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アフガニスタンでは20年ぶりに復権したタリバンが暫定政権を発足させていますが、アメリカなどが国家として承認せず海外資産を凍結しているため、経済が悪化して食料不足などの人道危機が深刻化しています。

本格的な冬の到来を前にUNHCR=国連難民高等弁務官事務所は、支援物資の空輸を急ピッチで進めています。

首都カブールにある空港には、7日までに避難民用のテントの断熱効果を高める資材およそ100トンがチャーター便で到着しました。

UNHCRによりますと、タリバンの攻勢などでことしだけで70万人が家を追われて国内避難民となり、テント暮らしを余儀なくされている家族も少なくないということです。

UNHCRカブール事務所の森山毅さんは「多くの人々が困窮し、なかには子どもを売る家族もいます。冬の厳しい寒さでこれまでにない最悪の人道危機になりかねません」と話しています。

ポリオは、幼い子どもが感染しやすく、手足がまひするなどの後遺症が残る病気で、世界ではアフガニスタンパキスタンの2か国だけ根絶できていません。

このうちアフガニスタンでのポリオの根絶を目指し、WHO=世界保健機関UNICEF=国連児童基金は8日から4日間、大規模なワクチンの予防接種を全土で始めました。

首都カブールでは、朝から接種にあたるスタッフが市民の住宅を訪問し、子どもにワクチンを接種して回りました。

タリバンは旧政権時代からワクチン接種は「西側の陰謀だ」などとして、攻撃の対象としてきましたが、今回は一転して支援を表明し、地域によっては安全確保のため戦闘員が同行するということです。

女性のスタッフは「タリバンからも支援を得られているので、期間内に接種を終わらせたい」と話していました。

タリバン傘下の保健省によりますと、アフガニスタン全土で6万8000人のスタッフが戸別訪問を行い、これまで接種できていない330万人の子どもへの接種を目指すということです。

アフガニスタンイスラム主義勢力タリバン傘下の保健省はポリオの大規模な予防接種が始まるのを前に、7日、首都カブールで式典を開きました。

この中で暫定政権の保健相は「ポリオを予防し、根絶するにはワクチン接種が唯一の選択肢だ。子どもたちの健康を守るため最前線の現場で努力している、すべてのスタッフに感謝したい」と述べました。

そして、保健相みずから会場を訪れた子どもたちにポリオワクチンを接種するパフォーマンスを披露しました。

タリバンは旧政権時代からポリオワクチンの接種は「西側の陰謀だ」などとして攻撃の対象としてきましたが、今回は方針を転換し、国際機関による接種を全面的に支援しています。

自宅で子どもに接種を受けさせた男性は「子どもたちがこの先、ポリオの後遺症に悩まされないよう、大人は子どもたちにワクチンを受けさせるべきだ」と話していました。

また別の男性は「子どもにワクチンを接種させることができてよかった。アフガニスタンにとっても実りあるものだ。どんなことがあっても、タリバンはポリオの根絶に向けた活動に取り組んでほしい」と話していました。

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