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先月6日、アメリカの連邦議会にトランプ前大統領の支持者らが乱入した事件を受けて、前大統領は「騒乱をあおった」などとして弾劾訴追され、議会上院で責任を追及する弾劾裁判の審理が今月9日から開かれていました。

弾劾裁判は13日午後、日本時間の14日朝、トランプ前大統領の弁護団や検察官役を務める民主党の下院議員などによる最終弁論をへてすべての審理を終え、陪審員役の上院議員が有罪か無罪かの判断を表明する評決に臨みました。

その結果、100人の議員のうち民主党系の50人と共和党の7人の合わせて57人が有罪と判断しましたが、有罪評決に必要な出席議員の3分の2には達せず、トランプ前大統領に無罪の評決が下されました。

アメリカの大統領として初めて2度弾劾訴追されたトランプ前大統領ですが、1度目に続き無罪評決を受けました。

弾劾裁判は全米にテレビ中継され、民主党側は事件当日の新たな映像を公開するなどして、多くの死傷者を出した乱入事件の責任は、支持者をあおるような言動を繰り返したトランプ前大統領にあると訴えました。

しかし、共和党の議員の多くはすでに退任した前大統領に対する弾劾裁判自体が憲法違反だとして無罪と判断し、共和党内で依然としてトランプ前大統領の影響力が根強いことを裏付ける形となりました。

弾劾裁判での無罪評決を受けてトランプ前大統領は13日声明を出し「弾劾裁判はアメリカ史上最悪の魔女狩りの続きで、これまでどの大統領も経験したことのないものだ。正義と真実のために努力を惜しまなかった弁護団などに感謝したい」と述べました。

そのうえで「アメリカを再び偉大にするための取り組みはまだ始まったばかりだ。数か月以内に私の考えを明らかにし、アメリカの偉大さを実現するためすばらしい旅を続けることを楽しみにしている」と述べ今後も政治活動を続ける考えを示唆しました。

評決で有罪と判断したのは、100人の議員のうち、与党 民主党系の50人に加え、共和党の7人を含む57人にとどまり、有罪評決に必要な出席議員の3分の2には達しませんでした。

議会への乱入事件をめぐっては、世論調査で、共和党の支持者の間でも半数近くがトランプ前大統領に責任があると答えています。

評決について、共和党のマコネル院内総務は「前大統領に責任があるのは疑いようがない」と認める一方で、公職に就いていない人物を弾劾することはできないという憲法解釈を理由に無罪と判断したと強調し、理解を求めました。

弾劾裁判を通じて、共和党内ではトランプ氏の影響力が依然として根強いことが示された一方で、国民に大きな衝撃を与えた乱入事件を踏まえ、トランプ氏との距離のとり方で党として難しい立場に置かれていることが浮き彫りになりました。

評決のあと、民主党ペロシ下院議長は記者会見で「われわれが上院で見たのは、職を失うことを恐れ、ほかに選択肢がない臆病な共和党議員たちの姿だ」と述べて、共和党の支持者の間でトランプ氏の人気が根強い中、多くの共和党議員がみずからの選挙への影響を懸念し、無罪の判断をしたと非難しました。

そのうえで、共和党上院トップのマコネル院内総務が、退任した大統領を弾劾裁判で裁くことはできないと主張したことについて「20日まで弾劾裁判を開けない状況をつくったのはマコネル氏だ」と指摘し、先月13日に議会下院で可決された弾劾訴追決議を、当時、議会上院で多数派だった共和党側が、トランプ氏が退任する先月20日までに受け取らなかったため、現職の大統領の責任を追及することができなかったと、厳しく批判しました。

評決のあと、民主党の上院トップのシューマー院内総務は演説し「トランプ前大統領は暴徒をけしかけ、権力の移行を暴力的に妨げようとした。憲法の定める最も厳しい措置である弾劾に値する典型的な行為だ」と述べて、改めてトランプ氏を批判しました。

さらに「共和党議員のほとんどは無罪と判断し、トランプ氏とともに歴史に名前を刻んだ。事件があった1月6日はアメリカの歴史に『屈辱の日』として残り、トランプ氏を有罪にできなかったことは議会の歴史に『屈辱の投票』として記憶される」と述べ、共和党も批判しました。
そのうえで「トランプ氏は有罪に値し、国民からも有罪だと評価されるだろう。そして再び公職に就こうとしても、国民からはっきり拒絶されるだろう」と述べ、政治活動などを行うべきではないと訴えました。

一方、共和党の上院トップのマコネル院内総務は演説で「トランプ氏の支持者たちが議会に乱入したのは、地球上で最も権力があるトランプ氏が選挙の敗北に腹を立て、大それたうそをついたことが原因だ。トランプ氏の暴動直前の行為は恥ずべき職務怠慢であり、暴動を引き起こしたことに責任があるのは疑いようがない」と述べて、トランプ氏を批判しました。
ただ、マコネル氏は「トランプ氏が大統領在任中であったなら弾劾訴追について慎重に検討していただろう。しかし、トランプ氏は退任していて、憲法上、有罪評決を受けるのに適格ではない。われわれには公職を離れた民間人を有罪と評決する権限はない」と述べ、トランプ氏を弾劾することはできないという立場を強調しました。

弾劾裁判が審理開始からわずか5日で評決に至った背景には、早期の幕引きを図りたいという、民主、共和両党の思惑が一致したことがあげられます。

弾劾裁判でトランプ氏が有罪になるには共和党側から少なくとも17人の造反が必要で、当初から可能性は高くはなかったものの、民主党連邦議会への乱入という事件の重大性から、トランプ氏の責任を追及する声が党内で高まったことを受けて、弾劾訴追に踏み切りました。

しかし審理が長引けば、バイデン政権が優先課題としている新型コロナウイルスの経済対策の法案や人事をめぐる審議に遅れが出ることを懸念する声も出ていました。

一方、共和党は、多くの国民が非難していた議会への乱入事件について、弾劾裁判でトランプ氏を擁護しているとみられ続けることはよい影響にはつながらず、審理を早期に終えたい意向があったとみられます。

弾劾裁判の最終日となった13日も、検察官役を務める民主党の議員が証人からの聞き取りを行うべきだと主張して、審理が一時中断しましたが、与野党双方から審議を早期に終わらせるべきだという声が相次ぎ、証人への聞き取りは実現せず、その日のうちに評決が出されました。

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