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして損害賠償を求める裁判を起こし、1審は伊藤さん側の訴えを認め、山口氏側が控訴しています。

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こうした、いわゆる悪口などの誹謗中傷被害は、法的には、「主観的名誉」「名誉感情」の侵害、と整理されます。分かりにくい専門用語ですが、ポイントは、

「名誉」という言葉は入っているが
法律用語として比較的有名な「名誉毀損」ではない

ということです。

第230条(名誉毀損
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

そして、法律的には、ここでいう「名誉」とは、社会から受ける評価としての社会的名誉(社会的評価)を指します。

しかし、こうした罵倒を我慢し続けなければならないわけではありません。その場合には、刑法上の「名誉毀損」は成立しなくても、民事上の「名誉感情の侵害」は成立する(場合もある)、と整理される訳です。

「社会的評価」を低下させるような名誉毀損は刑法上違法であり、かつ、民事上も違法
名誉感情の侵害は、刑法上は違法ではないが、民事上は違法となる(ケースもある)

という事になります。

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他人から「バカ」「ブス」などと罵倒され、ネット上でこうした誹謗中傷を続けられたら、何とかしたいものだと考えるのが自然です。

しかし、このように罵倒されても、罵倒された人の社会的評価が低下するわけではなく、だから、名誉毀損には該当しません。刑事法が保護法益としているのは、社会的名誉だけだからであり、名誉毀損は「事実を適示した」ときにしか成立しないからです。

一方、民事法上も社会的名誉を棄損した場合が名誉毀損にあたりますが、民事上の法的な保護は主観的名誉である名誉感情も含むと考えられています。名誉感情を著しく傷つけたときにも不法行為が成立する場合があり、ネット上での誹謗中傷は何の根拠もない下品な罵倒に過ぎないこともあるので、「名誉感情の侵害」にあたる場合を考える必要があります。


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刑事法が保護法益としているのは、①外部的名誉だけです。これに対して民事法上も、①外部的名誉を棄損した場合が名誉棄損に当たります。しかし、民事上の法的な保護は外部的名誉を侵害した場合の名誉毀損が成立するケースだけでなく、②名誉感情も法的保護に値すると考えられ、名誉感情を著しく傷つけた場合も不法行為が成立する場合があります。

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民事の「侮辱」は、刑事の「侮辱罪」と異なり、保護法益は個人の名誉感情です。最高裁は、「民法七二三条にいう名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すものであつて、人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価すなわち名誉感情は含まないものと解するのが相当である」として(最二小判昭45・12・18民集24巻13号2151頁)、名誉感情について「人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価」と定義しています。簡単に言うと「プライド」です。

名誉感情侵害は、「社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められる場合に初めて被上告人の人格的利益の侵害が認められ得る」(最三小判平22・4・13民集 64巻3号758頁)と判断されており、判断基準は「社会通念上許される限度を超える」か否かです。

上記最高裁判決では、「本件スレッドの他の書き込みの内容,本件書き込みがされた経緯等を考慮しなければ」「権利侵害の明白性の有無を判断することはできない」という基準を示しています。そのため、当該表現が「侮辱」なのかどうかを判断するに当たっては、そのスレッドの前後にどんな投稿があったのか(そのように書かれてもある程度仕方ないことなのかどうか)、その話題についてどんな経緯があったのか(そのように書かれてもやむを得ないような経緯があるのかどうか)が考慮要素となります。

ja.wikipedia.org

名誉毀損と名誉感情の侵害 - 立命館大学

民法の中の、とりわけ不法行為法と呼ばれる法分野を研究しています。具体的には、交通事故や医療過誤、公害事件や名誉毀損など、損害賠償が問題となる事例を対象として、被害者救済のための法理論につき分析をおこなっています。この社会では日々数多くの事件・事故が発生しており、多くの被害者が救済されないまま放置されています。また、社会の進展にともない、新しいタイプの事件・事故も登場してきています。民法その他の法律が定める既存のルールがこれらの状況にきちんと対応できているのか。新しいルールが必要なのではないか。こういったことに関心をもっています。

大学での勉強は高校までの勉強とちがい、とても自由なものです。自らの関心の赴くままに好きなテーマを好きなだけ学ぶことができます。しかし、そうした自由な学びにおいて必要とされる基礎学力は高校までの勉強によって養われます。高校では各教科の勉強をしっかりとおこなってください。

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事故に対し、加害行為以外の原因が作用することによって損害が発生・拡大した場合(原因競合事例)、加害者は生じた全損害について賠償責任を負わなければならないのか。それとも、生じた損害の一部分につき賠償責任を負担すればよいのか。こういった問題に関心を持っています。この種の問題をめぐっては、かつて、素因競合事例(被害者の何らかの要因が作用して損害が発生・拡大する事例)を素材にして、華々しい議論が行われたのですが、決着がついていないにもかかわらず、最近ではそれも沈静化してしまっているようです。こういった状況にあって、原因競合事例における割合的責任を導くための理論枠組みを構築することを当面の研究課題としています。


www.ritsumei.ac.jp

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