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アメリカのトランプ大統領は11日、イスラエルアラブ諸国の1つバーレーンアメリカの仲介で国交の正常化に合意したと発表しました。

トランプ大統領イスラエルのネタニヤフ首相、バーレーンのハマド国王と3者で電話で会談し合意を交わしたということで、トランプ大統領は「きょうはとても歴史的で重要な日だ」と述べました。

両国は今後、互いに大使館を設置し直行便を就航させて、経済関係を強化させるということです。

トランプ政権は11月の大統領選挙を前にイスラエルアラブ諸国の関係改善への働きかけを強めていて、8月はイスラエルとUAEがアメリカの仲介のもと国交正常化で合意し、9月15日に首都ワシントンで両国の代表が合意文書に署名することになっています。

アメリカ政府は同じ日に今回のイスラエルバーレーンの合意の署名式も合わせて行うとしていて、トランプ大統領の実績としてアピールするねらいとみられます。

イスラエルは1948年の建国以来、パレスチナを支援するアラブ諸国と70年以上対立してきました。

一方、トランプ政権は支持基盤の保守層を意識しイスラエル寄りの姿勢を鮮明にするとともに、アラブ諸国への働きかけを強めた結果、わずか1か月間でイスラエルとUAE、バーレーンとの国交正常化の合意にこぎつけ、長年のイスラエルとアラブの対立の構図に大きな影響を与えています。

バーレーンは中東、ペルシャ湾の島国で国家歳入のほとんどを石油に頼る産油国です。

東京23区より少し広い国土におよそ150万人が暮らし、外国人労働者がその半数を占めています。

アメリカと安全保障面で密接な関係にあり、ペルシャ湾などを管轄するアメリカ海軍第5艦隊の司令部が置かれています。

バーレーンは国民の少数派のイスラムスンニ派の王族が権力の座を維持していますが、2011年には多数派のシーア派住民が大規模な反政府デモを起こしました。

その際、同じスンニ派の王族が支配する隣国の地域大国サウジアラビアが介入して鎮圧するなどサウジアラビアの強い影響を受けています。

このため外交ではアメリカとサウジアラビアと歩調をあわせる形でイランと対立しています。

またイスラエルとの関係を巡っては去年7月、当時のイスラエルの外相がアメリカのワシントンでバーレーンの外相と会った際の写真をツイッターに投稿し、両国の接近をうかがわせていました。

また、8月、イスラエルとUAE=アラブ首長国連邦が国交正常化で合意したあと、アメリカのポンペイ国務長官とクシュナー上級顧問が相次いでバーレーンを訪問しハマド国王と面会していて、イスラエルとの関係の改善を促したという見方が出ていました。

イスラエルのネタニヤフ首相は、バーレーンとの合意後、ビデオで声明を発表し、アラブ諸国との関係改善では1979年のエジプトに続く1994年のヨルダンとの平和条約締結から8月のUAE=アラブ首長国連邦との国交正常化に20年以上かかったと指摘しました。

そのうえでUAEと今回のバーレーンとの合意について、「3か国目と4か国目の合意には29日しかかからず、さらなる国が続くだろう」と述べ、ほかのアラブ諸国との関係改善を進める考えを示しました。

そして「私たちは新たな平和の時代を迎えている。我々は長年平和に投資してきたが、今度は平和によって我々に大きな投資がもたらされるだろう」と述べ、アラブ諸国との関係改善の意義を強調した上で、仲介役を果たしたトランプ大統領に謝意を示しました。

バーレーンの国営通信は11日、ハマド国王がアメリカのトランプ大統領イスラエルのネタニヤフ首相の3者で電話会談したと伝えるとともに、アメリカが発表したバーレーンイスラエルとの共同声明を掲載しました。

ただ、ハマド国王の国交正常化への直接の反応は伝えず、一方でイスラエルと対立するパレスチナに言及し、「ハマド国王はイスラエルパレスチナの双方が国家を持つ考え方にもとづいて公平で完全な和平を目指すべきだと強調した」と伝えました。

ハマド国王としては今回の合意に反発するパレスチナ側に配慮する姿勢を示すねらいがあるとみられます。

また、ハマド国王の外交顧問のハリド元外相は11日、みずからのツイッターで「地域の安全や安定、それに繁栄につながる」と投稿し、合意の意義を強調しました。

今回の合意に対しパレスチナ暫定自治政府は11日、公式メディアを通じて声明を出し「アメリカとバーレーンイスラエルの3者による宣言を強く拒否し非難する」と反発しました。

そして今回の合意について「アラブ諸国で合意した和平案や数々の決議、それに国際的な正当性を吹き飛ばす、極めて危険な動きだと考える」としています。

アラブ諸国パレスチナは2002年、イスラエルとの国交正常化にはイスラエルの占領地からの撤退やパレスチナ国家の承認を前提条件とする和平案で合意していて、パレスチナは声明でこの和平案を順守するよう改めて求めています。

ただ、アラブ諸国パレスチナの関係を巡っては9日のアラブ連盟の外相会議でパレスチナ側が先のイスラエルとUAEの国交正常化の合意が和平案に反しているとする非難の声明を提起しましたが採択されず、パレスチナの孤立が浮き彫りとなっています。

トランプ政権がイスラエルアラブ諸国との関係改善を強く促している背景には、
11月の大統領選挙をにらんだ保守層へのアピールと
中東和平の実現に向けたパレスチナへの圧力、
さらに
敵対するイランへの包囲網構築という大きく3つのねらいがあるとみられます。

トランプ大統領イスラエル政策で強く意識しているのがキリスト教福音派の存在です。

福音派アメリカ最大の宗教勢力ともいわれ、聖書の言葉を厳格に守ることを教えの柱とし、ユダヤ人の国イスラエルは「神の意志で建国された」としてイスラエルへの支援を重視しています。

トランプ大統領福音派を支持基盤としてイスラエル寄りの立場を鮮明にし、イスラエルパレスチナの間で帰属をめぐる争いのある聖地エルサレムイスラエルの首都と認めるなど福音派の人たちの長年の訴えを実現させてきました。

イスラエルは1948年の建国以来、アラブ諸国とたびたび戦火を交えてきただけに、その対立の解消はイスラエルの安全保障の改善につながり福音派もこれを歓迎しています。

大統領選挙を間近にひかえたタイミングでのイスラエルとUAE、バーレーンとの相次ぐ合意には、トランプ大統領として福音派に実績を強調するねらいがあるとみられます。

また、イスラエルパレスチナの対立をめぐる中東和平問題でパレスチナの譲歩を引き出す環境づくりを進める目的もあるとみられます。

トランプ政権は中東和平を「究極のディール」と呼んで独自の和平案を示し解決に取り組んでいますが、和平案がイスラエル寄りの立場を色濃く反映した内容だったためパレスチナ側が強く反発し事態は進展していません。

このためトランプ政権としてはパレスチナを支援するアラブ諸国への働きかけを強めることで、パレスチナ側に間接的に圧力をかけるねらいとみられ、トランプ大統領は11日の会見で「我々は異なるアプローチをとっている」と述べて、パレスチナ側に譲歩を促すためにも先にほかのアラブ諸国イスラエルとの国交正常化を呼びかけていく考えを示しています。

さらに、アメリカが中東最大の脅威と位置づけイスラエルと敵対するイランへの包囲網を構築するねらいもあります。

アラブ諸国のなかにはイスラム教の宗派の違いなどからイランと敵対関係にある国も少なくなく、こうした国とイスラエルとの関係改善を進めることで、アメリカとしてはイスラエルアラブ諸国の構図をイスラエルアラブ諸国対イランの構図へと転換させ、イランを孤立させようとしているとみられます。

バーレーンに先立って8月、国交正常化で合意したイスラエルとUAEでは合意以降、両国の関係を強化する動きが急激に加速しています。

イスラエルアメリカとともに8月末、UAEの首都アブダビに政財界の実務者の代表団を派遣し、イスラエルアブダビを結ぶ民間の直行便を初めて運航しました。

さらにイスラエルとUAEのドバイとの直行便の運航に向けた準備も進められていて、両国の間で人の往来を活発化させる動きが活発化しています。

また、経済関係では9月9日、イスラエルの大手銀行の幹部が「合意文書への署名後には、銀行システムでも連携できるようになる」と述べて、金融機関どうしの協力も進めたいという考えを示したほか、イスラエルの病院大手がUAEの投資会社と医療技術の協力で合意したことを発表し、両国の関係を強化する動きが急激に加速しています。

UAE=アラブ首長国連邦に続きバーレーンイスラエルとの国交正常化に動いたことで地域大国サウジアラビアの動向に関心が集まっています。

サウジアラビアのファイサル外相は先8月、アラブ諸国の和平案を維持する考えを強調し、イスラエルとの国交正常化には慎重な姿勢を示しました。

また、サルマン国王も9月6日にアメリカのトランプ大統領と電話会談した際、従来の和平案を維持する姿勢を伝えたということです。

しかし、サウジアラビアの強い影響を受けるバーレーンイスラエルとの国交正常化に乗り出したことで、サウジアラビアの姿勢に何らかの変化を及ぼす可能性もあり、その動向に関心が集まっています。

トランプ大統領は11日、アメリカの仲介によって長年、対立してきたイスラエルバーレーンが国交の正常化に合意したと発表しました。

トランプ政権は、先月には、イスラエルとUAE=アラブ首長国連邦の国交正常化の合意も仲介しています。

これについてトランプ大統領は、「過去72年間で、イスラエルと平和条約を結んだ国は2つだ。私たちはこの1か月で2つの合意を実現した」と述べ、外交成果を強調しました。

トランプ大統領イスラエルアラブ諸国の関係改善に力を入れる背景には、みずからの支持基盤であるキリスト教福音派の存在があると見られています。

敵対してきたアラブ諸国との国交正常化はイスラエルの安全保障の改善につながり、イスラエルへの支援を重視する福音派の支持をつなぎとめやすくなるためです。

トランプ大統領は今月15日、3か国の代表を首都ワシントンに招いて合意の署名式を行うことにしていて、秋の大統領選挙を前に外交成果をアピールするねらいがあるとみられます。

また、自身が「究極のディール」と呼ぶ中東和平の実現にむけても、パレスチナ側を支援してきたアラブ諸国イスラエルの関係改善を先に進めることで、パレスチナ側の譲歩を引き出したい考えです。

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