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韓国では、1期5年かぎりで再選が認められていないムン・ジェイン大統領の後任を選ぶ大統領選挙が、来年3月9日に行われる予定です。

政権奪還を目指す保守系の最大野党「国民の力」はこれまでに絞り込んだ4人の中から公認候補を選ぶため5日、ソウルで党大会を開きました。
この中で党員投票と世論調査を集計した結果が発表され、ユン・ソギョル前検事総長が、追い上げを見せていたベテラン国会議員のホン・ジュンピョ(洪準杓)氏を振り切って公認候補に選出されました。

ユン氏は、ムン大統領によって検察トップに抜てきされましたが、ムン政権をめぐる疑惑を徹底して捜査する中で政権との対立が深まりました。

ことし3月に検事総長を辞任すると政治経験はないものの「国民の力」に入党して政界に進出し、ムン政権を厳しく批判するとともに5年ぶりの政権交代に意欲を示していました。

大統領選挙に向けては革新政権の継続を掲げる与党「共に民主党」が、ソウル近郊キョンギ(京畿)道の知事を務めたイ・ジェミョン(李在明)氏を公認候補に選出したほか、革新系野党「正義党」のシム・サンジョン(沈相※ジョン)元代表と、中道系野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)代表が、それぞれ立候補する意向を表明していて、これで与野党の主要な顔ぶれが出そろいました。
選挙戦は事実上、与党と最大野党の直接対決になる見通しで、今後、両陣営の動きが活発化するとみられます。

※女へんに丁

ユン・ソギョル前検事総長は、ソウル出身の60歳。
名門のソウル大学を卒業し、司法試験にたび重なる挑戦のすえ合格して検察官となりました。

保守系のパク・クネ(朴槿恵)前大統領やイ・ミョンバク(李明博)元大統領をめぐる贈収賄事件などを徹底して捜査した手腕が、革新系のムン・ジェイン大統領から高く評価され、おととし、ソウル中央地方検察庁のトップから検事総長に抜てきされました。
するとユン氏は、ムン大統領の側近で法相に起用されたチョ・グク(※チョ国)氏をめぐる疑惑を追及して辞任に追い込むなどした結果、政権との対立が深まりました。
そして、ことし3月、検察に代わって政府高官らの不正を捜査する新たな機関が発足したことなどへの反発から、検事総長を辞任しました。
その後、ことし6月に政界入りする意向を明らかにしたのに続いて、7月には政権交代を目指すとして最大野党「国民の力」に入党しました。

大統領選挙に立候補するにあたってユン氏は、ムン政権を厳しく批判したうえで「古い政治を清算して国民が真の主人となる国をつくることが政治を志した理由だ。崩れた自由民主主義や法治を立て直し、公正さを取り戻す」と強調しました。
また、ムン政権に対する不満の1位に挙げられている不動産価格の高騰への対応を掲げ、任期中に250万戸以上の住宅を供給し若者向けの低価格の住宅も準備すると訴えています。
さらに、外交や安全保障では、日本と韓国の関係について、首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開し、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題、軍事情報包括保護協定=GSOMIA(ジーソミア)の継続など、両国間の懸案を包括的に解決することを目指すとしています。
また、北朝鮮との関係については、非核化の進展に伴って経済協力事業を実施するとしているほか、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)に、韓国と北朝鮮、それにアメリカの連絡事務所を設置すると主張しています。

一方、ユン氏は、労働政策をめぐって「週に120時間働けるようにすべきだ」と述べるなど失言が相次ぎ、政治経験のなさも露呈していて、党内選挙では、ホン・ジュンピョ氏の追い上げを許す形になっていました。

※「曹」の縦線が1本

韓国の大統領制の特徴は

韓国の大統領は、国民が投票する直接選挙で選ばれ、任期は5年です。1期のみで、アメリカの大統領と違って再選されることはありません。

また、憲法で立候補できるのは40歳以上と規定されています。

大統領は、行政府のトップであり、国会への予算案提出や、閣僚・公務員を任命する権限、また国会が可決した法案を事実上、拒否できる権限もあります。

韓国ではその権限から「帝王的」と言われることもあります。

韓国の大統領が“帝王的”と言われる理由は?

韓国政治に詳しい慶應義塾大学の西野純也教授に聞きました。

「『帝王的』ともいわれる理由として一番大きいのは人事です。トップダウンで自分の政権のカラーに合う人をピックアップし、高位官僚の人事でみずからの意思を政策などに反映できます。そしてもう1つは予算です。国政運営を行う上で重要なのは予算的な裏づけです。政府を代表して大統領が予算案を国会に提出できるのも、韓国大統領の権限の特徴といえます」

アメリカの大統領と比べても韓国は強大?

「例えばアメリカは大統領が予算案を議会に提出できないので、予算教書を示して議会にお願いをします。その点では、韓国大統領は予算案を国会に提出できるので、アメリカとは違います」

「ただ外交の権限で見ればアメリカ大統領に比べて韓国の大統領が突出して権限が大きいかというと、そうじゃないともいえます。その一方で韓国は朝鮮戦争の休戦状態にあります。したがって、何かあったときの権限(=非常時の戒厳令宣布など)が、憲法でかなり付与されているのも大きな権限があるといわれるゆえんだと思います」
歴代大統領が退任後に逮捕されたりするのはなぜ?

大統領制ですから大きな権限があるのは間違いないです。それに加えて韓国の人たちは大統領は強いリーダーだと思っているわけです。であるがゆえに、言い方が悪いですけれども大統領に群がる人たちが出てきて、群がった人たちに甘い汁を差し出されると吸ってしまう場合があると」

「でも、民主化後(1987年以降)は大統領自身が甘い汁を吸うという事はほとんどなくて、大統領の親族や側近ですよね、ここから切り崩されるわけです。そして、与野党の政治的な対立が激しいがゆえに悪く言えば政権交代のたびに報復合戦が起こります。韓国では大統領選に勝つか負けるかは『オール・オア・ナッシング』と認識されていて、与野党にとって激烈な争いにならざるをえません」

そもそも韓国はなぜ大統領制なの

「日本の植民地支配から解放されたあと、アメリカによる軍政が3年続きました。その後、国連監視下の選挙で選ばれた議員たちが国会を開いて憲法を制定し、大韓民国政府が樹立されます。その際に統治制度をどうしようかという議論がありました」

「議員たちは議院内閣制を考えていたようですが、初代の大統領になるイ・スンマン(李承晩)氏がみずからのリーダーシップを発揮しやすくするために大統領制を主張して、結局、大統領制になりました」

<イ・スンマン氏とは>

初代大統領。
日本の植民地時代、アメリカを中心に海外で独立運動に携わり、日本の植民地支配が終わったあとに帰国。

アメリカの後ろ盾のもと1948年に初代大統領に選出され、その後、改憲を繰り返して12年にわたる長期政権の体制を敷いた。

4選を決めた1960年3月の大統領選挙で不正があったとして、学生を中心としたデモが全国に拡大。
退陣に追い込まれ、ハワイに亡命した。

当初から国民が大統領を選ぶ直接選挙なの?

西野純也教授

大統領制を始めたときは国民による直接選挙ではなく、国会で大統領を選ぶ間接選挙でした。しかし、イ・スンマン大統領は強権的な政治手法で与党からの支持を失いました。そこで直接選挙にすれば、政治家は支持してくれなくても、国民は自分を支持してくれると考え、直接選挙制に変えました。」

「その後、1960年4月にイ・スンマン大統領が退陣したあと、韓国の歴史上で唯一、議院内閣制がとられました。しかし、不幸にも韓国政治は非常に混乱をしていた時期です。」

「そんな中で軍のパク・チョンヒ(朴正煕)氏がクーデターを起こし、議員内閣制の時期は10か月で終わります。パク・チョンヒ氏による政権は18年続きました。1972年に大統領権限を強化するために憲法改正が行われ、選挙制度も自分が選ばれやすいように間接選挙にかわりました」

韓国では、その後、国民から民主化を求める声が広がるなか、憲法が改正されて直接選挙が再び導入され、1987年にノ・テウ(盧泰愚)氏が大統領に当選した。

なぜ韓国の大統領の任期は1期5年だけ?

西野純也教授
「韓国では、パク・チョンヒ政権が18年も続いたことを反面教師として、次のチョン・ドゥファン(全斗煥)政権のときに1期7年限りになりました。そして、民主化になったときに、7年も長いということで、1期5年になりました」

「過去の権威主義的なリーダーたちは、憲法を何回も改正して永久執権を目指すようなことを韓国は経験しています。それはよくないと言うことで1期限りということになったのです」

<ちなみに…韓国の大統領制はめずらしい?>

西野教授と同じ慶應義塾大学で比較政治が専門の粕谷祐子教授にたずねたところ、世界で大統領制を採用している国で、任期が1期のみの国は「多くない」ということです。

アジアでは、フィリピンが1期のみ。

そのほか、メキシコやグアテマラパラグアイも1期のみです。

なぜ40歳以上しか立候補できない?

西野純也教授
「立候補できる年齢が法律に書かれていたのはイ・スンマン時代からのようです。なぜそうなったかは明確な記録がないようですが、おそらく当時の認識として40歳ぐらいからが国を統治するのにふさわしい年齢だというふうに考えられていたと」
「ことし、最大野党の代表に36歳のイ・ジュンソク(李俊錫)氏が選ばれ、必ずしも40歳じゃなくてもいいんじゃないのという議論がにわかに出てきている状況だと思います。ただ本当に変えるということにはならないと見ています」

韓国国内で大統領の任期1期のみの評価は?

西野純也教授
民主化憲法が制定されて30年以上たち、韓国では任期1期だけの弊害はあるということが言われています。レームダック化(任期の終わり近くに政策実行力が弱まること)です。大統領の任期は5年なのだけれども実質的にやりたい政策を推し進められるのは最初の3年くらいではないかと言われるようになっています。そうした観点から、かねてから憲法を改正して再選できるようにした方がよいのではないかという議論もあります」
1期5年が変わらないのはなぜ?

憲法改正は非常に重要な事項なのでハードルも高く、国民的な一定のコンセンサス(総意)、野党も含めたコンセンサスがないと改正できないという事情が一番大きいと思います。基本的に野党はいつも反対をして政治的な激しい争点になることの繰り返しなので、それで国民的に十分コンセンサスを得ることができずに、改正できないということが繰り返されています」

改憲目指す動きも…>

ノ・ムヒョン政権(当時)は2007年、ムン・ジェイン政権は2018年に大統領の任期を1期4年に短くして1回に限って再選を可能にする憲法改正案をそれぞれ発表。野党の反対が強く、いずれも断念。

韓国の大統領は任期末期になると日本に強硬になる?

西野純也教授
「そうである場合もあるし、そうでない場合もあります。キム・ヨンサム氏(在任1993-98)、イ・ミョンバク氏(在任2008-13)は、それが起こりました。」

「日本の問題に限らず任期が終盤になってくると、きぜんとしたリーダーシップを見せるという傾向があるので、それを見せる上では日本との関係は比較的やりやすい。けれどもパク・クネ氏(在任2013-17)の場合は日本との関係を途中から舵を切って強化しました」

日本との関係は大統領選挙の争点になる?

「ならないと思います。どこの国も同じですけれども、争点は暮らし向きや経済です。国民にとって1番の関心事はいま、コロナ対策と経済です」

大統領選挙が日韓関係への与える影響は?

「日韓関係は、与党候補であればムン政権の延長線だと思いますし、野党候補であれば、実際に結果が伴うかどうかはわかりませんが、改善に向けて努力する姿勢は見せるでしょう。ただ、『徴用』の問題で日本企業の資産の『現金化』の手続きが進んでいます。誰が大統領になっても日韓関係を改善させるのは容易ではないと思います」

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