郷ひろみが明かす、キャリアの分岐点 「ザ・ベストテン」への出演を固辞、40代半ばで渡米した理由#郷ひろみ #ザベストテン #渡米 #元祖国民的アイドル #デイリー新潮https://t.co/2MLJI5J4DT
— デイリー新潮 (@dailyshincho) 2021年3月13日
「日によって異なりますが、起きるのはだいたい午前6時頃。神棚の白い花器に挿したお榊の茎の部分を丁寧に洗い、『自然回帰水』という水道水を浄化したお水に取り替えます。それを終えたら“二拝二拍手一拝”して、前日の感謝の気持ちを捧げ、今日が良い一日になるようお願いをします。
僕は周囲に誰もいなくても、神様やご先祖様は見ていると思うので、“一人の時こそ自分を律するべき”と考えています。人に見られている時は注意するから簡単なんですよ。自宅でのんびり過ごす時でもパジャマから着替えていますし、ソファに寝そべったまま、テレビを見たり新聞を読んだりということもありません。
誰かに見られている時と、そうでない時とで自分のあり方を変えるのは、何だかウソをついている気分になるからなんです。こういう考えの根底には、幼い頃から僕を厳しく躾けてくれた両親や祖父母の存在が影響していると思います」
「苦しい決断を迫られたのは、超人気歌番組の出演を巡ってのことです。歌は聴く人によって受け止め方や感動の度合いが異なるはず。それを度外視して順位付けをすることに、当時の僕は強い抵抗があったのでしょう。30%近い平均視聴率を誇った、TBS系の『ザ・ベストテン』への出演をお断りしたのです。あの時は本当に悩み抜きました。当時は20代後半で、43枚目のシングル曲『哀愁のカサブランカ』がヒットしたばかり。あの番組に出ないのはTBSへの出演拒否と同じこと。ケンカを売るようなものでした。関係者から『覚悟はできているよね』とも言われましたし、本当に大きな決断でした。
それと2002年、46歳でアメリカに渡る時も大変でした。当時の僕は“自分に欠けている歌の技術を補えない限り将来はない”と確信していたんです。決断したのは76枚目のシングル曲『GOLDFINGER ’99』と出会う1年前。誰にも相談せず、3年後に渡米することを決めました。ところがその後、『GOLDFINGER ’99』が大ヒットしたことから“このまま自分の足りない部分に目をつぶって過ごしていってもいいのでは?”と決心が鈍ったりして。同時に“渡米したら最後、二度と郷ひろみとしては戻って来られないだろう”“居場所がなくなる”といった恐怖も出てきました」
「それでも海を渡ったのは、“このまま何もせずに恵まれた環境に甘えていてはいけない”とか、“あの時、アメリカに行って勉強していたら……と後悔するんじゃないか”という別の恐怖心が頭をもたげてきたからです。最後は“自分が納得できる何かを手に入れられれば郷ひろみに戻れなくても大丈夫。新たな自信を手に入れて、これまでとは違う生き方ができるはずだ”と吹っ切れました」
滞在先に選んだニューヨークには大きな転機が待っていた。セリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンといった歌姫たちがレッスンを受けた、世界的ボーカルトレーナーのドクター・ライリーとの出会いである。
「渡米して3カ月ほどが過ぎたある日、現地の友人から“世界で3本の指に入るボーカルトレーナーを紹介できる”と言われたんです。当初は1回きりとの約束でしたが、50分のレッスンを終えると彼が“次はいつにする?”と聞いてくれたんです。嬉しくてひと月先まで組んでいたスケジュールをすべてキャンセルし、レッスンがないほかの6日は英語学校へ通うことにしました。1日に4~5時間は集中して勉強していましたね」
「肉体は年とともに衰えます。髪は白くなり、背中は曲がり、体が縮む。これは誰も避けられない。でも、知識は衰えず縮小しません。やる気さえあれば、脳は何歳になっても鍛えられます。
脳を効果的に鍛える方法は、やはり読書でしょう。書籍を開いて活字を追い、内容を吸収して脳内で発酵させていく。でも、そうやって蓄積した知識から豊かさを感じられるかどうかは、60代や70代になったからといって分かるものでもありません。だからこそ人間は知識をインプットし続ける必要があると思うんです。
読むのは毎日の就寝前と、飛行機や新幹線での移動の時。周りの席では大抵スタッフたちが鼾(いびき)をかいて寝ているけど、僕は眠らないんです。なので、彼らのカバンや荷物が置き引きに遭ったりしないよう、見張り役を果たしながら本に目を通しています(笑)。
週に1冊のペースで読み終えていて、これまで少なく見積もっても2千冊は読んでいると思います。それでも、読書家と呼ばれる人の足元にも及ばないでしょう。読むのはほとんど小説で、作家で選んだり、知り合いから薦められたり、新聞や雑誌の書評を読んで「面白そうだな」って思ったもの。国内なら三島由紀夫や山崎豊子、宮部みゆき。海外物ではロバート・B・パーカー、ジョン・グリシャム、パトリシア・コーンウェル。ミステリーが好きで、最近はヘニング・マンケルあたりもお気に入りです。
また、時代物からは学ぶ点が多く、40歳の頃に読んだ浅田次郎の『蒼穹の昴』には強い影響を受けました。人間の運命は自力で変えることができるけれど、それには強固な意志と凄まじいまでの努力が必要だということを教えられました」
自身を律するのは「僕が郷ひろみであり続けるために必要だから」。とはいえ、時には自分にご褒美を与えることもある。
「初めての自分へのご褒美は、シャンパンゴールドのフェラーリ375MMという車でした。かつて映画監督のロベルト・ロッセリーニが、妻で女優のイングリッド・バーグマンに贈った特別仕様を復刻した一台です。普段から何も努力していなければ“どうしてご褒美なの?”って自問自答することになりますが、何かひとつでも頑張っていれば“これだけやったんだから”と割り切れます。あのフェラーリは文字通りの一目惚れによる衝動的な買い物でしたが、その後は自分でもうまく気持ちの切り替えができるようになり、目に見えて仕事へのモチベーションもあがりました。
これまでで最高のご褒美は、神奈川県の葉山に買った別荘です。相模湾を一望するテラスからは伊豆半島や大島、富士山を眺めることができる。それは素晴らしい景色です。最近はむやみやたらな買い物はしなくなりました。どうにも物欲がなくなっちゃって……。
もしも自分にご褒美を与えていなかったら、ギャンブルを覚えたり、物欲に任せた買い物中毒になっていたかもしれません。幸いそうはならず、ギャンブルにも一切興味がありません。競馬、競輪、競艇はもとより、ラスベガスに行ってもスロットの機械に触れることさえないんですよ」
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