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イランのザリーフ外相は23日、制裁の解除に応じないアメリカへの対抗措置として、IAEAによる抜き打ち査察などを認める「追加議定書」の履行を停止したと発表しました。

今回の措置により、イランの核開発の現状把握が困難になることが懸念されています。

イラン政府は、今後3か月以内に制裁が解除されなければ、核関連施設で記録された監視カメラの映像データをIAEAに提供しないまま消去するなどとしていて、アメリカに早期の制裁解除を迫っています。

また、最高指導者ハメネイ師は22日「ウラン濃縮度は今後20%にとどまらない。必要に応じて60%に高めることさえ可能だ」と述べ、濃縮活動の強化を示唆しました。

バイデン政権はイランとの協議に前向きな姿勢を示しつつも、イランに対し強硬な措置を撤回し核合意を順守するよう求めています。

アメリカとイランの双方が、相手側が先に行動すべきだと主張する状態が続いていて、今後3か月以内に歩み寄りがみられるのかは不透明です。

イラン政府がIAEA国際原子力機関による抜き打ち査察などの受け入れを停止したと発表したことについて、アメリ国務省のプライス報道官は23日の記者会見で「イランは明らかに間違った方向に進んでいる」と述べ、懸念を示しました。

そしてイランに対し、IAEAによる査察の受け入れを求めたうえで、今後の対応についてIAEA側と協議する考えを示しました。

その一方で、プライス報道官は「イランが核合意を完全に順守すればアメリカも同じことをする準備はできている」と述べ、バイデン政権として核合意への復帰を目指す姿勢を改めて示すとともに、合意をめぐりイラン側との協議に応じる用意があるとのアメリカの方針に変わりはないと強調しました。

イランとの核合意に参加するフランスとイギリス、ドイツの3か国の外相は23日、イラン政府がIAEAによる抜き打ち査察などの受け入れを停止したことについて「極めて遺憾だ」とする声明を発表しました。

この中で3か国は「イランの決定はIAEAによる核関連施設や情報へのアクセスを著しく阻害し、国連の安全保障理事会の決議に基づくIAEAの活動を制約するものだ」と指摘したうえで「透明性を失わせるすべての措置を取りやめ、IAEAに対して全面的に協力するよう促す」としています。

「核の番人」として知られるIAEA国際原子力機関は、原子力核兵器開発など軍事転用されることを防ぐため、核関連施設に対する「保障措置」として、査察活動を行ってきました。

NPT=核拡散防止条約に加盟するイランは、IAEAとの間でこうした査察を行う協定を結んでいますが、これに加えて2015年に妥結した核合意に基づき「追加議定書」が暫定的に適用されています。

これに基づきIAEAはイランで未申告の核施設に対する抜き打ち査察や査察の対象を大幅に広げ、核物質を伴わない核関連施設にも査察が行えるなど権限が強化され、イランの核開発を監視する重要な柱となっていました。

イランが「追加議定書」の適用を停止した場合について、20年以上にわたり世界各地の査察任務に携わったIAEAのパンテリス・イコノモウ元査察官は、NHKのインタビューに対し「IAEAの役割の範囲が劇的に制限され、完全な査察ができなくなる。査察官はイランが申告していない核開発の活動や核物質を見つける権限を持てず、結論が導けなくなる」と述べ、IAEAの活動が制限され検証が不完全なものになると懸念を示しました。

また、イランの核開発の意図はわからないとしたうえで「平和目的のウラン濃縮活動であっても、理論的には軍事利用される可能性を含んでいる。このため核開発は平和目的だとIAEAが立証できなくなれば、対立する国々は安心できなくなる。『追加議定書』の停止は危険で危機的なものであり、世界の安全が損なわれることになる」と述べ、軍事的な緊張を招きかねないと警告しています。

IAEAのトップ、グロッシ事務局長は21日、イラン原子力庁との間で最大3か月間は一定の監視や検証活動を行う暫定的な対応をとることで合意していて、イランの核開発に対する査察がどこまで維持できるかが注視されています。

核合意はイランが核開発を制限する見返りに国際社会が制裁を解除するもので、2015年にイランと欧米、中国、ロシアとの間で結ばれました。

イランに核兵器を持たせないことを目的とした合意で、当時、国際社会からも歓迎する声があがりました。

その後、トランプ政権が発足すると、内容が不十分だとして2018年、アメリカが合意から離脱し、イランに対する制裁を再開させ、イラン産原油を禁輸したり、イランとの金融取り引きを禁止したりしました。

ヨーロッパ含め各国が、アメリカの制裁対象になることを恐れて、イランとのビジネスを控えたため、イラン経済は現地通貨の価値がこの4年で6分の1に暴落するなど深刻な影響を受けています。

この制裁への対抗措置として、イランは核合意の制限を逸脱するウランの濃縮活動の強化などに乗り出しました。

イランが貯蔵する低濃縮ウランの量は合意の上限の12倍以上に達しているほか、ウラン濃縮度も上限の3.67%を超えて、先月には20%のウランの製造を開始しました。

また、核兵器の材料に使われるおそれがある「金属ウラン」の製造を開始したほか、今回、IAEAによる抜き打ち査察などの受け入れ停止も表明しました。

イランはアメリカが制裁を解除し、各国がイランとの経済関係を正常化すればこうした措置を撤回すると主張しています。

先月発足したバイデン政権はトランプ前政権によるこれまでの強硬な対イラン政策を見直し、イランが完全に合意を順守すれば核合意に復帰する意向を示しています。

両国が互いに、相手側が先に行動すべきだと主張する状態が続いています。

さらにアメリカは核合意を修正してイランの弾道ミサイルの開発制限なども目指す考えを示していて、合意内容を変更しない立場を示すイラン側との意見の隔たりが大きく、歩み寄りは容易ではない状況です。

IAEAは23日、イランの核開発に関する最新の報告書をまとめ、理事会のメンバーに通告しました。

この中で、イランが国内の核施設で今月16日の時点で濃縮度を20%まで高めたウランを17.6キロ、製造していると指摘しています。

イラン政府は、先月、核合意の上限の3.67%を大幅に逸脱する濃縮度20%のウランの製造を始めたと明らかにしていて、今回の報告書で、それが裏付けられた形です。

また、報告書では、IAEAが去年、核物質が保管されている疑いが持たれているイラン国内の2か所の施設を査察し、採取したサンプルの分析を行った結果、ウランの痕跡が見つかったと明らかにしています。

これについて、イラン側からIAEAに説明はないということで、申告されていない核物質が見つかった疑いについてIAEAは「深い懸念」を示しています。

イラン情勢をめぐって、アメリカのバイデン政権は、イランとの協議に前向きな姿勢を示していますが、イランが核開発を加速する動きが鮮明となっています。

イスラエルでは、去年12月中旬から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、これまでに人口の4割を超える437万人が1回目の接種を受け、このうちおよそ7割にあたる299万人が2回目の接種を終え、世界でも速いペースで接種が進んでいます。

1日の新規感染者数も先月中旬以降、減少傾向にあることから、今月21日から外出制限が一部緩和され、ショッピングモールなどが再開しました。

さらにイスラエルは、接種を2回受けてから1週間以上経過したことを示す証明書「グリーン・パスポート」を発行し、スポーツジムやイベント会場などでの提示を義務づけました。

ジムを訪れた女性は「戻ることができてうれしい。ワクチンを接種しても、感染する可能性もあるし、誰かに感染させてしまうかもしれないので、これまでと同じように対策をとりたいです」と話していました。

また、ジムを経営するリア・エルバスフィンケルバーグさんは「5か月にわたって、ジムを開くことができませんでした。感染のリスクがないわけではないので、マスク着用や利用者どうしの距離に気をつけながら、運営します」と話しています。

イスラエルは来月末までに16歳以上のすべての国民にワクチンを接種することを目標に、今後グリーン・パスポートを普及させて、接種率のさらなる向上を目指しています。

「グリーン・パスポート」は、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを示すイスラエルが発行する証明書で、今月21日からワクチン接種を2回受けた人なら誰でも証明書を受け取ることができます。

イスラエルでは、政府の公式ウェブサイトで自身のIDカードの番号や電話番号を入力することで発行されるほか、政府が開発したスマートフォンの専用アプリでも表示できるようになる予定です。

また、インターネットを使わないユダヤ教の教えを厳格に守る「超正統派」と呼ばれる人たちや高齢者は、公的な保険機関の窓口などで受け取ることができます。

グリーン・パスポートはスポーツジムやプール、それにイベント会場などで提示が義務づけられていて、利用にあたっては施設側が専用のアプリで利用者のグリーン・パスポートに掲載されているQRコードを読み込むと、ワクチンの接種時期などについて確認できるようになっています。

イスラエルでは医療サービスのデジタル化やデータベース化が進んでいて、政府と公的な保険機関の間でワクチン接種などの医療情報が共有されていることから、簡単な手続きでグリーン・パスポートを発行することができます。

さらに、新型コロナウイルスにすでに感染した人には「回復証明書」が発行され、グリーン・パスポートと同様に提示することで施設などを利用することができるということです。

イスラエルが占領し自国の領土として扱っている東エルサレムユダヤ人入植地では22日、イスラエルの人気歌手のコンサートが行われました。

会場の入り口では係員が入場者にグリーン・パスポートの提示を求め、接種の有無を確認したうえで、体温をはかるなどの感染対策を行っていました。

エルサレム近郊から訪れた男性は「イベントに出かけるのはおよそ1年ぶりで、こうして友人と一緒にコンサートに行けるのをずっと楽しみにしていました。ワクチンを接種して、グリーン・パスポートをもらえば、こうして出かけることが許されるので、理にかなっていると思います」と話していました。

一方、女性の1人は「去年の3月以来、初めてのコンサートで、夢がかなったみたいです。ただ、こんなに大勢の人がいるので、ワクチン接種が証明できても、本当に安全かどうかは分からず、不安は残ります」と話していました。

1970年代の石油危機の際、OPEC石油輸出国機構で主導的な役割を担うなど、長年にわたって世界のエネルギー市場に多大な影響を及ぼしたサウジアラビアのヤマニ元石油鉱物資源相が死去したと、国営テレビが伝えました。

サウジアラビアの国営テレビは、23日、ヤマニ元石油鉱物資源相が死去したと伝えました。

死去した日時や状況など詳細は明らかにしていませんが、複数の欧米メディアは、ヤマニ氏が滞在先のイギリスのロンドンで90歳で死去したと伝えています。

ヤマニ氏は1962年から20年余りにわたってサウジアラビアの石油政策の責任者を務め、当時、欧米の石油メジャーが強い影響力を持っていた石油事業の国営化を進め、産油国の盟主としての基盤をつくりました。

また、産油国でつくるOPEC石油輸出国機構で主導的な役割を果たし、1973年に第4次中東戦争が起きた際にはイスラエルを支持する国々に対抗する形で行われた石油の禁輸措置などが、第1次石油危機として世界経済の大きな混乱を招きました。

一方で、ヤマニ氏は「石器時代が終わったのは石を使い果たしたからではなく、石に代わる新しい技術が生まれたからだ」などと発言したとも伝えられ、石油に依存する産油国の状況に危機感を示していました。

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