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ミャンマーに駐在する中国の陳海大使は、現地メディアのインタビューに応じ、16日、その内容を大使館のホームページで発表しました。

この中で陳大使は、中国はアウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる政党、NLD=国民民主連盟と軍の双方とも友好な関係にあるとしたうえで、「中国は今のような状況を見たくはなかった」と述べ、双方が対話を通して適切に問題に対処するよう呼びかけました。

また、陳大使は、国連の安全保障理事会アウン・サン・スー・チー氏の即時解放を求める報道機関向けの声明を発表したことについて「中国を含む国際社会の共通の立場だ」と述べ、中国としてもスー・チー氏の解放を求める姿勢を示しました。

また、ヤンゴンにある中国大使館の前に市民が集まり、クーデターを起こした軍に対して圧力を強めるよう求めていることについては「人々の訴えは理解できる」とする一方「我々はそれぞれの当事者に自制を求める」として、軍によるクーデターを明確に批判することは避けています。

中国としては中立な姿勢だとアピールすることで、軍との関係を強めるのではないかという国際社会の懸念を払拭したいねらいもあるものとみられます。

アメリカのバイデン政権は先週、クーデターを主導した軍のトップを含む幹部ら10人と、軍と関係が深い3つの企業に対する制裁を発表しました。

軍に抗議するミャンマーの市民の間では国際社会からの圧力を求める声も出ていて、最大都市ヤンゴンに住む女性は「今回の経済制裁汚職にまみれた裕福な軍幹部を苦しめることが目的だと思う」と話しています。

今回のアメリカの制裁はミャンマーの市民生活への影響を抑えるため、軍と関係が深い企業のうち、一部に対象を限った形です。

しかし、バイデン政権は軍の対応しだいでは、追加の制裁も辞さない構えで、クーデターをきっかけに不透明感が増し、投資の冷え込みが指摘されているミャンマー経済にとって、さらなる懸念材料となっています。

一方で制裁の強化は軍によるクーデターを明確に批判しない中国にミャンマーが接近するきっかけにもなりかねず、政治・経済の両面で国際社会は難しい対応を迫られています。

軍事政権が長く続いたミャンマーでは、軍と関係がある企業が現地の経済活動にいまも影響力を持つとされています。

こうした企業の状況については、国連人権理事会の調査団がミャンマーの少数派、イスラム教徒のロヒンギャの人たちに対する迫害問題に関連して調査し、おととし報告書を公表しました。

この中では、今回クーデターを実行した軍のミン・アウン・フライン司令官など軍の幹部が支配する企業としてミャンマー・エコノミック・ホールディングスミャンマー・エコノミック・コーポレーション」の大手複合企業2社を挙げています。

そのうえで、この2社の傘下に100社以上の企業があるとしたうえでそうした企業の収益が軍の活動の資金源にもなっていると指摘しています。

事業の内容は不動産業やホテルなどのサービス業、金融業や物流業、さらには特産の宝石業など幅広い業種におよび、軍と関係がある企業が現地の経済活動に強い影響力を持っていることがうかがえます。

このうち「ミャンマー・エコノミック・ホールディングス」とビールの合弁事業を行っていた日本の「キリンホールディングス」は、軍のクーデターを受けて、提携を解消する方針を明らかにしていて、現地でのビジネスの大幅な見直しを迫られています。

ほかにも韓国の鉄鋼大手やベトナムの通信大手などが提携関係にあるとされ、人権団体も軍と関係がある企業の収益が軍に流れ込んでいるとして、批判を強めています。

今回のアメリカの制裁では、この大手複合企業2社は直接、制裁の対象にはならず、ルビーやひすいを取り扱う3つの企業が対象になりました。

ただ、バイデン政権はミャンマー軍の対応しだいでは、追加の制裁も辞さない構えで、今後、制裁の対象となる企業が拡大する可能性もあります。

一方、クーデターへの反発から軍と関係がある企業の商品を買わないよう呼びかける動きも出ていて、ヤンゴンのスーパーではこうした企業が出資するビール会社の商品が撤去されているケースもあるということです。

また、SNS上でも軍と関係があるとされる通信会社やたばこ会社などの企業のリストが投稿され、商品の購入やサービスの利用をやめようという呼びかけが広がっています。

投稿の中にはこうした企業の商品やサービスが軍のミン・アウン・フライン司令官の写真とともに紹介され、「おすすめします」と皮肉のコメントが添えられているものもあります。

ヤンゴンに住む男性は、「軍はこれまで、さまざまなビジネスを行ってきたが、やるべきではなかったと思う。私は、軍幹部に絞ったアメリカの制裁を歓迎している」と話していました。

アメリカの制裁について、上智大学根本敬教授は、「いきなり強い度合いの制裁を科すのではなく、小出しにすることで軍の反応を見ている状態だ。現段階の制裁であれば、国民生活への心配はないが、軍の今後の対応によって第2段、第3段の制裁となればより厳しいものになってくる」と分析しました。

また軍と関係が深い3つの企業が制裁の対象となったことについては、「こうした企業の会計は非常に不明朗で、国家予算で国防費は公開されるが、軍に関連する企業の収益はそれ以外の収入源になっているとみられる。軍が何に使っているかが不透明なので制裁の対象になったと考えられる」と話しました。

そのうえで根本教授は、ミャンマーに進出している企業への影響について、「アメリカの経済制裁が強まっていくと、軍が関係する企業と合弁を組んでいる企業はアメリカ市場に出入りできなくなる可能性も出てくる。すでに進出している企業は、ビジネスの見直しを迫られ、最悪の場合には撤退も考えないといけない。また、今後、進出を考えていた企業にとっても冷や水を浴びせかけられた形になるので、しばらく様子見をするか、諦めてほかの国に投資するという判断を行う可能性が高くなると思う」と指摘しています。

ミャンマーは2011年以降、民主化の進展を追い風に経済成長が続き、日本など海外からの企業の進出も加速してきました。

軍事政権時代に実施されていた欧米諸国からの経済制裁が段階的に解除されたことに加え、金融業の市場開放などの経済改革も進められ、企業の新たな進出先として注目されるようになったのです。

アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD=国民民主連盟の政権も海外からの投資を呼び込む姿勢を強めてきました。

日本もヤンゴン郊外にある「ティラワ経済特区」の開発に官民をあげて協力し、日系企業も含めて110社を超える企業が進出しています。

また、日本はミャンマー初の証券取引所の設立や老朽化した鉄道の補修などのインフラ整備でも支援しています。

日系企業の進出もトヨタ自動車などの製造業はもちろん、銀行や保険などの業種にも広がり、その数は民政移管された直後の2011年度末には50社余りだったのが、今では400社を超えています。

海外からの企業の進出などを背景にミャンマーでは経済成長が続き、IMF国際通貨基金によりますと、GDP国内総生産は、2019年までの数年間、6%前後の伸び率が続いています。

しかし、今回のクーデターをきっかけに欧米各国が経済制裁の強化にかじを切れば、海外からの投資が冷え込み、成長してきた経済が停滞に陥るおそれもあります。

軍のクーデターによって拘束されたスー・チー氏をめぐっては、無線機を違法に輸入したなどとして訴追されたことが16日明らかになり、拘束は長期化する見通しです。

これを受けて、スー・チー氏の解放などを求めるデモはミャンマー全土で拡大し、ヤンゴンの複数の幹線道路では、デモ隊が乗用車などを停車させ占拠しました。

さらに、デモ隊は車で通勤する政府機関や政府系銀行の職員に対し、軍の指示に従わずストライキに参加するよう呼びかけていました。

デモに参加したタクシー運転手の男性は「デモに参加すれば生活費を稼ぐこともできないが、軍事独裁にできるかぎりの抗議をする」と話していました。

一方、ミャンマーの人権状況を調査している国連のアンドリュー特別報告者は、16日、声明を発表し「ヤンゴンに向けて、地方から兵士が移動しているという情報がある。こうした移動は過去、大規模な殺害や拘束などの前触れだった」と指摘しました。

そのうえで「これまで以上の暴力が起きるおそれがある」として、懸念を示しました。

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