「最後の晩餐」の技法 科学的に裏付け 日本の研究機関が調査 #nhk_news https://t.co/998r8Cdwrs
— NHKニュース (@nhk_news) 2021年1月17日
イタリア・ミラノに残されている「最後の晩餐」は、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチが500年以上前に描いた巨大な壁画で、キリストが12人の弟子と共に食事を取る様子が描かれています。
作品を管理する「最後の晩餐美術館」から要請を受けた情報通信研究機構の福永香室長が、おととしキリストの顔などの4か所に電磁波の「テラヘルツ波」を当て、絵の下地を分析しました。
その結果、絵のすぐ下にしっくいでできた薄い下地の層があり、さらにその下の深さ2ミリほどのところにもしっくいが一様に塗られていることが分かったということです。
「最後の晩餐」は、20年余り前に行われた壁のかけらの分析から、壁が乾ききらないうちに絵を描く伝統的な「フレスコ画」ではなく、乾いた薄い下地の上に絵の具を塗る「テンペラ画」の技法で描かれたと考えられています。
今回、薄い下地が確認できたことで、この推定が科学的に初めて裏付けられる形となり、ダビンチがフレスコ画に比べて時間をかけて重ね塗りができるテンペラ画で精細な絵を描いたと考えられるということです。
福永室長は「ダビンチは実験屋さんで絵画によって技法が異なります。作品をどのように修復・保存していくかを検討するうえでもとても重要な成果です」と話しています。
テラヘルツ波は赤外線よりも波長が長い電磁波で、照射した波の反射を捉えることで表面から数ミリの深さまでどのような層があるのか調べることができます。
情報通信研究機構の福永香室長が平成20年に世界で初めて文化財の調査に活用し、作品を傷つけることなく絵の下地などの様子が分かることから、文化財の研究や修復に役立てられています。
最初に調査したのはイタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館にあるジョットの「バディア家の祭壇画」で、下地の技法を解明したことで、美術史上、ルネサンスの始まりに当たる作品であることを実証しました。
その後、世界各国から調査依頼を受けるようになり、アメリカのメトロポリタン美術館ではミイラの調査も行っています。
東京国立博物館にある国宝の「檜図屏風」も調査し、ふすまの引き手の部分が何度も補修されていたことなどを明らかにしたほか、去年には日本に初めてフレスコ画を持ち込んだ長谷川路可の作品の調査を行っています。
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