韓国 ムン政権と検事総長の対立深まる 初の懲戒委員会開催へ #nhk_news https://t.co/ffn6AqU1yh
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年12月6日
韓国の検察トップ、ユン・ソギョル（尹錫悦）検事総長は、ムン・ジェイン（文在寅）大統領の側近で検察改革を託されたチョ・グク前法相に対し、親族をめぐる疑惑を追及して辞任に追い込むなどした結果、政権と対立しました。
後任のチュ・ミエ（秋美愛）法相は、ユン検事総長に近い検察幹部を一斉に左遷するなどしたほか、先月24日には「監察妨害など重大な不正があった」として、ユン検事総長の職務停止を命じるとともに、懲戒請求を行いました。これを受けて韓国法務省は、検事総長に対する初めての懲戒委員会を今月10日に開く予定で、韓国の主要メディアは、来年7月までの任期を残すユン検事総長の解任を決める可能性があると伝えています。
一方、ユン検事総長は、行政裁判所に職務停止命令の効力停止を求め、これが認められたことで職務に復帰し、4日には、チュ法相が選任するメンバーで構成される懲戒委員会は憲法違反だとして憲法裁判所に提訴するなど、対立が深まっています。
ムン大統領が、検察組織を内部から変える旗振り役として期待したのがユン検事総長でした。
ユン氏は、保守系のパク・クネ（朴槿恵）前大統領やイ・ミョンバク（李明博）元大統領をめぐる贈収賄事件などを徹底して捜査。革新系のムン大統領はその手腕を高く評価し、ソウル中央地方検察庁のトップに抜てきしたのに続いて、去年7月には検事総長に任命しました。その際、ムン大統領は「大統領府でも政権与党でも、権力に不正があれば厳正に捜査するように」と指示しています。
すると、ユン検事総長は、大統領の側近で法相に起用されたチョ・グク氏の親族をめぐる疑惑を追及して辞任に追い込んだほか、地方選挙に介入した疑惑などで大統領府を捜索し、ムン政権との対立が深まりました。
ムン政権にとって、ユン検事総長の姿勢は、組織防衛のための「改革つぶし」に映ったとみられています。
ことし1月に就任した、チョ氏の後任のチュ・ミエ法相は、ユン検事総長の側近の検察幹部たちを一斉に左遷する一方、ユン氏を捜査から外そうと相次いで指揮権を発動するなど締めつけを強めました。
さらに、チュ法相は先月24日、ユン検事総長に対し、政権に批判的な新聞社トップとの不適切な接触など、6つの疑いがあるとして、職務停止を命じるとともに懲戒処分を請求しました。
これに対し、「法相の部下ではない」と公言するユン検事総長は「一点も恥じることなく職務を果たしてきた」と反論。行政裁判所に命令の効力停止を求める申し立てを行って今月1日に職務復帰を果たすとともに、法廷闘争を展開していく構えを見せています。
ムン大統領は「検察改革」を優先課題の1つに位置づけてきました。
その背景には、みずからが秘書室長を担うなど側近として支えたノ・ムヒョン（盧武鉉）元大統領の存在があります。
ノ元大統領は、権限が強すぎると指摘されてきた検察の影響力を弱めようと、「検察改革」に取り組みましたが、検察側の強い抵抗にあって実現できず、ノ元大統領は退任後、親族の収賄事件などが発覚し、検察の事情聴取に応じたあと自殺しました。
このため、ムン大統領にとって検察改革の実現はノ・ムヒョン政権時代からの「悲願」で、検察に代わって政府高官などの不正を捜査する新たな機関の設置も進めています。
ムン大統領は先月30日の会議でも、「改革と革新によって古いものと果敢に決別し変化しようとする意志を持つとき、新しい未来が開かれる」と述べ、改革に向けた強い意欲を改めて示しました。
ユン検事総長をめぐっては、革新系のムン・ジェイン政権の圧力に屈しない姿勢から、保守派だけでなく中道層にも支持が広がっています。
韓国の世論調査機関「韓国ギャラップ」の最新の調査結果では、再来年3月の大統領選挙に向けて次の大統領にふさわしい人物として、ユン検事総長は先週より支持率を上げて3位に入りました。
▽1位：キョンギ（京畿）道のイ・ジェミョン（李在明）知事
▽2位：与党「共に民主党」のイ・ナギョン（李洛淵）代表また、別の世論調査機関「リアルメーター」の最新の調査結果では、ユン検事総長は、与党「共に民主党」のイ・ナギョン代表に次いで、0.8ポイント差の2位につけました。
政権交代を目指す保守系の最大野党「国民の力」では、現時点で党内に有力な候補がいない中で、ユン氏への待望論が浮上しています。
ユン検事総長は、ことし10月の国会答弁で「退任したら社会と国民のために奉仕する方法をゆっくり考える」と述べました。
この発言が、政界転身の可能性を示唆したものだとも受け止められていて、政権与党は、ユン氏に対する警戒感を募らせているという見方が出ています。
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