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アメリカのバイデン大統領は就任から10日となる29日、首都ワシントン近郊の軍の病院を訪れ、入院している兵士を見舞いました。

バイデン大統領はこの10日間、最優先に取り組むとしていた新型コロナウイルスや経済、雇用、気候変動、人種問題などの分野で連日、具体的な政策を打ち出し、実行力をアピールするとともにトランプ前政権の政策からの転換を強調しました。

ただ、その多くは議会での議論を経ずに大統領の権限で政策の実行を命じるもので、就任後10日間で出された大統領令は少なくとも25と、トランプ前大統領の7を大きく上回る異例の多さとなっています。

大統領権限による政策転換には人工妊娠中絶など世論を二分する問題も含まれ、一部の市民から抗議の声が上がっているほか、重要な政策の変更は大統領権限ではなく議会での議論を経て法律で対応すべきだという指摘も出ています。

アメリカのモンマス大学が先週から今週にかけて実施した世論調査ではバイデン大統領の政策に関して「楽観的」と回答したのは全体の61%でしたが、支持政党別の内訳では民主党支持者では95%となる一方で、共和党支持者では18%と大きく分かれています。

有力紙ニューヨーク・タイムズは「共和党の支持者からはやりすぎであり、国の結束を目指すという約束への裏切りだと非難の声が出ている」と指摘していて、大統領権限を多用して政策を次々に転換する手法に融和より分断を深めるという批判も出ています。

バイデン大統領が今月20日の就任から10日間で署名した大統領令は、新型コロナウイルス対策や気候変動など政権が重視する分野で少なくとも25に上ります。

NHKアメリカ政府のウェブサイトで過去の大統領と比較したところ、就任後10日間に出された大統領令としては、記録が公開されている範囲で、これまでで最も多かったオバマ元大統領の9、これに次ぐトランプ前大統領の7に比べても、突出して多くなっています。

一方、過去3期の政権で発出された大統領令では、▽トランプ前大統領が1期4年間で220、1年の平均では55で、▽オバマ元大統領は1期目の4年間で147、1年の平均で37、2期目の4年間で129、1年の平均で32、2期8年間の合計では276、1年の平均で35となっています。

これと比べても、バイデン大統領がすでに出した25はすでにトランプ前大統領の1年の平均の55の半分近くに、オバマ元大統領の35の7割余りに達しています。

これについてアメリカ政治を研究するアメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・ボウマン上級研究員は「政権発足直後から迅速に積極的に政策を進めているという印象を与えたいのだろう」と分析したうえで、「分断された議会で法案を通すやり方よりも大統領の一存でできる大統領令を使うほうが、トランプ前大統領の政策を覆すために簡単なやり方だからだ」と話しています。

アメリカの大統領はさまざまな形で命令や指示、決定を示しますが、大統領令はこの中でも法的な拘束力のある強力な行政命令です。

アメリカでは政策の実行に必要な法律をつくる際、まず立法府である議会で法案を成立させる必要がありますが、大統領令を使うと、この過程を経ずに大統領みずからが政策を立案しその実行を政府や軍に命じることができます。

大統領令は議会で野党などの反対で法案成立のめどがたたなかったり、政策の迅速な実行が求められたりする場合に使われることが多いほか、政権交代時に新大統領がみずからの公約を実現する際にも使われるケースがあります。

一方で、政策の実行には大統領の一存で決める大統領令ではなく、議会での審議を経て法律を制定するほうが望ましいという指摘もあります。

また大統領令が出されても、議会でこれを覆す法律を成立させたり、裁判所で違憲と判断されたりすれば、その実行を事実上、阻止することができます。

バイデン政権で安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官と前のトランプ政権で安全保障問題を担当したオブライエン前大統領補佐官の新旧の高官2人は、29日、インターネット上のイベントに参加しました。

この中でオブライエン前補佐官は、安全保障上の最大の課題として中国を挙げ「より攻撃的になっている」などと述べ、中国の脅威を強く警告しました。

これに対して、サリバン補佐官は「アメリカが直面する最も重要な課題は国内問題だ」と述べ、国内で死者が43万人を超えた新型コロナウイルスの感染や、感染拡大で大きな打撃を受けている国内経済、それに人種間の格差の問題などをあげて、国内重視の姿勢を強調しました。

一方、中国については「新疆ウイグル自治区や香港をめぐる行動、それに台湾への脅威に対して対価を払わせる用意がある」と述べ、強硬な姿勢で臨む考えを示しました。

さらにサリバン補佐官は、「中国は自分たちのモデルがアメリカのモデルよりも優れていると主張している」と批判し、中国に対抗するためにもアメリカは、民主主義国家の盟主として、まずは国内の民主主義の再生などの課題に全力で取り組む姿勢を示しました。

首都ワシントンで29日行われたデモは、人工妊娠中絶に反対する団体が毎年この時期に行っていて、ことしは新型コロナウイルスの影響で規模が縮小されましたが、全米からおよそ400人が参加しました。

参加者は「生まれなかった命も大切だ」などと書かれた旗やプラカードを掲げ、連邦議会議事堂の周辺を行進しました。

アメリカでは、人工妊娠中絶の是非は、社会を二分する重要な問題で、去年は当時のトランプ大統領が現職の大統領として、初めてこの団体の集会に参加して中絶に批判的な姿勢をアピールしました。

一方、バイデン大統領は前日の28日に、トランプ前政権の措置を撤回し、中絶を支援する団体への援助を可能にするよう大統領権限で命じたばかりで、参加者からは批判が相次ぎました。

デモに参加した男性は、大統領権限で政策を転換したバイデン大統領について「まるで独裁者だ。国民の結束にはつながらない」と話していました。

バイデン大統領が大統領権限を多用し、政策の転換を急いでいることには、アメリカの有力紙からも結束の呼びかけに反するのではないかという指摘も出ていますが、政権は「前政権の有害な措置を覆すためだ」などと反論しています。

#米大統領

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