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国連人権高等弁務官事務所が2010年に発表したコンゴ民主共和国の紛争被害についての報告書は証言をもとに2003年までの10年間で617件の民間人の虐殺や女性への性暴力などの深刻な人権侵害があったことを初めて体系的にまとめ、当時、国際社会が紛争に関心を寄せるきっかけの1つとなりました。

報告書の発表から10年がたつのに合わせて紛争について考えようと、28日、日本のNPOがオンラインのセミナーを開きました。

この中でコンゴ民主共和国出身で立命館大学のジャン・クロード・マスワナ教授は、「報告書には虐殺や性暴力の実態が書かれているが、世界は沈黙したままだ」と指摘し、日本を含めた国際社会の無関心さを批判しました。

また、アフリカの紛争に詳しいシャール・オナナ氏は、「暴力や人権侵害に対する犯罪を裁くべきだ」と述べ、国際法廷などの司法の場で責任の所在を明らかにするよう求めました。

コンゴ民主共和国では地下資源の利権などをめぐり政府軍と複数の武装グループの間で戦闘が続いていて数百万人以上が犠牲になったとされています。

コンゴ民主共和国のデニ・ムクウェゲ医師は武装勢力などによる性暴力の被害にあった女性たちの治療にあたり、2018年にノーベル平和賞を受賞しました。

ムクウェゲ医師はことし8月、NHKの取材に応じ、「虐殺は今も続いている。この報告書が取りあげられ、議論されることがとても重要だ」と話し、報告書の発表から10年がたってもなお、変わらない現状を改めて批判しています。

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