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日銀が26日に発表した、ことし4月から9月までの中間決算によりますと、9月末時点の総資産の額は、合わせて690兆269億円で、去年の同じ時期より120兆円余り、率にして21%増えました。

昨年度の日本のGDP国内総生産のおよそ1.2倍に上り、上半期としては13期連続で過去最高を更新しました。

資産のうち、最も多いのが国債で、大規模な金融緩和策を背景に、去年の同じ時期より10%増えて529兆9563億円でした。

また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化を食い止めるため、企業の資金繰り支援策を含めた追加の金融緩和に踏み切ったことで、
▽貸出金が104兆8956億円と、2.2倍に増加し、
ETF=上場投資信託は34兆1861億円と、24%増えました。

一方、最終的な利益にあたる利益剰余金は、ETFの運用益が増えたことなどから、去年の同じ時期より73億円増えて9288億円でした。

日銀は、新型コロナウイルスが経済に与える影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加の金融緩和に踏み切るとしていますが、目標とする2%の物価上昇率の達成に向けた道筋が見通せない中、資産が一段と膨張する状況が続いています。

日銀が買い入れを増やしているETF=上場投資信託は、複数の株式を組み合わせて作られた金融商品です。

市場に資金を流し込む金融政策として、2010年10月の金融政策決定会合で買い入れの方針が決まりました。

国債のように満期がなく、値動きの大きい金融商品を日銀が購入するという異例の決断でした。

それから10年。

当時、およそ4500億円だったETFの年間の買い入れ額は、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化を食い止めるため、今では12兆円にまで増えています。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾上席研究員の試算によりますと、日銀が25日時点で保有しているETF全体の時価総額は45兆1600億円に上り、東証1部に上場する企業の株式のうち、6%余りを保有している計算になるということです。

公的年金の積立金を運用し、その巨額さから「鯨」にも例えられるGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人の株式の保有額を上回る規模と推計されるということです。

日銀によるETFの購入について、井出上席研究員は、株価を下支えしたり、市場の混乱を抑えたりする面では一定の効果があるとしています。

一方で「株価がゆがめられ『経済の体温計』という、本来の株式市場が持つ機能を低下させてしまうおそれがある。企業の実力と株価水準が見合っていないケースも想定され、企業の新陳代謝が促されにくくなる副作用がある」と指摘しています。

また井出上席研究員は、日銀がETFの買い入れを進めたことで、多くの上場企業で日銀が実質的な大株主になっているとして、その弊害も指摘しています。

井出上席研究員は、日銀が実質的に発行済み株式の20%以上を保有している企業は3社、10%以上保有している企業は67社と試算しています。

企業にとって日銀は、ETF保有し続けるため、経営者がその状況に安心して経営が緩んでしまう懸念もあると指摘しています。

そのうえで、井出上席研究員は「日銀が保有する40兆円を超すETFを、将来的にどうやって売却するのか、いずれ必要になる金融政策の『出口』を積極的に議論すべきではないか」としています。