イスラエル レバノン 海洋境界線で協議開始 ガス田開発思惑も #nhk_news https://t.co/xeFRCOgN33
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年10月15日
イスラエルとレバノンは14日、レバノン南部のナクーラにある国連施設で東地中海の境界線の画定に向けた代表者による初めての協議を開きました。
協議は2010年から両国と話し合いを進めているアメリカの仲介で実現し、1時間半ほどで終了したということです。
今回の協議についてアメリカ政府は「生産的な協議をした」と評価し、両国のメディアは今月28日にも2度目の協議の場を設けることで一致したと伝えています。
両国はイスラエルの建国に端を発した第1次中東戦争以降、たびたび戦火を交え、2006年にはイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間で大規模な戦闘が起きていますが、その後は休戦状態となっています。
一方、両国が面する東地中海ではガス田が相次いで発見されていて、今回、開発をそれぞれに進めたい両国の思惑が一致したと見られています。
協議についてイスラエル側は政治的な協議としてはおよそ30年ぶりだとして合意に意欲を示していますが、レバノン国内ではヒズボラなどが反発していて、今後、合意に至ることができるかが焦点となります。
イスラエルの専門家は、長年に渡り対立してきた両国の協議が実現したことについて、政治や経済が不安定なレバノンに変革を求めるという点で、イスラエルと仲介役のアメリカとの間で思惑が一致した結果だとしています。
イスラエルの元政府高官で、イスラエル国家安全保障研究所のオルナ・ミズラヒ上級研究員は、NHKのインタビューに応じました。
この中で、ミズラヒ上席研究員は「アメリカは、地域の安定やレバノンの政治システムの変革を求めており、イスラエルにとっても不安定なレバノンは危険な状況だ。そうした思惑が、協議開始を決定づけた」と述べ敵対するイランとつながりのある政治勢力がレバノン国内で影響力を増す中、協議を始める必要があったとしています。
また、イスラエルとしては協議を通じて東地中海でのガス田の発掘と開発を進めたいというねらいがあると指摘しました。
一方、レバノン側の事情については、「ベイルート港での爆発もあり、経済状況が深刻になっている。経済の改善を求める声があがり、外部の支援が必要となるなか、イスラエルと協議するという結論に至ったのだと思う」として、仲介役のアメリカの要請に応じ、対立してきたイスラエルとの対話を受け入れざるをえない状況にあったという見方を示しました。
今後については、「他の分野での理解促進や合意につながる可能性もある」と述べ、海上の境界線以外についても協議が行われ、幅広い分野で関係改善につながるかが焦点だとしています。
国境を接するイスラエルとレバノンは、1948年のイスラエル建国以来、たびたび戦火を交えてきました。
イスラエルの建国に端を発した1948年の第1次中東戦争でレバノンは、アラブ諸国のエジプトやシリアなどとともにイスラエルと戦争し、70万人とも言われるパレスチナ人が難民となりました。
1970年代に入ると、パレスチナ難民の一部が武装化したうえでレバノンに拠点を構え、イスラエル側に攻撃を仕掛けるようになり、緊張が高まりました。
1978年には、攻撃を仕掛けられたイスラエルが報復としてレバノンの南部を占領しました。
これをきっかけに国連が仲介に入り、UNFIL=国連レバノン暫定軍がレバノン南部に駐留するようになりました。
1982年には再び、両国の間で緊張感が高まり、イスラエルは、ゲリラ対策としてレバノンに侵攻し、首都ベイルートを包囲しました。
この際、ベイルートの難民キャンプで、レバノンの武装集団が、数千人とも言われるパレスチナ難民を虐殺するといういたましい事件も起きています。
イスラエル側は2000年、占領していたレバノン南部から撤退しましたが、レバノンは、国境地帯の一部については、イスラエルに占領されたままだとして、国境線の画定を求めています。
また、2006年7月には、イランやシリアの支援を受けて勢力を拡大してきたレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」が、イスラエル軍を襲撃したことなどをきっかけに、イスラエルが国境を越えて侵攻し大規模な戦争になりました。
戦闘が始まって1か月後には、国連安全保障理事会の決議に基づき、イスラエル軍とヒズボラの間で停戦が実現しましたが、両国は、現在に至るまで休戦状態が続いています。
イスラエル 入植者用の住宅建設継続へ パレスチナは激しく反発 #nhk_news https://t.co/J3FOkCVfnL
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年10月15日
イスラエル政府は14日、パレスチナのヨルダン川西岸地区にある入植地に新たに2000戸余りの住宅を建設することを決めたと発表しました。
これに対しパレスチナ暫定自治政府は声明を出し、「入植地を違法だとした国連決議と相いれない。ネタニヤフ政権の政策をやめさせるため、国際社会の即時の介入を求める」と激しく反発しました。
入植地はイスラエルとパレスチナ、そしてアラブ諸国との対立の要因となっていますが、イスラエルはこのところアメリカの仲介でUAE=アラブ首長国連邦やバーレーンと相次いで国交正常化で合意し、ネタニヤフ首相はUAEとの合意の際、ユダヤ人入植地の併合を一時停止するとしていました。
しかし今回、入植者用の住宅の建設を継続する姿勢を示した形で、イスラエルとしてはアメリカを後ろ盾に入植地の固定化を進める狙いもあると見られ、今後、アラブ諸国からの反発も予想されます。
一方、イスラエルとアラブ諸国の関係改善を巡り、アメリカのポンペイオ国務長官は14日、首都ワシントンでサウジアラビアのファイサル外相と会談し、「サウジアラビアがイスラエルとの国交を正常化することを望む」と述べました。
また「イランが及ぼす影響力に対抗するために、中東の国々はお互いの協力が必要だと正しく理解している」として、敵対するイランに対抗するためにもイスラエルとアラブ諸国の関係改善が必要だと強調しました。
トランプ政権はこれまでにイスラエルとUAE=アラブ首長国連邦、バーレーンとの国交正常化を仲介しており、アラブの盟主ともされるサウジアラビアの動向が焦点となっています。
ただサウジアラビアは慎重な姿勢を示していて、この日の会談でもファイサル外相はイスラエルとの国交正常化には言及しませんでした。
#中東