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アフガニスタンでは、アメリカ軍が撤退を進める中、タリバンが今月15日に首都カブールを制圧して政権が崩壊し、再び権力を掌握しました。

カブールでは市場が再開されるなど平静を取り戻しつつありますが、まだ多くの商店は閉まったままで銀行も営業しておらず、市民の多くは外出を控えて、状況を見守っているものとみられます。

一方、国外に逃れようとカブールの国際空港には依然、多くの市民が詰めかけ、混乱が続いていて、現地のアメリカ大使館は、21日、治安上の脅威があるとして現地に残るアメリカ人に対し、新たな指示があるまで空港には近づかないように通達しました。

政権の崩壊から22日で1週間となるなか、タリバンは、南部のカンダハルからカブール入りしたナンバー・ツーのバラダル師が中心となって、新しい政権の樹立に向けた協議を本格化させるものとみられています。

ロイター通信によりますとタリバンは、新政権の枠組みを数週間以内に明らかにするとしていて、かつて人権の侵害などを繰り返したタリバンの統治への市民の不安や警戒感が広がる中、政権の樹立がどのように進むのかが焦点となります。

アメリカ軍はアフガニスタンで暮らすアメリカ人や、通訳などとしてアメリカ軍に協力してきたアフガニスタン人の国外退避を支援しています。

アメリカ国防総省は21日、会見を開き、この1週間に、アメリカ人2500人を含むおよそ1万7000人を、カブールから国外に退避させたことを明らかにしました。

アメリ国務省によりますと、退避した人々の多くは中東のカタールなどを経由してアメリカに向かうということです。

国防総省のカービー報道官は「われわれはできるだけ早く、安全に、退避を実行し、このミッションを達成することに集中している」と述べました。

アメリカのバイデン政権は、アフガニスタンから、自国民に加え、アメリカ側に協力した通訳や、迫害を受ける恐れがある女性や子どもなどのアフガニスタン人を軍用機などで退避させていて、国防総省によりますと、21日までにおよそ1万7000人が国外に退避しました。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルによりますとこうした人たちはカタールバーレーン、ドイツなどにあるアメリカ軍基地でいったん収容しているものの、収容能力が限界に近づきつつあることから、バイデン政権が、有事の際に民間機を動員できる制度を活用してアメリカ国内への輸送能力を強化することを検討しているということです。

さらに、アメリカ国内での受け入れ先となる基地を増やすとともに、日本や韓国、イタリアなどにあるアメリカ軍基地も一時的な収容先の候補として検討を進めているとしています。

こうした中、バイデン大統領は21日、UAEアラブ首長国連邦やスペインの首脳と電話会談し、アフガニスタン人の受け入れへの協力に感謝の意を示しました。

アフガニスタンでは、アメリカ軍が撤退を進める中、武装勢力タリバンが今月15日に首都カブールを制圧し、政権が崩壊しました。

タリバンは新政権の樹立に向けた協議を断続的に行っていて、21日は、崩壊した政権で和平プロセスを主導してきた国家和解高等評議会のアブドラ議長が自身のツイッターで、タリバン側と包括的な政治解決に向けて話し合ったことを明らかにしました。

タリバンは今後、ナンバー・ツーのバラダル師を中心に、さらに協議を本格化させるものとみられます。

一方、複数の地元メディアは、北部バグラン州で21日、タリバンが制圧していた地区を地元の勢力が攻撃し、奪還したと伝えました。

こうした組織的な抵抗も伝えられる中、アフガニスタンでは、新政権の樹立に向けて、先行きが不透明な状況が続いています。

アメリカ軍は、ドイツのアメリカ軍基地に到着した軍用機の機内で、アフガニスタン人の妊婦が無事、赤ちゃんを出産したとツイッターに投稿しました。

アメリカ空軍でアフガニスタンからの退避を担当する部隊によりますと、21日、中東の経由地からドイツにあるアメリカ軍基地に向けて飛行していた機内で、乗っていたアフガニスタン人の妊婦が産気づきました。

ドイツの基地に着陸後、医療チームが乗り込んで対応にあたった結果、機内の貨物室で無事、女の子が生まれたということです。

女の子と母親は近くの医療機関に搬送され、いずれも健康状態は良好だということです。

アフガニスタン中央銀行のアフマディ総裁代行は、今月18日、ツイッターへの投稿で、中央銀行保有する資産について、前の週の時点でおよそ90億ドル、日本円でおよそ9880億円に上っていたことを明らかにしました。

ただ、アメリカのメディアは、アメリカ政府がこうした資産を凍結したと伝えていて、アフマディ氏は、タリバンが政権を樹立したとしても、利用できる金額は「全体の0.1%から0.2%程度だ」という見通しを示しています。

アフマディ氏によりますと、およそ90億ドルのうち、70億ドルが現金や国債などの形でアメリカの連邦準備銀行に、残りが外国口座などに預けられているということです。

また、タリバン側が中央銀行の職員に保有資産のありかについて問い合わせていることを明らかにし、タリバンが高い関心を寄せていることをうかがわせています。

一方、アメリカのワシントンに本部があるIMF国際通貨基金は、アフガニスタンに対して、外貨不足などの緊急時に活用できる資金支援を停止したことを明らかにしました。

理由について、IMFは「政権が承認されるかどうかについて明確さが欠けている」と説明しています。

アフガニスタンは、アヘンやヘロインの原料となるケシの世界有数の生産国です。

UNODC=国連薬物犯罪事務所によりますと、去年の時点で、国内34州のうちケシを栽培しているのは、22の州にのぼり栽培面積は、22万4000ヘクタールとなっています。

タリバンはこうしたケシの生産やケシ農家からの税金名目のみかじめ料、それに薬物の取り引きなどで得た収入を活動の資金源の1つにしていて、国連の監視チームは、去年、4億6000万ドル、日本円で500億円あまりの収入を得たという推計を報告しています。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは、こうしたタリバンの資金源について、「損失を部分的に相殺するのに十分な大きさだ」として、中央銀行保有する資産がアメリカ政府によって凍結されたとしても、活動を維持できるのではないかという懸念を伝えています。

アメリカの金融制裁に詳しい早稲田大学の久保田隆教授は、アフガニスタン中央銀行保有する資産が凍結されたと報じられたことについて、「タリバンの手元に残っているお金はわずかしかなく、かつかつの状態だと思う。このまま凍結が続くと経済がガタガタになってしまう」と述べ、極めて厳しい財政状況が予想されるとしています。

そして、タリバンが記者会見などで、女性の権利などを尊重する姿勢をアピールしている背景について、「アメリカなど国際社会が求める条件を飲まなければ、資金を引き出せないと考えている」と述べ、タリバンとして事態の打開を図りたい思惑があると指摘しています。

そのうえで、「国際社会からの資金が閉ざされれば、裏の部分で、麻薬などのビジネスに深入りせざるをえない」と述べ、タリバンが資金源とされてきたアヘンなどの薬物の取り引きにこれまで以上に力を入れるおそれがあると指摘しました。

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