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ホンダは30日、世界的な生産体制の見直しに伴ってイギリス南部、スウィンドンにある工場での操業を終えました。

最後の日は車や人の出入りは少なく、35年にわたって生産を続けてきた工場は静かに幕を閉じました。

この工場は、年間15万台の自動車が生産できる規模で、閉鎖が決まったあと部品メーカーの撤退が相次ぐなど地域経済には大きな打撃となりました。

日系の物流会社は、現地の拠点の売り上げの4分の3をホンダ関連が占めていて、従業員を2割減らさざるをえない事態に追い込まれましたが、配送時間の正確さや品質管理で高い評価を得てきたことを売り込み、暖房設備などの分野で新たな顧客を得て事業を続けているということです。

シニアマネージャーのナイジェル・マッケンジーさんは「自動車産業からは離れるが、この地域で生き残るために顧客を増やす努力が引き続き必要だ」と話しています。

一方、イギリスではEVの生産拡大に向けて、今月、日産自動車がバッテリー工場を、プジョーシトロエンフィアット・クライスラー経営統合したステランティスがEV専用の工場を、それぞれ設けると発表しました。

新たな動きは自動車産業の転換点になるとも受け止められていて、イギリス自動車工業会のマイク・ホーズ会長は、「ホンダの撤退は大変残念だが、ガソリン車からEVへの移行という産業の変化だと捉えている。引き続き日本メーカーとも協力しながら環境に対応した製品づくりを進めていくことになるだろう」と話しています。

ホンダは30日、イギリスの工場で働いてきた従業員に向けたメッセージを明らかにしました。

この中でホンダは「本日、スウィンドンでの35年間にわたる生産活動を終了しました。工場の撤退を公表してからの2年間は従業員にとって非常につらい時期であったにもかかわらず、献身的に働いてくれたことに感謝します」としています。

また、この工場でこれまで生産した自動車や携わった従業員が車に署名した映像を公開しました。

ホンダの工場の敷地は来年春には大手の開発事業者に引き渡されるということです。

地元企業の中には、ホンダで働いていた人を受け入れ、その技術を成長につなげようとするところもあります。

このうち、プラスチックのリサイクルを行う企業は、ホンダの元社員7人を採用し、リサイクル機器の製造を任せています。

元社員たちは、機械のメンテナンスなどで培ったスキルを生かして研究開発や設計にも携わっているということです。

会社側は「即効性のある利益をもたらしてくれた」と話しています。

エンジニアとしてホンダの工場で15年勤めた47歳の男性は「ロボットや電子機器に関する技術を習得したためほかの業界でも応用が利きました」と話していました。

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