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都内に住む34歳のウェブデザイナーは、4年前、サイトを閲覧した人のパソコンの処理能力を無断で利用し暗号資産を獲得するプログラム「コインハイブ」を、自分の運営するサイトに埋め込んだとして不正なプログラムを保管した罪に問われています。

争点は、プログラムが違法なものといえるかどうかで、9日、最高裁判所で開かれた弁論で、被告の弁護士は「プログラムは広告に代わってインターネットの重要な維持手段となる可能性を秘めたものだった。閲覧した人のパソコンに明らかな悪影響を与えるものではなく、利益になる面もある」として無罪を主張しました。

一方、検察は「常識的に考えて悪いとわかる行為だ。違法性を否定することは、日本で使用されるコンピューターを世界中から類似のプログラムによる格好の草刈場に置くことに等しい」として被告側の上告を退けるよう求めました。

この裁判で、1審の横浜地方裁判所は「閲覧した人の意図に反する動作をさせるが、プログラムによってサイトの運営者が得る報酬はその後のウェブサイトの質の向上につながり、閲覧した人の利益にもなる」などとして不正なものとはいえないと判断し、無罪としました。

一方、2審の東京高等裁判所「閲覧した人には利益がないのに知らないうちにパソコンの機能を提供させる不利益を与えるプログラムで、社会的に許される点は見当たらない」として、逆転で罰金10万円の有罪判決を言い渡しました。

最高裁判所の弁論は判断を変更する際に必要な手続きのため、2審の判決が見直される可能性があります。

被告のウェブデザイナーは3年前に書類送検され、罰金10万円の略式命令を受けましたが、これを不服として正式な裁判で争ってきました。

弁論のあと記者会見し、「法律に関しては分からないが、それだけ判断が難しい問題だと感じている。この事件が有罪になると、クリエイターが活動しにくい世の中になる。無罪判決を願っている」と話していました。

弁護団長の平野敬弁護士は「今回の事件はこのプログラムだけでなく、日本のIT技術全体の発展に影響を与えると思う。最高裁は法律と技術との正しい関係を慎重に判断し、法律が乱用されないよう新たな基準を示す判決を出してほしい」と話していました。

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