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イギリスは2020年1月31日にEUから離脱し、急激な変化を避けるための移行期間を経て、去年1月からは双方の貿易に段階的に通関手続きが必要となるなど、手間やコストがかかるようになりました。

今月からの新たな通関手続きなどによって現在もフランスに向かうトラックが国境付近で長蛇の列を作っています。

また、イギリスで働く際に必要なビザの取得には英語力が不可欠となるなど条件が厳しくなりました。

このため、新型コロナウイルスの感染拡大もあって帰国した東ヨーロッパなどからの多くの労働者が、イギリスに戻らず、企業や介護の現場などで人手が不足する事態となっています。

一方で、イギリスは、EU以外ともつながりを深めて経済成長を図る「グローバル・ブリテンを掲げ、日本を含むアジア太平洋の国々との関係強化を目指しています。

TPP=環太平洋パートナーシップ協定の加入に向けて交渉を行っているほか、オーストラリアなどともFTA自由貿易協定で合意していて、ジョンソン政権は離脱の成果をアピールしています。

ただ、今月発表された世論調査では、離脱による現状について
▽「とても悪くなった」「かなり悪くなった」と回答した人は52%で、
▽「とてもよくなった」「かなりよくなった」と答えた15%を大きく上回っています。

ジョンソン首相は主権を取り戻して国を発展させると繰り返し強調してきましたが、新型コロナの影響も重なって、現状への不満の声も強まっています。

離脱を受けて、EU諸国と貿易を行っているイギリスの中小企業は、通関手続きが新たに必要になり、手間やコストがかかり、大きな打撃となっています。

イギリスとEUの間では、自由貿易協定が結ばれたため、EU離脱後もイギリスへの輸入の際には関税はかからないものの、通関手続きが必要で、さらに今月からは、原産地の証明に関連する新たな書類の提出などが求められることになり、企業の負担になっています。

ロンドン北部に店を構え、イタリアやフランスなどから野菜やチーズの輸入や販売を手がけているデービッド・ジョセフスさんは、通関手続きの事務処理などのために、ことし、離脱前と比べて年間9万4000ユーロ、日本円にしておよそ1200万円の追加費用が発生するとしています。

また新たな手続きの影響で、これまでは1日で届いていた商品が、数日程度かかるようになったため賞味期限の短い、いちごなど一部の果物や野菜の輸入を断念しました。

こうしたことから、離脱前には、フランスとイタリアのおよそ40社と取り引きの契約がありましたが、去年は12社、そしてことしは10社との契約の解除を余儀なくされたということです。

ジョセフスさんは「イギリス政府は、ヨーロッパからの輸入に関する事務手続きをやめて欲しい。中小企業のビジネスが台なしになっている」と危機感を訴えています。

離脱による影響が顕著に表れているのが、労働力の不足です。

イギリスでは運送業や飲食業、介護などの分野では、安い労働力としてEU域内の東ヨーロッパの国からの労働者に大きく依存してきました。

しかし、離脱に伴って、労働者へのビザの発給要件が厳しくなったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による入国規制を受けて、帰国した労働者の多くがイギリスに戻ってこなかったこともあり、人手不足が深刻になっています。

イングランド東部に住むロス・ホービーさん(42)は、金融機関で働いていますが、全身の筋力が低下する難病「脊髄性筋萎縮症」のため、ほぼ24時間の介護を必要としています。

以前は、4人の介護者が交代で、通勤や、食事、外出など生活全般をサポートしていました。

しかし最近になって1人が辞めてしまい、新たな介護者が見つからず、ホービーさんはギリギリの態勢に危機感を強めています。

ホービーさんは「介護者のひとりでも病気になったら、自分は仕事に行けるだろうか。介護者がいなければ自分は何もできず、死んでいるも同然だ」と話しています。

介護者を紹介するウェブサイトでは、以前はイギリスで介護者として登録している人は、EU出身者が全体の3分の1程度を占めてきましたが、去年は数%まで落ち込みました。

サイトを運営するケイティ・エサリントンさんは、高齢化が進むなかで、介護を必要とする人が増えているとしたうえで「離脱の問題は私たちでは解決できず、どうしようもない状況だ」と話しています。

また介護者などでつくる団体「ナショナル・ケア・フォーラム」のビク・レイナーCEOは、もともと介護業界は給与も低く、人材が不足していたと強調したうえで「新型コロナや離脱によって、状況は並外れて悪化した。給与が高く、ストレスも少ない職場で働こうという人が多い」と話しほかの職種との間で人材の奪い合いになっていると指摘しました。

血の日曜日事件」は、1972年1月30日、北アイルランドのロンドンデリーで、イギリスからの分離とアイルランドへの統合を求めていたカトリック系住民のデモにイギリス軍が発砲した事件で、独立委員会の調査によりますと13人が死亡しました。

およそ30年にわたった北アイルランド紛争を象徴するこの事件から50年となった30日、現場周辺に多くの市民が集まり、犠牲者の写真を掲げながら、当時のデモと同じルートを歩きました。

追悼集会にはアイルランドのマーティン首相も参加し、記念碑に花輪を手向けました。

事件をめぐってイギリス政府は、2010年、当時のキャメロン首相が「兵士の発砲に正当な理由はなかった」として遺族に謝罪していて、今回ジョンソン首相はツイッターに「過去から学び、和解し、北アイルランドの人々のために平和な未来を作らなくてはならない」と投稿しました。

北アイルランドは、紛争で3000人以上が亡くなった歴史を考慮して、イギリスが2年前にEUヨーロッパ連合を離脱したあとも、陸続きのアイルランドとの間で物理的な国境ができることを避けるため、貿易面ではEUのルールが適用されていますが、イギリスへの帰属意識が強い住民はこれに不満を強めています。

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