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アメリカのバイデン政権は「最大の競合国」と位置づける中国への対抗を念頭に、来年初めにもインド太平洋地域などの同盟国や友好国との新たな経済的枠組みを立ち上げることを検討しています。

これについて、台湾の蔡英文総統は、8日夜、台湾に進出しているアメリカ企業の団体の会合で「われわれもインド太平洋地域の経済的枠組みに参加するのを期待している」と述べ、参加への意欲を示しました。

アメリカは中国への対抗も視野に、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉を主導したものの、前のトランプ政権が離脱し、バイデン政権も復帰には後ろ向きな姿勢です。

一方、台湾はことし9月、TPPへの加入を申請しましたが、これに先立って中国も加入を申請していて、台湾の加入が実現するかは予断を許さない状況です。

こうした中で、アメリカが主導する新たな経済的枠組みに台湾がどう関わっていくのか注目されます。

9日からアメリカの主催で開かれる「民主主義サミット」に参加する台湾当局の代表機関のトップがNHKのインタビューに応じ「台湾の民主主義の存続を確保することはすべての民主主義国家の利益になる」と述べ、中国からの圧力が強まる中、国際社会に支持を訴えました。

アメリカのバイデン政権は日本を含むおよそ110の国や地域から首脳などを招き、9日から2日間、初めての「民主主義サミット」をオンラインで開きます。

アメリカが「専制主義国家」と位置づける中国やロシアなどに対抗するねらいがあると見られますが、中国は「不可分の領土」と主張する台湾が招待されたことに強く反発しています。

こうした中、サミットに参加する、ワシントンにある台湾当局の代表機関「駐米台北経済文化代表処」の蕭美琴代表がNHKのインタビューに応じ「サミットに参加することで、台湾が収めてきた民主主義の成功体験を広く共有できる。中国は、民主主義はアジアの国々や香港にそぐわないという主張を宣伝し続けているが、それが間違いだということを台湾は証明した」と述べ、参加の意義を強調しました。

また、中国が台湾の国際機関への参加に対し圧力をかけていることを念頭に「中国が続けている脅しや排除は不当だ。台湾には国際的な場に代表を送る権利があると私たちは考えている」と述べ、WHO=世界保健機関などの活動への参加が認められるべきだという考えを示しました。

そのうえで「台湾が自由で開かれた民主的な社会として存続することは、インド太平洋地域の平和と安定にとって極めて重要だ。すべての民主主義国家の利益となる」と述べ、国際社会に支持を訴えました。

さらに蕭代表は、台湾が情報公開やデジタル技術を活用し新型コロナウイルス対策などで成果をあげたことに関連して「われわれはデジタル技術を発展させ、民主的なプロセスへの市民の参加を促進させた。専門性を共有する場として、民主主義サミットを活用できると期待している」と述べました。

このほか、バイデン政権が中国の新疆ウイグル自治区で人権侵害が行われているとして、製品の輸出規制を強めていることについて「民主主義国家では、AI=人工知能ビッグデータなどは人類の進歩に使われるべきで、抑圧や監視の道具として利用されるべきではない」と述べ、支持する考えを示しました。

リトアニアでは先月「台湾」の名を冠した台湾の出先機関が開設され、これに対して中国がリトアニアとの外交関係を格下げするなど強く反発しています。

こうした中、リトアニア外務省によりますと、リトアニアから中国への輸出品が中国側の通関手続きで認められないケースが多数報告されているということです。

これについて、EUヨーロッパ連合のドムブロフスキス執行副委員長は8日の記者会見で「EUは加盟国に対する政治的圧力や威圧的な措置に立ち向かう用意がある。中国と加盟国の関係はEUと中国の関係全体に影響を及ぼす」と述べ、中国をけん制しました。

EUは合わせて、近年EUや加盟国が「経済的な威圧」の対象になっているとして検討してきた対策についても発表し、威圧行為を行う国に対しては関税の引き上げや、輸出入と投資の制限などで対抗するとしています。

この対策は今後、加盟国やヨーロッパ議会の承認を得る必要がありますが、ドムブロフスキス執行副委員長はリトアニアに対する中国の行為も「経済的な威圧」にあたるかどうかを検討する対象になり得るという考えを示しました。

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