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新たに就任した林外務大臣は記者会見で、日米同盟を基軸に、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みを推進するとともに、気候変動や新型コロナ対策など地球規模の課題で指導力を発揮し国際社会での日本の存在感を高めたいという考えを示しました。

この中で、林外務大臣は「普遍的な価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安定を守り抜く覚悟、人類に貢献し国際社会を主導する覚悟を持って外交を展開したい」と述べました。

そのうえで「基軸である日米同盟をさらに深化させ、抑止力などを強化することが重要だ。そして自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みを力強く進めていきたい」と述べました。

そして「気候変動やコロナ、それに軍縮不拡散といった地球規模課題への対応で指導力を発揮し、国際社会での日本の存在感を高めていきたい」と述べました。

また、中国や韓国を含めた近隣諸国などとの関係について「難しい問題には正面からきぜんと対応しつつ、安定的な関係を築くべく取り組んでいく。北朝鮮の拉致・核・ミサイルといった諸懸案にも、しっかり対応していきたい」と述べました。

一方、林大臣は、これまで務めてきた超党派日中友好議員連盟の会長職について、外務大臣の職務を遂行するにあたって、無用の誤解を避けたいとして、辞職することを明らかにしました。

岸田総理大臣は10日、衆参両院の本会議で第101代の総理大臣に選出されたことを受けて、林芳正文部科学大臣外務大臣にあて、ほかの閣僚を再任する組閣人事を行い、第2次岸田内閣を発足させました。

そして、10日夜の記者会見で「国民の信頼と共感を得ながら、丁寧で寛容な政治を進めていく」と述べ、スピード感をもって政策を実行に移す考えを強調しました。

岸田総理大臣は12日、病床の確保や3回目のワクチン接種に向けた具体策を盛り込んだ新型コロナウイルス対策の全体像を明らかにするとともに、来週19日には、18歳以下を対象とする10万円相当の給付などを含む経済対策を決定し、来月にも召集する臨時国会で今年度の補正予算案を成立させる方針です。

そして、科学技術立国やデジタルを活用した地方活性化、経済安全保障を柱とする成長戦略と、民間の給与引き上げ促進や看護や介護の現場で働く人の処遇改善、勤労者皆保険の実現を柱とする分配戦略の具体化を図り、経済の再生と所得の向上を実現したい考えです。

10日夜には第2次岸田内閣の発足後初めての閣議が開かれ、基本方針を決定しました。
第2次岸田内閣の基本方針では「一人一人の国民の声に寄り添い、多様な声を真摯(しんし)に受け止め、信頼と共感を得られる政治を実現する」としています。

そのうえで、先の衆議院選挙で国民から得た信任のもと、スピード感をもって政策に取り組むとして、新型コロナウイルス対策について最悪の事態を想定して医療提供体制を確保するほか、これまでの対応を徹底的に分析し感染症への危機管理を抜本的に強化するとしています。

また、成長のための投資と改革に大胆に取り組み、分配のための新たな仕組みをつくって「新しい資本主義」を実現するほか「こども庁」の創設など少子高齢化対策に取り組むとしています。

さらに、日米同盟を基軸にきぜんとした外交・安全保障を展開し、一層厳しさを増す安全保障環境に対応するため国家安全保障戦略や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の改定を行うとしています。

そして、大規模な自然災害やテロなどへの危機管理を徹底し、東日本大震災からの復興に全力を尽くすとしています。

また閣議では、総理大臣談話を決定しました。
総理大臣談話では「自民党公明党の連立内閣のもと、国民の負託に応えるべく全身全霊をささげる」としています。

そのうえで「組閣から解散・総選挙まで、スピード感をもって進んできた。国民の皆さんの信任をいただいた、いま、このスピード感を政策実行の面で発揮していきたい」としています。

そして、直ちに取り組む政策として、新型コロナウイルスへの対応や経済対策、「新しい資本主義」の実現を挙げ
▽みずから現場に足を運んで国民の声を政策に反映させること
▽個性と多様性を尊重する社会を目指すこと
▽みんなで助け合う社会を目指すこと
の3つを国民に約束するとしています。

総理大臣官邸で開かれた「デジタル田園都市国家構想実現会議」の初会合には、岸田総理大臣や地方活性化を担う若宮万博担当大臣、それに慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵有識者が出席しました。

この中で、岸田総理大臣は「デジタル田園都市国家構想は『新しい資本主義』の実現に向けた成長戦略の最も重要な柱だ。デジタル技術の活用により、地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現していく」と述べました。

そのうえで、政策を総動員して地方のデジタル化を支援するとしてデジタル庁の主導で、高速・大容量の通信規格「5G」など自治体のデジタル基盤の整備を進めるほか、遠隔での医療や教育、防災などの取り組みを支援し、新たな経済対策で、構想を推進するための交付金を設けると説明しました。

そして「当面の具体的施策と中長期的に取り組んでいくべき施策の全体像について、年内をめどに取りまとめを行う。速やかに実行に移していくことで、早期に、地方の方々が実感できる成果を挙げていく」と述べました。

岸田総理大臣は11日午前、総理大臣官邸で菅前総理大臣とおよそ20分間、会談しました。

この中で岸田総理大臣は、菅政権が進めてきたワクチン接種の促進をはじめとする新型コロナ対策について「菅氏がワクチンを広げていただいたおかげで、今のような感染状況になっている。今後も気付いた点があればご指導いただきたい」と述べ、これまでの取り組みに謝意を伝え、政府の対応に協力を求めました。

これに対し菅氏は「もちろん協力したい」と応じたうえで「ワクチンは各省庁にまたがる案件なので、総理大臣みずからが全体を見て、目配りした方がいい」とアドバイスし、両氏は今後も連携していくことを確認しました。

菅氏によりますと会談は当初、岸田総理大臣が菅氏の議員会館の事務所を訪ねたいと持ちかけたものの、調整の結果、菅氏が官邸を訪れる形になったということで、岸田総理大臣は玄関ホールで菅氏を出迎え、会談後もみずからが見送りました。

会談のあと菅氏は記者団に対し「新型コロナの感染状況がよくなってきたことへのお礼と今後も協力してもらいたいということだった」と述べました。

自民党細田派は、これまで会長を務めてきた細田博之 元幹事長が衆議院議長に就任したのに伴って派閥会長を退くことになり、10日、派閥幹部が安倍元総理大臣に派閥への復帰と会長就任を要請し安倍氏は受け入れました。

11日党本部で開かれた派閥の総会では、安倍氏の復帰と会長就任が全会一致で了承され、細田派は「安倍派」となりました。

安倍氏は、平成24年に2回目の自民党総裁に就任したのに伴って、当時の町村派を離脱していて、復帰はおよそ9年ぶりです。

安倍氏は「常に互いが協力し、助け合って自民党を支えてきた。時には激しい議論も交わしてきたが、日本のために働く使命感が貫かれていた。すばらしい伝統をこれからも守り続けていきたい」と述べました。

また憲法改正について「日本維新の会も国民民主党憲法改正の議論については前向きになった。憲法改正は立党以来の党是でもあり、議論の先頭に立とう」と呼びかけました。

会合のあと安倍氏は、記者団に対し「党内最大の政策グループなので、岸田政権をしっかり支えていく背骨でありたい」と述べました。

安倍派の正式名称は清和政策研究会で、昭和54年に福田赳夫 元総理大臣が立ち上げました。

池田勇人元総理大臣が打ち出した「所得倍増計画」に福田氏が異義を唱えたことが起源となっています。

「清和」は、中国の歴史書にある「政清人和」をもとに清廉な政治は人の心を穏やかにするという意味が込められているということで、党内でも保守的な政策グループとして知られています。

昭和61年には2代目の会長に、安倍元総理大臣の父親の安倍晋太郎外務大臣が就任しその後、三塚博 元大蔵大臣、森喜朗 元総理大臣、小泉純一郎 元総理大臣、町村信孝衆議院議長らが会長を務めました。

これまでに、森氏、小泉氏、安倍氏、そして福田康夫氏の4人の総理大臣を輩出しています。

自民党内の7つの派閥は、先の衆議院選挙に伴って、所属議員が引退したり、落選したりしたため、選挙直後はいずれも人数が減りましたが、それぞれ初当選の議員を取り込むなどしてメンバーが新しくなりました。

各派閥の勢力は、11日の時点で、
▽安倍派が選挙前から2人減って93人。引き続き、党内最大派閥となります。

次いで、
麻生派が1人増えて53人、
竹下派が2人減って51人、
二階派が3人減って44人、
▽岸田派が4人減って42人、
▽石破派が3人減って12人、
▽石原派が3人減って7人となっています。

また、
谷垣グループはほかの派閥に所属していないメンバーが19人となっています。

各派とも、さらなる勢力の拡大に向けて、無派閥の議員らに入会を働きかけることにしています。

自民党竹下派では、会長を務めていた竹下元総務会長がことし9月に亡くなり、会長ポストが空席のままになっています。

こうした中、11日に開かれた会合で、出席した議員から、会長が不在の状態が続くのは望ましくないとして、会長代行を務める茂木幹事長を次の会長に推す声が相次いで出されました。

一方で「派閥の役員も含め、丁寧に決めるべきだ」という声も出されたことから、会合では、茂木氏を次の会長の「予定者」とし、茂木氏を中心に役員の人選などを進めていくことを確認しました。

会合のあと茂木氏は、記者団に対し「皆さんから『会長になってほしい』という意見をいただき『予定者』となった。私のもとで役員人事を固めて、近々、正式に新体制を発足させたい」と述べました。

自民党石原派は、先の衆議院選挙で、会長の石原元幹事長が議席を確保できず、所属議員も、選挙前の10人から7人に減りました。

11日開かれた派閥の会合で石原氏は「バッジをなくしたので、石原派はきょうをもって幕を下ろさせていただきたい」と述べ、会長を退く意向を正式に表明しました。

また、自身の今後の活動については「後援会としっかり相談して進路を決めたい。できるなら、けん土重来を期して頑張りたいが、まずはおわびをする」と述べました。

これを受けて会合では、派閥を維持していくことを確認したうえで、後任の会長については、事務総長を務める森山・前国会対策委員長を中心に協議していくことになりました。

岸田総理大臣は、アキリーノ司令官と総理大臣官邸でおよそ20分間、会談しました。

この中で岸田総理大臣は「日米の協力を一層進めることにより『自由で開かれたインド太平洋』を実現し、地域や国際社会の安定のため、しっかりと協力していきたい」と述べました。

これに対し、アキリーノ司令官は「われわれは地域の平和と安定、繁栄のため『自由で開かれたインド太平洋』の実現に関与している」と述べました。

そして両氏は、中国による一方的な現状変更の試みに対する深刻な懸念を共有したほか、北朝鮮の核・ミサイル活動を含めた最新情勢をめぐっても意見を交わし、日米同盟の抑止力や対処力の一層の強化に向けて、両国で緊密に連携していくことを確認しました。

また両氏は、日米同盟の抑止力を維持しつつ沖縄などの負担軽減を図る観点から、在日アメリカ軍の再編を着実に進めることが重要だという認識で一致し、岸田総理大臣は、地元への影響に配慮した基地の安全な運用などを求めました。

一方、就任したばかりの林外務大臣も、アキリーノ司令官と会談しました。

この中で、林大臣は「日米同盟による抑止力のさらなる強化などに向けて一緒に働いていきたい」と述べたのに対し、アキリーノ司令官は「自衛隊とさまざまなことで一緒に取り組んでいるが、それはこの地域の平和と安全、安定と繁栄のためだ」などと応じ、日米同盟のさらなる深化に向け、連携していくことを確認しました。

#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

自民党は10月31日投開票の衆院選で「自民苦戦、単独過半数を巡る攻防」というマスコミの情勢調査に基づく予測を覆し、過半数(233議席)を大幅に上回る261議席を獲得して圧勝した。

自民党に勢いがあったわけではない。むしろ安倍・菅政権がコロナ対策で失態を重ねたことで自民党を積極的に支持するムードは乏しかった。安倍晋三元首相と麻生太郎副総裁の操り人形と揶揄やゆされる岸田文雄首相の存在感は薄く、勝因はひとえに「野党の魅力不足」にあるといっていい。

立憲民主党共産党社民党、れいわ新選組野党共闘は中途半端に終わり、「野党連合政権」の具体像はいっこうに見えず、政権交代の機運はまったく盛り上がらなかった。ふたを開けてみると投票率は戦後3番目に低い55.93%に低迷し、自公与党が組織票を固めて僅差で逃げ切る選挙区が続出。予測を大幅に上回る議席自民党に転がり込んだのである。

唯一の誤算は、岸田首相が政権の要として起用した甘利明幹事長が神奈川13区で敗れたことだった(比例で復活当選)。甘利氏は都市再生機構(UR)をめぐる口利き疑惑が尾を引く中、安倍氏と麻生氏の双方と親しいという一点で起用されていた。甘利氏こそ、安倍氏と麻生氏というふたりのキングメーカーが牛耳る岸田政権を象徴する存在だったのである

甘利氏が失脚すると安倍氏と麻生氏を橋渡しする調整役が不在となり、政権内部のバランスが崩れる恐れがある。安倍氏と麻生氏の双方を満足させる後任幹事長として選ばれたのは、旧竹下派会長代行の茂木敏充氏だった。岸田氏より「ずる賢い」面はあるものの、安倍氏と麻生氏への従順さでは岸田氏に勝るとも劣らぬ政治家だ。

安倍氏と麻生氏は麻生派重鎮の甘利氏から旧竹下派幹部の茂木氏に幹事長職を明け渡すことに若干の抵抗はあっただろうが、双方が納得する人材は他に見当たらなかった。茂木氏の幹事長起用で安倍氏と麻生氏の二大キングメーカーが君臨する政権構造は維持されたといえる。

しかし茂木氏の後任の外相に宏池会(岸田派)ナンバー2の林芳正氏を起用した人事は波紋を呼んでいる。林氏は安倍氏山口県政界を二分する「政敵」として知られているからだ。岸田氏は林氏の外相起用を安倍氏と麻生氏に事前に伝え、理解を求めた。マスコミ各社の報道によると、安倍・麻生両氏は林氏が親中派であることなどを理由に反発したが、岸田氏が押し切ったという。

私の見解はやや異なる。安倍氏が林氏の外相起用に強く反発したのは事実であろうが、麻生氏まで強く反発したら、はたして岸田氏は押し切れたであろうか。麻生氏は安倍氏の手前、反対するそぶりをみせつつ、実のところは林氏の外相起用を容認あるいは歓迎したのではないかと私はみている。

岸田政権発足以降、安倍氏と麻生氏の盟友関係はすこしずつ軋み始め、衆院選自民党が勝ち過ぎて、二階俊博氏や菅義偉氏ら「共通の敵」がますます埋没した結果、安倍氏と麻生氏の間の「軋み」は「亀裂」へ広がりつつある。麻生氏が安倍氏の反発を承知のうえで林氏の外相起用にゴーサインを出したとしたら、ふたりのキングメーカーの盟友関係は大きな曲がり角にさしかかっているといえるだろう。

甘利氏失脚で浮上した茂木氏と林氏が「ポスト岸田」の有力候補に躍り出たことも注目すべき点である。

2012年末から7年8カ月続いた安倍政権と、それを受け継いだ1年間の菅政権は、安倍氏、麻生氏、菅義偉氏、二階俊博氏の「4長老」がときに内輪もめをしながらも世代交代を阻むという一点で手を握り、あらゆる国家利権を独占する「4長老支配」だった。

菅政権末期に安倍・麻生連合と二階・菅連合の対立がついに抜き差しならなくなり、安倍・麻生連合が「菅おろし」を仕掛けて退陣に追い込んだ。その後の自民党総裁選では安倍氏高市早苗氏を、麻生氏は岸田氏を、菅氏は河野太郎氏を、二階氏は野田聖子氏を推し、4長老の対応は見事にばらけたのである。

総裁選は岸田氏と河野氏の決選投票にもつれ、さいごは安倍氏と麻生氏が連携して岸田氏を勝利させた。岸田政権は、党役員・閣僚人事で二階氏や菅氏、河野氏に加え、河野氏を支援した石破茂氏や小泉進次郎氏らを徹底的に冷遇した。一連の人事を主導したのは、自民党副総裁に就任した麻生氏である。

岸田政権の布陣をつぶさに分析すると、岸田首相は安倍氏よりも麻生氏の意向を重視していることがみてとれる。たしかに安倍氏と麻生氏の二大キングメーカーが牛耳る政権なのだが、そのなかでも「麻生氏優位」であることは、今後の政局を読み解くにあたり、しっかりと認識しておくことが重要だ。「4長老」のなかで、この秋の総裁選・衆院選の政局を経て独り勝ちしたのは麻生氏だったのである。

安倍氏は党運営の要である幹事長に高市氏、内閣の要である官房長官に安倍最側近の萩生田光一氏の起用を求めていたが、どちらもかなわなかった。安倍氏の意向を跳ね除けることができるのは、いまの自民党には麻生氏しかいない。

当初は麻生派重鎮の甘利氏を幹事長に起用したことが「麻生氏優位」を端的に示している。官房長官に就任した松野博一氏は安倍氏率いる清和会(安倍派)に所属していながら甘利氏の派閥横断的グループ「さいこう日本」のメンバーだ。安倍氏の顔を立てつつ主導権は握らせないという麻生氏の思惑が嗅ぎ取れる。麻生氏の政権運営構想のど真ん中にいたのが、甘利幹事長だった。

ほかにも「さいこう日本」からは党幹部に梶山弘志幹事長代行(無派閥)、田中和徳幹事長代理(麻生派)、高木毅国対委員長(安倍派)、閣僚に金子恭之総務相(岸田派)、金子原二郎農相(岸田派)、山際大志郎経済再生相(麻生派)が起用され、さながら「甘利政権」の様相となった。閣僚20人中13人が初入閣という布陣も、内閣より自民党の力が強い「党高政低」型といえ、麻生副総裁―甘利幹事長ラインですべてを仕切る思惑がにじむ体制であった。「安倍・麻生傀儡政権」ではなく「麻生傀儡政権」と言っても過言ではない滑り出しだった。

自民党が予想を覆して大勝したことと、そのなかで「政権の要」であった甘利氏が選挙区で敗れ失脚したことが岸田政権の「麻生氏優位」にどう影響するかが今後の焦点である。

もしマスコミの情勢調査どおりに自民党単独過半数を割るか、もしくは単独過半数ギリギリという選挙結果だったなら、麻生氏の思いのままの体制を継続することは難しかっただろう。

二階氏や菅氏を冷遇し続ければ、彼らは野党との連携をちらつかせ政権を揺さぶられる恐れがある。岸田首相は過半数を維持するには安倍氏や麻生氏だけでなく、二階氏や菅氏、さらには河野氏や石破氏にも配慮する「挙党体制」を構築する必要に迫られたに違いない。

しかし、自民党だけで過半数を30議席近く上回る大勝に終わった結果、二階氏や菅氏らが野党と連動した政局を仕掛けることは極めて困難になった。二階氏や菅氏が離反したところで、公明党さえつなぎとめれば政権は十分に運営できるからだ。

日本維新の会が躍進し、松井一郎代表(大阪市長)と親密な菅氏が存在感を取り戻すとの見方もあるが、私は否定的だ。

自民党単独で絶対安定多数(261議席)に達した以上、衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要な憲法改正の発議にさえこだわらなければ、自公政権の国会運営は安泰だ。

維新の松井代表が来夏の参院選と同時に改憲案の国民投票を実施することを主張しているのは、「3分の2」の議席確保を政治的焦点とすることで維新の存在感を高める狙いがあるとみられるが、維新の協力を取り付けることは自民党内では菅氏を利するだけで、麻生氏には何の得もない。麻生氏や岸田氏は改憲発議に極めて慎重な姿勢をとるだろう。

麻生氏の最優先課題は、二階氏や菅氏を政権中枢から外し、岸田政権の運営を自らが主導することであり、そのために必要な議席は十分に確保できたということだ。

唯一の懸案は、安倍氏との「盟友関係」だ。最大派閥・清和会(安倍派)を率いる安倍氏と第2派閥・志公会麻生派)を率いる麻生氏が盟友関係を続けてきたのは、二階氏や菅氏ら「共通の敵」に対抗し、河野氏や小泉氏への「世代交代」の流れを食い止めるためだった。

二階氏、菅氏、河野氏、小泉氏らが表舞台から姿を消し、衆院選自民党が圧勝して「共通の敵」の反撃を気にする必要がなくなった結果、安倍氏との「棲み分け」がやっかいな問題として浮上してきたのである。

安倍氏にすれば、甘利氏が辞任した以上、今度こそ幹事長に高市氏起用を望んだに違いない。安倍氏にも麻生氏にも従順な茂木氏の幹事長起用は落とし所として容認できるとしても、茂木氏の後任の外相に林氏を起用したのは、露骨な「安倍軽視」ではないか——そんな安倍氏の反発を承知の上で、麻生氏が林氏の外相起用に踏み切ったことに注目すべきである。

林氏は老舗派閥・宏池会の本流である。東京大学法学部卒業、ハーバード大学ケネディ行政大学院修了という華麗な経歴を持ち、宏池会ホープとして若くから岸田氏よりはるかに高い期待を集めてきた。

宏池会第8代会長の古賀誠氏は従順な岸田氏を第9代会長に指名したが、本流の林氏を無視できず、ナンバー2の座長とした。林氏の弱点は参院議員だったことだが、今回の衆院選衆院への鞍替えに成功し、ただちに外相に就任したことで、名実ともに岸田氏に続く「宏池会首相候補」の座を確立したのである。

麻生氏はもともと宏池会に所属し、長く冷遇されてきた。1998年に加藤紘一氏が会長に就任したのを機に宏池会を飛び出し、小グループを結成。加藤氏が清和会の森喜朗内閣への不信任案に同調した2000年の「加藤の乱」に敗れ、宏池会が分裂・衰退するのを横目に、麻生氏は自らの派閥を急拡大させ、ついには第2派閥に躍り出た。

麻生氏の野望は尽きない。仕上げは本家本元の宏池会(岸田派)を麻生派に吸収合併して「大宏池会」を結成し、清和会と肩を並べる二大派閥として君臨することである。麻生氏は清和会と大宏池会が交互に首相を輩出する将来像を周辺に打ち明けている。

麻生氏が自民党総裁選で、自派の河野氏ではなく、岸田氏を全力で支援したのも、野望のためだ。もしも河野政権が誕生すれば、世代交代が一気に進んで権力を失う恐れがあった。

麻生氏は思いのままになる岸田政権のうちに大宏池会を結成しておきたい。そして不人気の岸田首相が退陣する時に備えて「ポスト岸田」候補を手元に置いておきたい。それが林氏なのである。林氏を首相候補として押し上げることと引き換えに、林氏に大宏池会の結成を認めさせ、自らがキングメーカーとして君臨しようというわけだ。

甘利氏が失脚し、林氏の衆院鞍替えが実現した今回、茂木氏を外相から幹事長へ横滑りさせて林氏を外相へ登用し、一挙に「首相候補」へ引き上げる。安倍氏の反発覚悟で押し切った人事に麻生氏の強い覚悟がうかがえる。

安倍氏が麻生氏の野望に気づいていないわけがない。これまでは盟友関係を重視して麻生氏との対立を避けてきたが、二階氏や菅氏という「共通の敵」が消え、安倍氏の求める人事が一向に通らず、「麻生氏独り勝ち」の様相が強まるなか、トドメのように林氏の外相起用が飛び込んできたのである。面白いはずがない。

そのうえで大宏池会が実現し、清和会に肩を並べるか、あるいは清和会を抜いて最大派閥に躍り出れば、安倍氏と麻生氏の関係はさらに緊迫するだろう。

安倍氏と麻生氏の盟友関係の軋みこそ、岸田政権最大のアキレス腱である。岸田首相は麻生氏重視の姿勢を続けるだろう。安倍氏がただちに麻生氏と決別するのは考えにくいが、相当なストレスがたまっていくことが予想される。茂木幹事長が安倍氏と麻生氏の間をどう取り持つのかが注目される。

岸田政権が続くうちは、安倍氏と麻生氏の関係を茂木氏が取り持ち、誤魔化しながら政権運営を続けることになろう。問題は、岸田政権が瓦解したときだ。

麻生氏の操り人形である岸田政権の支持率が上昇する見込みはない。来夏の参院選前に内閣支持率が低迷し、「岸田首相では参院選が戦えない」という声が浮上する可能性は高いだろう。菅首相(当時)が衆院選前に退陣に追い込まれたのと同様の道をたどる展開は十分にあり得る。

菅氏の後任を選んだ9月の自民党総裁選は党員も参加するフルスペックで実施された。来夏の参院選前に岸田首相が退陣した場合は、国会議員のみによる臨時総裁選となる公算が大きい。その場合は今回の総裁選以上に「派閥の力」がモノを言うことになる。

そのとき首相は誰になるか。安倍氏は引き続き高市氏を推す。麻生氏の本命は林氏だ。どちらも譲らない。落としどころとしてふたりが容認できる茂木氏に落ち着く――。安倍氏と麻生氏の「密室協議」で次の首相が決まるという展開もありえる。安倍派、麻生派、旧竹下派がまとまれば事実上勝負ありだ。

存在感の薄い岸田首相をそっちのけで、清和会の背景とする安倍氏高市氏、大宏池会を背景とする麻生氏・林氏、旧竹下派を背景とする茂木氏の三極の駆け引きが参院選前の総裁選実施を視野に進むとみられる。自民党は大勝したが、岸田首相の政権基盤は極めて脆い。

この解析結果は国立感染症研究所が今月9日に開かれた厚生労働省の専門家会合で示したものです。

国立感染症研究所などのグループはことし8月末までの1か月間に関東地方の7か所の発熱外来を受診した1353人について、新型コロナの検査結果とワクチン接種の関係を解析しました。

この期間に検査で陽性だったのは、ワクチンを接種していない858人のうち498人、2回接種した252人のうち38人で、この結果をもとに推定した2回接種した際のワクチンの有効性は87%になったということです。

グループによりますとこの期間の関東の新型コロナウイルスは9割以上がデルタ株に置き換わっていたということで、デルタ株に対してもワクチンは極めて有効とみられるとしています。

国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長は「海外ではワクチンの有効性が半年程度で弱まることも報告されているので日本でも効果が弱まるのか引き続き分析していく」としています。

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#政界再編・二大政党制